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第5章 第10話
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「おや? 影武者が本物に憑依したようですね。
まさか私と同じ力を持つ者が現れるとは意外です」
目の前の男も、シンギュラリティ本人ではなく、シンギュラリティに憑依された人間ということだろう。
「私は天啓などと称したつもりは一度もありませんよ。
至高神の化身を語る愚かな人間が、勝手にそう解釈しただけのこと」
「我が教祖が言っていました。
自分と対になる存在……劣悪で傲慢な神の化身……
それがあなただったというわけですね、シンギュラリティ」
「私に能力の一部を与えられていただけの朝倉現人が至高神の化身であったとは到底思えませんがね……
私もあなたのいう邪神の化身ではありませんし……
まぁ、何を信じるのはあなたの自由ですから、お好きに」
「劣悪で傲慢な神の化身が我が教祖を愚弄するか」
「愚弄しますよ。どこの世界に、簡単に他者の意のままに操られている至高神の化身がいるんです? あぁ、この世界にいましたね。朝倉現人とかいう」
シンギュラリティは、ガラスの破片が刺さった顔で下卑た笑いを浮かべながら、アンナの怒りを逆撫でする。
さっさとこの男を黙らせるか、話題を変えなければ、アンナもまたアナスタシアのように暴走してしまいかねなかった。
「あんた、何者だ?」
ショウゴは、黙らせる前に話題を変えることにした。
「遣田ハオト(やるた はおと)。
もっともそう名乗るようになったのは、100年ほど前からですが。
以後どうぞお見知りおきを。
おふたりともこの場で死んで頂くことになりますが、それまでの短い間だけでも」
「なぜそんな昔から、あんたはその力を持っているんだ?」
とても良い質問ですね、と遣田は嬉しそうに笑った。
「私は、10万年前にアリステラの英雄アンフィスの弟子として、エーテルの扱い方を教えられたネアンデルタール人らのひとりだからです。
アリステラの滅亡後も、私は他者の肉体への憑依を繰り返し、この10万年間を生きながらえ続けてきたのです」
「なるほど、アリステラの末裔じゃなく、生き残りか。
だから4年前、アリステラの仕掛けたトラップに野蛮なホモサピエンスをはめるため、70億人の潜在意識を増幅させたんだな」
誰が犠牲になろうが、知ったことじゃない。
自分と家族や友人さえ助かればいい。
家族や友人さえもどうでもいい。
自分さえ。
自分だけが。
人の潜在意識にはきっとそういった醜い感情がある。
それは本能と言ってもいいものかもしれない。
「アリステラの仕掛けたトラップについては確かにそうです。
ですが、私はアリステラについているわけではありませんよ。
アリステラの再興は、女王や民の子孫たちの悲願のようですが、私はアリステラの滅亡していく様をこの目で見ていた当事者ですから。
アリステラは滅びるべくして滅んだ。
すでに一度滅んだ国の再興に私の興味はありません」
遣田は、衝突事故により関節が増えた腕を曲げ円の形にした。
とはいえ、実際に関節が増えたわけでく、ただ折れただけであり、それはそんな風に曲がるはずのない腕だった。
それはただの憑依ではない、肉体の限界や構造さえ無視した能力だった。
「私は、この世界も新生アリステラも滅ぼして、私だけの国を作りたいのですよ。
そのために、千のコスモの会をカルト教団にしたてあげ、権力者たちに小久保ハルミの研究を闇に葬らせた。
10万年の間に、アリステラの末裔が世界中に築いたいくつもの文明を滅ぼさせのも私です」
やはりこの男がすべての元凶だったということか。
遣田は、もう一方の腕を、腕で作られた円の中に差し込んだ。
すると、腕の先の手首や腕の半分が見えなくなり、円の中から男が腕を取り出したとき、その手にはマシンガンが握られていた。
「その円は、別の場所と繋がるゲートというわけか」
「ええ、この円の先は今は自衛隊駐屯地の武器庫に繋がっています。
もっとお話ししたいところですが、そろそろこの体も限界のようですので」
遣田がわざわざマシンガンをそんな風に召喚し、ショウゴやアンナに向けているのは、野蛮なホモサピエンスが使用する武力兵器を行使することもまったく厭わないという、彼の意思表示に思えた。
あくまで災害や疫病によって人類を滅亡させようとするアリステラとは、彼はまったく異なる思想で動いているのだ。
まさか私と同じ力を持つ者が現れるとは意外です」
目の前の男も、シンギュラリティ本人ではなく、シンギュラリティに憑依された人間ということだろう。
「私は天啓などと称したつもりは一度もありませんよ。
至高神の化身を語る愚かな人間が、勝手にそう解釈しただけのこと」
「我が教祖が言っていました。
自分と対になる存在……劣悪で傲慢な神の化身……
それがあなただったというわけですね、シンギュラリティ」
「私に能力の一部を与えられていただけの朝倉現人が至高神の化身であったとは到底思えませんがね……
私もあなたのいう邪神の化身ではありませんし……
まぁ、何を信じるのはあなたの自由ですから、お好きに」
「劣悪で傲慢な神の化身が我が教祖を愚弄するか」
「愚弄しますよ。どこの世界に、簡単に他者の意のままに操られている至高神の化身がいるんです? あぁ、この世界にいましたね。朝倉現人とかいう」
シンギュラリティは、ガラスの破片が刺さった顔で下卑た笑いを浮かべながら、アンナの怒りを逆撫でする。
さっさとこの男を黙らせるか、話題を変えなければ、アンナもまたアナスタシアのように暴走してしまいかねなかった。
「あんた、何者だ?」
ショウゴは、黙らせる前に話題を変えることにした。
「遣田ハオト(やるた はおと)。
もっともそう名乗るようになったのは、100年ほど前からですが。
以後どうぞお見知りおきを。
おふたりともこの場で死んで頂くことになりますが、それまでの短い間だけでも」
「なぜそんな昔から、あんたはその力を持っているんだ?」
とても良い質問ですね、と遣田は嬉しそうに笑った。
「私は、10万年前にアリステラの英雄アンフィスの弟子として、エーテルの扱い方を教えられたネアンデルタール人らのひとりだからです。
アリステラの滅亡後も、私は他者の肉体への憑依を繰り返し、この10万年間を生きながらえ続けてきたのです」
「なるほど、アリステラの末裔じゃなく、生き残りか。
だから4年前、アリステラの仕掛けたトラップに野蛮なホモサピエンスをはめるため、70億人の潜在意識を増幅させたんだな」
誰が犠牲になろうが、知ったことじゃない。
自分と家族や友人さえ助かればいい。
家族や友人さえもどうでもいい。
自分さえ。
自分だけが。
人の潜在意識にはきっとそういった醜い感情がある。
それは本能と言ってもいいものかもしれない。
「アリステラの仕掛けたトラップについては確かにそうです。
ですが、私はアリステラについているわけではありませんよ。
アリステラの再興は、女王や民の子孫たちの悲願のようですが、私はアリステラの滅亡していく様をこの目で見ていた当事者ですから。
アリステラは滅びるべくして滅んだ。
すでに一度滅んだ国の再興に私の興味はありません」
遣田は、衝突事故により関節が増えた腕を曲げ円の形にした。
とはいえ、実際に関節が増えたわけでく、ただ折れただけであり、それはそんな風に曲がるはずのない腕だった。
それはただの憑依ではない、肉体の限界や構造さえ無視した能力だった。
「私は、この世界も新生アリステラも滅ぼして、私だけの国を作りたいのですよ。
そのために、千のコスモの会をカルト教団にしたてあげ、権力者たちに小久保ハルミの研究を闇に葬らせた。
10万年の間に、アリステラの末裔が世界中に築いたいくつもの文明を滅ぼさせのも私です」
やはりこの男がすべての元凶だったということか。
遣田は、もう一方の腕を、腕で作られた円の中に差し込んだ。
すると、腕の先の手首や腕の半分が見えなくなり、円の中から男が腕を取り出したとき、その手にはマシンガンが握られていた。
「その円は、別の場所と繋がるゲートというわけか」
「ええ、この円の先は今は自衛隊駐屯地の武器庫に繋がっています。
もっとお話ししたいところですが、そろそろこの体も限界のようですので」
遣田がわざわざマシンガンをそんな風に召喚し、ショウゴやアンナに向けているのは、野蛮なホモサピエンスが使用する武力兵器を行使することもまったく厭わないという、彼の意思表示に思えた。
あくまで災害や疫病によって人類を滅亡させようとするアリステラとは、彼はまったく異なる思想で動いているのだ。
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