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亜美が考えた紫帆先生殺人計画は、以下のようなものだった。
まずは、珠莉の彼氏であるバスケ部の真鶴真人(まつる まさと)が、相談があると言って部活動が終わった後に先生を体育館の用具室に呼び出す。呼び出すだけだ。彼は用具室には向かわない。
次に、わたしの彼氏の水木十和(みずき とわ)が体育館に向かう先生にわざとぶつかり、どさくさに紛れてスマホを奪う。
そして、梨沙の彼氏の宮沢渉(みやざわ わたる)に、先生が用具室に入っていくのを確認させる。確認した宮沢から連絡を受けた梨沙は、それをすぐに亜美に知らせる。
最後に、亜美の彼氏の山汐紡(やましお つむぎ)に用具室の鍵をかけさせる。彼は真鶴と同じバスケ部員で部長でもあったから鍵を持っていてもおかしくはない立場の人間だった。
その殺人計画は、亜美が自ら手を汚さない手段を考えついたという点では評価できた。
だが、利用される男子たちが何の疑いも持たず、すべてが亜美の想定どおりに事が運ばなければ成功しない、運任せのずさんなものだった。
だからわたしは少しだけ裏から手を回すことにした。
わたしはまず、真鶴が相談場所として指定する場所が、体育館の用具室である必要性から用意することにした。
彼がバスケ部でいじめにあい、度々用具室に閉じ込められているらしいという作り話を決行当日に先生に吹き込んだ。
決行時刻はすでに部活動は終わっている時間帯であり、用具室の鍵は普段ならバスケ部の部長である山汐が職員室に戻している。
だから山汐には一度鍵を戻させ、先生自身に鍵を持ち出させることにした。
別の男子を職員室内と職員室近くにひとりずつ待機させた。先生がその鍵を手に持ったままなのか、スーツのポケットに入れたのかを確認させ、報告させるためだ。そのふたりにはその場にいてもおかしくない必然性も用意した。
先生がスマホをいつもスーツのどのポケットに入れているのかも事前に確認しておいた。
わたしの彼氏の十和には、スマホと鍵の両方を奪うように言っておいた。
十和が失敗した際には、確実に両方を奪うことができるよう、別の男子も念のためふたり用意した。
十和が無事スマホと鍵を奪えた場合は、その別のふたりにそれぞれひとつずつ渡すように、そしてそのふたりは、スマホを受け取った者は指定の場所に捨てるよう、鍵を受け取った者は山汐に渡すよう、亜美の計画を変更した。
宮沢が、先生が用具室に入っていくのを確認し、梨沙に連絡をすることにも理由が必要だった。
真鶴ではなく、梨沙が先生に直接相談したいことがあるということにしておけば、宮沢は疑わない。
問題は山汐だった。
彼が用具室に鍵をかける際に、中を確かめられて先生と顔を合わせてしまっては終わりだ。
だから、最後だけはわたし自身が満を持して登場することにした。
計画通りの場所に捨てられていた先生のスマホを回収したわたしは、体育館前に待機し、山汐に先ほどまで梨沙が先生に相談をしていたが、今は中には誰もいないと告げ、一緒に用具室に向かう。鍵をかけるのはあくまで山汐であり、わたしは一切手を汚さない。
バスケ部員で部長でもあった彼は、鍵をもう一度職員室に返しにいかなければならない立場の人間だったが、わたしは彼の代わりに職員室に返しに行く役割を担うことにもした。
だが、返しにいくふりをするだけだ。
すぐに彼の鞄に忍ばせることにした。
鍵は翌日の朝、朝練のために必要になり、山汐が職員室に取りに行く。そのときに鍵がないことに気づいた彼は、わたしに通話をかけてくるだろう。
わたしは、こう言うだけだ。
「わたしが返しに行こうかって言ったら、わたしじゃ鍵の置場所わかんないだろって山汐くん言ったよね?
もしかして、鍵なくしちゃったの?」
彼は必死で鍵を探し、そして鞄の中から見つける。
ほっとしたのも束の間、用具室の鍵を開けた瞬間に、彼は先生の死体を見つけることになる。
彼は鍵のことですでに自分の中にある前日の記憶が本当に正しいのか疑心暗鬼になっている。
だから自分が先生を殺してしまったのだと錯覚し、その罪の意識から逃れるために鍵をどこかに捨てるだろう。
鍵は開いていた、昨日部活を終えた後ちゃんと鍵をかけ職員室に戻したはずなのに、誰かが開けていた。
いつ鍵が開けられたのかはわからないが、彼が用具室に入ったときには先生は凍死していた。
そういうことにするだろう。
まずは、珠莉の彼氏であるバスケ部の真鶴真人(まつる まさと)が、相談があると言って部活動が終わった後に先生を体育館の用具室に呼び出す。呼び出すだけだ。彼は用具室には向かわない。
次に、わたしの彼氏の水木十和(みずき とわ)が体育館に向かう先生にわざとぶつかり、どさくさに紛れてスマホを奪う。
そして、梨沙の彼氏の宮沢渉(みやざわ わたる)に、先生が用具室に入っていくのを確認させる。確認した宮沢から連絡を受けた梨沙は、それをすぐに亜美に知らせる。
最後に、亜美の彼氏の山汐紡(やましお つむぎ)に用具室の鍵をかけさせる。彼は真鶴と同じバスケ部員で部長でもあったから鍵を持っていてもおかしくはない立場の人間だった。
その殺人計画は、亜美が自ら手を汚さない手段を考えついたという点では評価できた。
だが、利用される男子たちが何の疑いも持たず、すべてが亜美の想定どおりに事が運ばなければ成功しない、運任せのずさんなものだった。
だからわたしは少しだけ裏から手を回すことにした。
わたしはまず、真鶴が相談場所として指定する場所が、体育館の用具室である必要性から用意することにした。
彼がバスケ部でいじめにあい、度々用具室に閉じ込められているらしいという作り話を決行当日に先生に吹き込んだ。
決行時刻はすでに部活動は終わっている時間帯であり、用具室の鍵は普段ならバスケ部の部長である山汐が職員室に戻している。
だから山汐には一度鍵を戻させ、先生自身に鍵を持ち出させることにした。
別の男子を職員室内と職員室近くにひとりずつ待機させた。先生がその鍵を手に持ったままなのか、スーツのポケットに入れたのかを確認させ、報告させるためだ。そのふたりにはその場にいてもおかしくない必然性も用意した。
先生がスマホをいつもスーツのどのポケットに入れているのかも事前に確認しておいた。
わたしの彼氏の十和には、スマホと鍵の両方を奪うように言っておいた。
十和が失敗した際には、確実に両方を奪うことができるよう、別の男子も念のためふたり用意した。
十和が無事スマホと鍵を奪えた場合は、その別のふたりにそれぞれひとつずつ渡すように、そしてそのふたりは、スマホを受け取った者は指定の場所に捨てるよう、鍵を受け取った者は山汐に渡すよう、亜美の計画を変更した。
宮沢が、先生が用具室に入っていくのを確認し、梨沙に連絡をすることにも理由が必要だった。
真鶴ではなく、梨沙が先生に直接相談したいことがあるということにしておけば、宮沢は疑わない。
問題は山汐だった。
彼が用具室に鍵をかける際に、中を確かめられて先生と顔を合わせてしまっては終わりだ。
だから、最後だけはわたし自身が満を持して登場することにした。
計画通りの場所に捨てられていた先生のスマホを回収したわたしは、体育館前に待機し、山汐に先ほどまで梨沙が先生に相談をしていたが、今は中には誰もいないと告げ、一緒に用具室に向かう。鍵をかけるのはあくまで山汐であり、わたしは一切手を汚さない。
バスケ部員で部長でもあった彼は、鍵をもう一度職員室に返しにいかなければならない立場の人間だったが、わたしは彼の代わりに職員室に返しに行く役割を担うことにもした。
だが、返しにいくふりをするだけだ。
すぐに彼の鞄に忍ばせることにした。
鍵は翌日の朝、朝練のために必要になり、山汐が職員室に取りに行く。そのときに鍵がないことに気づいた彼は、わたしに通話をかけてくるだろう。
わたしは、こう言うだけだ。
「わたしが返しに行こうかって言ったら、わたしじゃ鍵の置場所わかんないだろって山汐くん言ったよね?
もしかして、鍵なくしちゃったの?」
彼は必死で鍵を探し、そして鞄の中から見つける。
ほっとしたのも束の間、用具室の鍵を開けた瞬間に、彼は先生の死体を見つけることになる。
彼は鍵のことですでに自分の中にある前日の記憶が本当に正しいのか疑心暗鬼になっている。
だから自分が先生を殺してしまったのだと錯覚し、その罪の意識から逃れるために鍵をどこかに捨てるだろう。
鍵は開いていた、昨日部活を終えた後ちゃんと鍵をかけ職員室に戻したはずなのに、誰かが開けていた。
いつ鍵が開けられたのかはわからないが、彼が用具室に入ったときには先生は凍死していた。
そういうことにするだろう。
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