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第五話:『瘴顎昂(しょうがっこう)の幻影』
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大悟たち『無銘古布慄』の案内で辿り着いたのは、 die顎昂(だいがっこう)の麓に広がる、視界不良の湿地帯だった。
そこは、アナルバイブ男爵が放つ精神干渉波が濃縮された死のエリア。立ち込める紫色の霧は、通称『瘴顎昂(しょうがっこう)』と呼ばれ、吸い込んだ者の脳裏に「人生で最も惨めだった学業上の失敗」を再生させる呪いの煙だ。
「……瑠璃さん、ここから先は俺たちじゃ無理だ……。凡人には、この霧の重圧は……耐えられねえ……っ」
大悟たちが霧の入り口で膝をつき、鼻血を流しながら「名前の書き忘れが……!」「マークシートが一列ずれて……!」と譫言(うわごと)を漏らし始める。
「大悟さん! ……大丈夫、私が……私がなんとかするから!」
私は一人、霧の中へと足を踏み入れた。
その瞬間、霧が私の肌を這い回る。マイクロビキニの細い鎖が、霧の圧力に抗うように激しく発光した。布面積は今や、切手一枚分にも満たない。
『――ラピスラズリ。お前は覚えているか? 中学二年生、数学の中間テスト……』
霧の中から、おどろおどろしい声が響く。
視界が歪み、目の前に巨大な「0点」と書かれた答案用紙が浮かび上がった。
「な、……何よこれ……っ」
『お前は……最後の計算問題で…… 2 × 3 を 5 と書き、……一人だけ居残りをさせられた……。その時、……片想いしていた男の子に……窓の外から笑われた……あの情景を……!』
「やめて!! それは、それは本当に恥ずかしいやつだから!!」
記憶がフラッシュバックする。夕暮れの教室。消しゴムのカス。そして、窓越しに目が合ったあの子の憐れみの表情。
精神(メンタル)が削られる。けれど、その「精神的な痛み」は、そのままマイクロビキニの動力源へと直結した。
「あああああ恥ずかしい!! 死にたい! 穴があったら入りたい!! っていうか、こんな格好で0点の答案を見てる今が、一番死ぬほど恥ずかしいわよ!!」
ドォォォォォン!!
私の身体から、これまでの比ではない濃度の紫オーラが噴出した。
羞恥心が臨界を突破し、物理現象を書き換え始める。私の周囲三メートルだけ、霧が恐怖で逃げ出し、真空のような清浄空間が生まれた。
『な……っ、なんだその強引な自己肯定は! 普通、過去のミスに絶望して自害するはずだぞ!?』
「絶望してるわよ! でも、恥ずかしさが絶望を追い越しちゃったのよ!!」
私は霧の核――中央で不気味に蠢く、巨大な「コンパスの針」のような形をした魔物に向けて突進した。
走るたびにナノサイズのビキニが激しく食い込み、私の羞恥心は一歩ごとにギガ、テラ、ペタ、エクサへと膨れ上がっていく。
「――『誅顎昂(ちゅうがっこう)』!!」
私は顎を震わせ、泣きながら王授剣を一閃した。
剣筋から放たれたのは、過去のミスを「なかったこと」にするのではなく、「笑い飛ばして燃料にする」という、開き直りの衝撃波。
バリバリバリ!!
瘴気の霧が、私の羞恥オーラに当てられて消滅していく。
答案用紙の幻影は粉々に砕け散り、霧の魔物は「偏差値が……判定がぁぁ!」と叫びながら蒸発していった。
霧が晴れる。
私は地面に手をつき、肩で息をしていた。
「……はぁ……、はぁ……。……数学、……やり直そうかな……」
背後で倒れていた大悟たちが、霧から解放されて意識を取り戻した。彼らは、霧が晴れた平原の中央で、……逆光を浴びながら、ほぼ全裸で(でも神々しく)立ち尽くす私の姿を見て、再び固まった。
「……勇者様……。あんた、……数学の計算ミスを……その露出で解決したのか……?」
「うるさい!! 見ないで! 忘れて! ……今すぐ、次のステージに行くわよ!!」
私は真っ赤な顔で叫び、 die顎昂(だいがっこう)の城門へと走り出した。
羞恥心が強くなるほど、私の肌は鋼鉄よりも硬くなり、私の心はより繊細に、傷つきやすくなっていく。
城門の向こう側から、中等部の騎士たちの気配が近づいてくる。
私は、ナノビキニの鎖を指で整えながら、凛として(でも泣きそうに)剣を構えた。
「……待ってなさい。……計算ミスをした女の子が、……世界を救っちゃいけないなんて、……どの参考書にも書いてないんだから!」
そこは、アナルバイブ男爵が放つ精神干渉波が濃縮された死のエリア。立ち込める紫色の霧は、通称『瘴顎昂(しょうがっこう)』と呼ばれ、吸い込んだ者の脳裏に「人生で最も惨めだった学業上の失敗」を再生させる呪いの煙だ。
「……瑠璃さん、ここから先は俺たちじゃ無理だ……。凡人には、この霧の重圧は……耐えられねえ……っ」
大悟たちが霧の入り口で膝をつき、鼻血を流しながら「名前の書き忘れが……!」「マークシートが一列ずれて……!」と譫言(うわごと)を漏らし始める。
「大悟さん! ……大丈夫、私が……私がなんとかするから!」
私は一人、霧の中へと足を踏み入れた。
その瞬間、霧が私の肌を這い回る。マイクロビキニの細い鎖が、霧の圧力に抗うように激しく発光した。布面積は今や、切手一枚分にも満たない。
『――ラピスラズリ。お前は覚えているか? 中学二年生、数学の中間テスト……』
霧の中から、おどろおどろしい声が響く。
視界が歪み、目の前に巨大な「0点」と書かれた答案用紙が浮かび上がった。
「な、……何よこれ……っ」
『お前は……最後の計算問題で…… 2 × 3 を 5 と書き、……一人だけ居残りをさせられた……。その時、……片想いしていた男の子に……窓の外から笑われた……あの情景を……!』
「やめて!! それは、それは本当に恥ずかしいやつだから!!」
記憶がフラッシュバックする。夕暮れの教室。消しゴムのカス。そして、窓越しに目が合ったあの子の憐れみの表情。
精神(メンタル)が削られる。けれど、その「精神的な痛み」は、そのままマイクロビキニの動力源へと直結した。
「あああああ恥ずかしい!! 死にたい! 穴があったら入りたい!! っていうか、こんな格好で0点の答案を見てる今が、一番死ぬほど恥ずかしいわよ!!」
ドォォォォォン!!
私の身体から、これまでの比ではない濃度の紫オーラが噴出した。
羞恥心が臨界を突破し、物理現象を書き換え始める。私の周囲三メートルだけ、霧が恐怖で逃げ出し、真空のような清浄空間が生まれた。
『な……っ、なんだその強引な自己肯定は! 普通、過去のミスに絶望して自害するはずだぞ!?』
「絶望してるわよ! でも、恥ずかしさが絶望を追い越しちゃったのよ!!」
私は霧の核――中央で不気味に蠢く、巨大な「コンパスの針」のような形をした魔物に向けて突進した。
走るたびにナノサイズのビキニが激しく食い込み、私の羞恥心は一歩ごとにギガ、テラ、ペタ、エクサへと膨れ上がっていく。
「――『誅顎昂(ちゅうがっこう)』!!」
私は顎を震わせ、泣きながら王授剣を一閃した。
剣筋から放たれたのは、過去のミスを「なかったこと」にするのではなく、「笑い飛ばして燃料にする」という、開き直りの衝撃波。
バリバリバリ!!
瘴気の霧が、私の羞恥オーラに当てられて消滅していく。
答案用紙の幻影は粉々に砕け散り、霧の魔物は「偏差値が……判定がぁぁ!」と叫びながら蒸発していった。
霧が晴れる。
私は地面に手をつき、肩で息をしていた。
「……はぁ……、はぁ……。……数学、……やり直そうかな……」
背後で倒れていた大悟たちが、霧から解放されて意識を取り戻した。彼らは、霧が晴れた平原の中央で、……逆光を浴びながら、ほぼ全裸で(でも神々しく)立ち尽くす私の姿を見て、再び固まった。
「……勇者様……。あんた、……数学の計算ミスを……その露出で解決したのか……?」
「うるさい!! 見ないで! 忘れて! ……今すぐ、次のステージに行くわよ!!」
私は真っ赤な顔で叫び、 die顎昂(だいがっこう)の城門へと走り出した。
羞恥心が強くなるほど、私の肌は鋼鉄よりも硬くなり、私の心はより繊細に、傷つきやすくなっていく。
城門の向こう側から、中等部の騎士たちの気配が近づいてくる。
私は、ナノビキニの鎖を指で整えながら、凛として(でも泣きそうに)剣を構えた。
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