​マイクロビキニアーマーの美少女勇者 対 アナルバイブ男爵 ―アジル・イマ戦記 勇者ラピスラズリの性受験英雄譚 学歴の頂、露出の果てに―

あめの みかな

文字の大きさ
4 / 30

​第四話:『無銘古布慄(むめいこうりつ)の残党』

しおりを挟む
​ 「死抵抗水仙(していこうすいせん)の森」の出口には、エリートたちの優雅な空気とは対極の、鉄錆と生活臭の入り混じった湿地帯が広がっていた。
 そこは、アナルバイブ男爵の圧政に抗う反乱軍『無銘古布慄(むめいこうりつ)』の潜伏地。
 
 私は、もはや「鎖のコスチューム」と化した装備を両手で必死に押さえながら、泥濘の中を進んでいた。
 先ほどの慶旺との戦いの余波で、マイクロビキニの布地は縮小を続け、今や左右の胸を繋ぐのは、髪の毛ほどの細い金糸一本。一歩踏み出すたびに、鎖が食い込み、私の精神は「羞恥」という名の超高圧ボイラーと化していた。

​「……あ、あの、誰か……誰かいませんか……っ。見ないでほしいけど、助けてほしいっていうか……!」

​ その時、泥の中から無数の竹槍が突き出された。

​「動くな! エデュカシオンの回し者か、それともアナルバイブ男爵の放ったハニートラップか!」

​ 現れたのは、ボロボロの学生服を鎧のように改造し、額に「必勝」と書かれた汚れたハチマキを締めた男たちだった。彼らの装備は旧式で、魔法の輝きもない。だが、その瞳には、偏差値の壁に何度も跳ね返されてきた者特有の、暗く、それでいて消えない執念の火が灯っていた。

​「私は勇者ラピスラズリよ! アナルバイブ男爵を倒すために、お城から派遣されたの!」

​ 私が叫ぶと、戦士の一人――筋骨隆々の巨漢である『大悟(だいご)』が、竹槍を構えたまま絶句した。
 彼の視線は、私の「ほぼ素肌」の肩から、鎖が食い込む腰回り、そして泥に汚れ、より強調された脚へと吸い寄せられていく。

​「……勇者……? 嘘をつけ。そんな、……そんな『親が見たら泣くような格好』をした勇者がいるか! お前、さては……幽迷死率が放った、俺たちの集中力を乱すための魔性の刺客だな!?」

​「違うわよ! これは、王家に伝わる……えっと……『全方位視線吸収型・精神防御装甲』なの! 恥ずかしくなればなるほど、私は強くなるんだから!」

​「理屈が通らねえ! ……野郎ども、構えろ! この女の『露出』に屈するな! 邪念を捨てろ! 単語帳を思い出せ!」

​ 無銘古布慄の戦士たちが、一斉に竹槍を突き出してくる。
 だが、その攻撃には殺気よりも、「見てはいけないものを見てしまった」という動揺が混じっていた。

​「――『梵酔嶽乞(ぼんようがっこう)』!!」

​ 大悟たちが叫びながら放ったのは、派手さはないが確実に相手の動きを封じる、集団による包囲術。それは、特別な才能を持たない凡人たちが、数の暴力でエリートに対抗するために編み出した、悲しき泥仕合の奥義だった。

​「うぅ……、そんな、大勢で一斉に……私を見ないで……っ! 恥ずかしい……、消えてしまいたい……!!」

​ 私の絶叫とともに、マイクロビキニの鎖が真っ赤に加熱し、爆発的な衝撃波を放った。
 「見ないで!」という乙女の拒絶が、物理的な斥力となって大悟たちの竹槍を粉々に砕く。泥の湿地帯が、私の羞恥の熱量で一気に干上がり、湯気が立ち込めた。

​「な……っ。この圧倒的な『拒絶の力』……。俺たちの、凡庸な努力を……一瞬で無に帰すだと……!?」
​ 大悟は、折れた竹槍を手に、呆然と私を見上げた。
 
「……わかった。わかったよ、あんたが本物の勇者だってことは。……これだけの『恥』を背負って戦えるのは、……正気じゃねえ。……いや、並大抵の覚悟じゃねえってことだ」

​ 大悟は泥の上に膝をつき、深々と頭を下げた。
 
「勇者ラピスラズリ。……いや、瑠璃さん。……疑って悪かった。俺たち『無銘古布慄』は、あんたのその……凄まじい『脱ぎっぷり』……いや、『戦いっぷり』に賭けることにする」

​「……わかってくれればいいのよ。……でも、お願いだから、あんまりじろじろ見ないで……。防御力が上がりすぎて、私が爆発しそうだから……」

​ 私は、両手で顔を覆いながら蹲った。
 大悟は、自分の汚れた学ランを脱いで私に差し出そうとしたが、私の身体から放たれる羞恥のオーラが熱すぎて、近づくことさえできなかった。

​「……瑠璃さん。……アナルバイブ男爵の居城『die顎昂(だいがっこう)』へ行くには、この先にある『宇良朽孨咢(うらぐちにゅうがく)』の隠し通路を通るしかない。……案内しよう。……ただし、通路は狭い。……あんたのその格好じゃ……、……俺たちの心臓が持つかどうか……」

​「……私の方が、……心臓が止まりそうよ……っ!」

​ 私は、泥まみれになりながらも、彼らの後に続いた。
 エリートに敗れ、泥を啜りながら生きてきた戦士たち。彼らの視線は重く、けれど慶旺のような蔑みはなかった。
 それが、私の羞恥心を、これまでとは違う「守るための熱さ」に変えていく。
​ 一歩進むごとに、私のマイクロビキニはさらに食い込み、装甲はナノサイズへと近づいていく。
 
「……見てなさいよ、男爵。……私が、この『無名の戦士たち』と一緒に、……あんたの用意した『合格発表』を……ひっくり返してあげるんだから!」

​ 泥を跳ね上げながら走る私の後ろ姿は、もはや「裸」に等しかったが、その背中には、どんな重甲冑よりも力強い「勇者の誇り」が宿り始めていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

冴えない建築家いずれ巨匠へと至る

木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」 かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。 安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。 現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。 異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

魔王と呼ばれた勇者、或いは勇者と呼ばれた魔王 〜最強の魔剣で自由に生きる! 金も女も、国さえも思いのまま!! …でも何かが違うみたいです

ちありや
ファンタジー
クラスメートからのイジメが元で死んでしまった主人公は、その報われぬ魂を見かねた女神によって掬い上げられ異世界で転生する。 女神から授けられた不思議な剣を持つことで、彼はあらゆる敵に打ち勝ちあらゆる難問を解き明かし、あらゆる女性を虜にする力を手に入れる。 無敵の力を手に入れた男が次に望む物は果たして…? 不定期連載(7〜10日間隔で出していく予定)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...