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「ヴィランズサイドストーリー」 #53「ヴィランズサイドストーリー 13」
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エレベーターが最上階に着いた時、西日野神社の関係者と思われる者たちが、僕たちを待ち構えていた。
西日野珠莉に西日野亜美、西日野 学、それから加藤麻衣だろう。
春夏冬梨沙と僕がした約束は、彼女たちの解放と、殺された西日野一馬の死体か遺骨を手に入れること、それから組織が回収したという「匣」と呼ばれる存在の奪還だった。
彼女たちは、組織による洗脳を受けたという話だった。
要 ひまりのギフト「オーバードールズ」によって操り人形にされていたということだろう。
その要ひまりはもうこの世界にはいない。
4人とも、僕たちを新手だと思い身構えていたが、
「春夏冬梨沙に頼まれて、君たちを解放しにきた。僕たちは組織の人間だったけど今は違う」
僕がそう言うと、警戒を解いてくれた。
洗脳はちゃんと解けているようだった。
「梨沙ちゃんは生きてるの?」
「レンジは?」
顔がよく似た女性ふたりが言った。
たぶん珠莉と亜美だろう。
ひとりは普通の服を着ていたが、もうひとりは魔法少女のような格好をしていた。ステッキまで持っていた。
そのことには触れないことにしようと思った。
「梨沙は生きてる。ギフトを使って洗脳を免れたみたいだよ。僕の家で保護してる。比良坂ヨモツとコヨミも一緒だ」
僕の言葉にふたりは胸を撫で下ろしていたが、
「梨沙『は』……? じゃあ、蓮司くんは?」
違和感を覚えたのは学という男性だった。
「生きているとは思うよ。ただ、この世界にはもういない。別の世界に飛ばされたんだ」
「そうか……梨沙ちゃんが知ったら悲しむだろうね」
「みんな馬鹿なの? その人たちの言葉を素直に信じるの? 組織の人間だよ? すぐに殺そうよ」
ひとりだけ僕たちを怪しんでいた女の人がいた。
この人が加藤麻衣なのだろう。西日野学は婿養子で、旧姓は加藤だったはずだ。麻衣は彼の妹だった。
「瑠璃、日永 彰と鳥井安寿って人を元の姿に戻せるか?」
僕は瑠璃に訊ねた。僕たちが敵ではないと証明するためにはそれしか方法はないと思った。
「いるの? そこに?」
「あの機織り機による神隠し……君が犯人か」
「やっぱり敵じゃん」
「わからないのか? 麻衣。みんなこれ以上、人を殺したくないんだよ」
フロアには藤本花梨アンドールと佳苗貴子らしき死体が転がっていた。
ふたりともうつ伏せに倒れていたから、顔は確認できなかった。血も出てはいなかった。
彼女たちがどんなギフトを持っているのかは知らないが、ギフトによって命を奪ったのなら、血が出ていなくてもおかしくはなかった。
「どんなギフトを持ってるかわからなかったから……」
「殺られる前に殺るしかなかったんだ……」
「まさか、ギフトを持っていないなんて……」
「寄生獣の市長かよって話だよね」
どうやら社長も佳苗も、何のギフトを持っていなかったらしい。
「日永 彰って人はらカーディガンだから別に問題ないけど」
「問題は鳥井安寿か。セーラー服だもんね……」
スカートは穢土 祓を材料にしているから、上着だけあれば十分だった。
僕は喪服のジャケットとシャツを脱いで、瑠璃に渡した。
「サイズが大きすぎるんだけど……お兄ちゃん、もしかして、彼女に自分のシャツを着せたりしたいタイブ?」
「あれに萌えない男は男じゃないでしょ。妹に萌えたりはしないけど」
「今の、傷ついたなぁ。琥珀ちゃんだったら萌えるくせに」
「萌えないよ、琥珀にも」
瑠璃は、その場でカーディガンだけではなく、セーラー服を脱ぎはじめた。
「着替えてからじゃないんだ……」
そう言ったのは僕ではなく、麻衣だった。呆れているようだった。
「学くん、見ちゃだめだよ」
魔法少女姿の女性が、彼の目を手で隠した。たぶんこの人が学の妻の亜美なのだろう。
プリキュアやまどかマギカのような魔法少女の格好をしている二十代半ばの女性の方が、別の意味で見られてはいけない姿のような気がした。
西日野珠莉に西日野亜美、西日野 学、それから加藤麻衣だろう。
春夏冬梨沙と僕がした約束は、彼女たちの解放と、殺された西日野一馬の死体か遺骨を手に入れること、それから組織が回収したという「匣」と呼ばれる存在の奪還だった。
彼女たちは、組織による洗脳を受けたという話だった。
要 ひまりのギフト「オーバードールズ」によって操り人形にされていたということだろう。
その要ひまりはもうこの世界にはいない。
4人とも、僕たちを新手だと思い身構えていたが、
「春夏冬梨沙に頼まれて、君たちを解放しにきた。僕たちは組織の人間だったけど今は違う」
僕がそう言うと、警戒を解いてくれた。
洗脳はちゃんと解けているようだった。
「梨沙ちゃんは生きてるの?」
「レンジは?」
顔がよく似た女性ふたりが言った。
たぶん珠莉と亜美だろう。
ひとりは普通の服を着ていたが、もうひとりは魔法少女のような格好をしていた。ステッキまで持っていた。
そのことには触れないことにしようと思った。
「梨沙は生きてる。ギフトを使って洗脳を免れたみたいだよ。僕の家で保護してる。比良坂ヨモツとコヨミも一緒だ」
僕の言葉にふたりは胸を撫で下ろしていたが、
「梨沙『は』……? じゃあ、蓮司くんは?」
違和感を覚えたのは学という男性だった。
「生きているとは思うよ。ただ、この世界にはもういない。別の世界に飛ばされたんだ」
「そうか……梨沙ちゃんが知ったら悲しむだろうね」
「みんな馬鹿なの? その人たちの言葉を素直に信じるの? 組織の人間だよ? すぐに殺そうよ」
ひとりだけ僕たちを怪しんでいた女の人がいた。
この人が加藤麻衣なのだろう。西日野学は婿養子で、旧姓は加藤だったはずだ。麻衣は彼の妹だった。
「瑠璃、日永 彰と鳥井安寿って人を元の姿に戻せるか?」
僕は瑠璃に訊ねた。僕たちが敵ではないと証明するためにはそれしか方法はないと思った。
「いるの? そこに?」
「あの機織り機による神隠し……君が犯人か」
「やっぱり敵じゃん」
「わからないのか? 麻衣。みんなこれ以上、人を殺したくないんだよ」
フロアには藤本花梨アンドールと佳苗貴子らしき死体が転がっていた。
ふたりともうつ伏せに倒れていたから、顔は確認できなかった。血も出てはいなかった。
彼女たちがどんなギフトを持っているのかは知らないが、ギフトによって命を奪ったのなら、血が出ていなくてもおかしくはなかった。
「どんなギフトを持ってるかわからなかったから……」
「殺られる前に殺るしかなかったんだ……」
「まさか、ギフトを持っていないなんて……」
「寄生獣の市長かよって話だよね」
どうやら社長も佳苗も、何のギフトを持っていなかったらしい。
「日永 彰って人はらカーディガンだから別に問題ないけど」
「問題は鳥井安寿か。セーラー服だもんね……」
スカートは穢土 祓を材料にしているから、上着だけあれば十分だった。
僕は喪服のジャケットとシャツを脱いで、瑠璃に渡した。
「サイズが大きすぎるんだけど……お兄ちゃん、もしかして、彼女に自分のシャツを着せたりしたいタイブ?」
「あれに萌えない男は男じゃないでしょ。妹に萌えたりはしないけど」
「今の、傷ついたなぁ。琥珀ちゃんだったら萌えるくせに」
「萌えないよ、琥珀にも」
瑠璃は、その場でカーディガンだけではなく、セーラー服を脱ぎはじめた。
「着替えてからじゃないんだ……」
そう言ったのは僕ではなく、麻衣だった。呆れているようだった。
「学くん、見ちゃだめだよ」
魔法少女姿の女性が、彼の目を手で隠した。たぶんこの人が学の妻の亜美なのだろう。
プリキュアやまどかマギカのような魔法少女の格好をしている二十代半ばの女性の方が、別の意味で見られてはいけない姿のような気がした。
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