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最終章 第5話
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その夜は、レインがエーテルを結晶化させて作った、ログハウスのような建物で過ごすことになった。
翡翠色の建物は綺麗だが、内装まで翡翠色だと落ち着かなかった。ログハウスなんて泊まったこともなかったが、やっぱり木目の方がいいなとタカミは思った。
タカミは彼のために用意された部屋でひとり、手のひらの上に集めたエーテルを結晶化させたり、気化させたり、結晶化させたものの形を変えてみたりしながら、ユワが何故機械の体と翼を持ち黄泉返っているのか、本人に訊いていいものかどうか迷っていた。
医療ポッドというサナギの中で一度どろどろに溶けた後、ヒヒイロカネや千年細胞を取り込み再構築された彼の体は、エーテルをある程度操れるようになっていた。
翡翠色の日本刀「白雪」を片手に、荒野を歩いていた間も、彼はそうやってエーテルの扱い方を反復練習し続けていた。今では随分と上達した。
彼がまとっているパワードスーツのような甲冑「紅薔薇(べにばら)」も、彼がエーテルから作り出したものだった。
新生アリステラの兵士たちや親衛隊のものに形はよく似ていたが、その性能は全く異なっていた。
飛翔艇に使われている、エーテルを推進力とするエンジンを可能な限り小型化したものを搭載しており、両腕や両脚、背中などにスラスターを持つ。
ホバー走行による高速機動や、低空ではあるが飛行すること、高所から落下した際には落下速度を落とすこともまた可能としていた。
エンジンやスラスターの構造は、飛翔艇の残骸の部品を見て覚えた。足りない部分は脳内で自ら補完し、小型化に関しても彼が自ら考案した技術が取り入れられていた。
彼が一度死んでしまったとき、その死の間際に願ったのは、城塞戦車から落下し死を待つだけの自分をどうにかできる能力が欲しい、というものだった。
7翼のアシーナは、彼のその願いを叶えられる力を持つ新たな体を彼に与えると言ってくれていたが、本当だった。
紅薔薇はまだ開発途中の段階だった。
いずれは腕部にパソコンやスマホのような情報端末を内臓させ、ハッキングをも可能とし、人工衛星をも戦闘時だけでなく平時にも利用可能にする、そんなプランがあった。
タカミが、ユワが何故機械の体と翼を持ち黄泉返っているのか、本人に訊いていいものかどうか迷っていたのには理由があった。
3年前、タカミは新生アリステラの城塞戦車や飛翔艇、人造人間兵士たちの魔導人工頭脳を初期化した後、レインの頭の中にある「知恵の舘バイトゥルヒクマ」に存在する歴代の女王たちの記録をインストールした。
その際にレインは、ユワの記録だけは本人の体に戻すために残したと言っていた。
だが、ショウゴやレインに続きタカミが城塞戦車の女王の間にたどり着いたとき、ユワの体はすでに遣田ハオトに憑依されてしまっていた。
遣田をユワの体から追い出すためには、あの場にいた誰かの体に、一度遣田を憑依させなければいけなかった。
だが、遣田の他者の肉体への憑依は不完全な能力で、彼に一度憑依された体は、彼が次の憑依先に移った瞬間、脳が焼ききれてしまうようなものだった。憑依された瞬間に対象者の精神が焼ききれてしまうこともあるものだった。
ユワの体はその蘇生にすでに千年細胞が使われていたから、全身の細胞が千年細胞に置き換わっていた。
だからたとえ脳が焼ききれてしまったとしてもユワは脳の再生が可能だった。
しかし、あの場にいた遣田の憑依先の候補者の中には、彼の能力に耐えられる千年細胞の持ち主はハルミしかいなかった。
だから、ユワの体ごと遣田を殺すしか、彼を止めることはできなかった。
ユワの体に戻すはずの記録は、レインが今もバイトゥルヒクマに持っているはずだった。
彼女を黄泉返らせたのはレインなのか。それとも別の誰なのか。レインならば知っているだろう。
翡翠色の建物は綺麗だが、内装まで翡翠色だと落ち着かなかった。ログハウスなんて泊まったこともなかったが、やっぱり木目の方がいいなとタカミは思った。
タカミは彼のために用意された部屋でひとり、手のひらの上に集めたエーテルを結晶化させたり、気化させたり、結晶化させたものの形を変えてみたりしながら、ユワが何故機械の体と翼を持ち黄泉返っているのか、本人に訊いていいものかどうか迷っていた。
医療ポッドというサナギの中で一度どろどろに溶けた後、ヒヒイロカネや千年細胞を取り込み再構築された彼の体は、エーテルをある程度操れるようになっていた。
翡翠色の日本刀「白雪」を片手に、荒野を歩いていた間も、彼はそうやってエーテルの扱い方を反復練習し続けていた。今では随分と上達した。
彼がまとっているパワードスーツのような甲冑「紅薔薇(べにばら)」も、彼がエーテルから作り出したものだった。
新生アリステラの兵士たちや親衛隊のものに形はよく似ていたが、その性能は全く異なっていた。
飛翔艇に使われている、エーテルを推進力とするエンジンを可能な限り小型化したものを搭載しており、両腕や両脚、背中などにスラスターを持つ。
ホバー走行による高速機動や、低空ではあるが飛行すること、高所から落下した際には落下速度を落とすこともまた可能としていた。
エンジンやスラスターの構造は、飛翔艇の残骸の部品を見て覚えた。足りない部分は脳内で自ら補完し、小型化に関しても彼が自ら考案した技術が取り入れられていた。
彼が一度死んでしまったとき、その死の間際に願ったのは、城塞戦車から落下し死を待つだけの自分をどうにかできる能力が欲しい、というものだった。
7翼のアシーナは、彼のその願いを叶えられる力を持つ新たな体を彼に与えると言ってくれていたが、本当だった。
紅薔薇はまだ開発途中の段階だった。
いずれは腕部にパソコンやスマホのような情報端末を内臓させ、ハッキングをも可能とし、人工衛星をも戦闘時だけでなく平時にも利用可能にする、そんなプランがあった。
タカミが、ユワが何故機械の体と翼を持ち黄泉返っているのか、本人に訊いていいものかどうか迷っていたのには理由があった。
3年前、タカミは新生アリステラの城塞戦車や飛翔艇、人造人間兵士たちの魔導人工頭脳を初期化した後、レインの頭の中にある「知恵の舘バイトゥルヒクマ」に存在する歴代の女王たちの記録をインストールした。
その際にレインは、ユワの記録だけは本人の体に戻すために残したと言っていた。
だが、ショウゴやレインに続きタカミが城塞戦車の女王の間にたどり着いたとき、ユワの体はすでに遣田ハオトに憑依されてしまっていた。
遣田をユワの体から追い出すためには、あの場にいた誰かの体に、一度遣田を憑依させなければいけなかった。
だが、遣田の他者の肉体への憑依は不完全な能力で、彼に一度憑依された体は、彼が次の憑依先に移った瞬間、脳が焼ききれてしまうようなものだった。憑依された瞬間に対象者の精神が焼ききれてしまうこともあるものだった。
ユワの体はその蘇生にすでに千年細胞が使われていたから、全身の細胞が千年細胞に置き換わっていた。
だからたとえ脳が焼ききれてしまったとしてもユワは脳の再生が可能だった。
しかし、あの場にいた遣田の憑依先の候補者の中には、彼の能力に耐えられる千年細胞の持ち主はハルミしかいなかった。
だから、ユワの体ごと遣田を殺すしか、彼を止めることはできなかった。
ユワの体に戻すはずの記録は、レインが今もバイトゥルヒクマに持っているはずだった。
彼女を黄泉返らせたのはレインなのか。それとも別の誰なのか。レインならば知っているだろう。
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