​マイクロビキニアーマーの美少女勇者 対 アナルバイブ男爵 ―アジル・イマ戦記 勇者ラピスラズリの性受験英雄譚 学歴の頂、露出の果てに―

あめの みかな

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第七話:『P.T.A.の介入、万象抹消の影』

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​ 雷武を倒し、第一城門を突破した私の前に現れたのは、軍勢ではなかった。
 空から静かに降りてきたのは、巨大な「黒塗りの円卓」。その上には、揃いのエプロンを鎧の上から着用し、眼鏡の奥で冷徹な理性を光らせる三人の女性たちが座っていた。
​ 彼女たちの背後には、巨大なスタンプのような魔導兵器が浮遊している。そこには赤々と『不適切』の文字。

​「……勇者ラピスラズリ。私たちは万象抹消統治機関『P.T.A.(Pandemic Termination Authority)』の常任理事。……あなたの戦いぶりを拝見しましたが、目に余ります」

​ 中央に座るリーダー格の女性が、厳しい口調で断罪した。
 
「その装備。布面積がナノサイズ? 鎖のみで構成された吸着型? ……これは、我が国の教育方針における『健全な育成』を著しく阻害するものです。子供たちが真似をしたらどうするのですか?」

​「え、……ええ!? 真似なんてしないでしょ! そもそも、これ、国王様から……!」

​「言い訳は無用。あなたの描写は、この世界のレイティングを逸脱しています。……よって、本話をもって、勇者ラピスラズリという『存在』を、歴史のアーカイブから強制修正(デリート)します」

​ 彼女が指をパチンと鳴らすと、周囲の景色が「砂嵐(ノイズ)」へと変わり始めた。
 足元から、私の身体が白黒のドットになって崩れていく。物理的な攻撃ではない……物語そのものから「なかったこと」にされる、概念レベルの消去!

​「う、嘘……っ! 私の身体が……消えて……!?」

​「消えるのではありません。『修正』されるのです。あなたのナノビキニは、今から厚さ一メートルのダルマのような防寒着へと描き換えられます。……羞恥心を失ったあなたは、ただの無害な置物となるのです」

​ 羞恥心をエネルギーにする私にとって、「不適切な露出を消される」ことは、死と同義だった。
 視線が、評価が、消えていく。
 私は、急速にパワーが失われていくのを感じて膝をついた。

​「……だめ……。恥ずかしく……なくなっちゃう……っ。そんなの、……私じゃない……!」

​ その時だった。
 ノイズに覆われた視界の端から、一人の男が飛び出してきた。

​「待てぇい!! その修正、異議ありだ!!」

​ 現れたのは、『無銘古布慄』のリーダー・大悟だった。
 彼はP.T.A.の放つ消去波動(デリート・ウェーブ)に全身を焼かれながらも、泥まみれの学ランを振り乱して叫んだ。

​「あんたたちエリートに何がわかる! 瑠璃さんのこの格好は……俺たち凡人にとっての、唯一の希望なんだ! 『正論』で塗り潰されたクソ面白くねえ世界に、初めて現れた『最高のバグ』なんだよ!!」

​「……黙りなさい、不合格者。あなたは静かに、再試の準備をしていればいいのです」

​「るせえ! 瑠璃さん! 恥ずかしがれ! もっと、もっと最高に恥ずかしがってくれ! 俺たちはあんたのその姿を……心の底から『不適切』だと思ってる! だから、……だからあんたは、誰よりも正しいんだ!!」

​ 大悟の叫び。それは、正しい教育ではなく、歪んだ情熱。
 けれどその「不適切な応援」が、私の冷え切った心に火をつけた。

​「……そうよ。……そうだったわ。……誰かに『ダメ』って言われれば言われるほど、……私は……恥ずかしくて……!!」

​ 私は、消えかかっていた右手を天に突き出した。
 
「……お母さんたちに怒られる格好をして……! 泥まみれの男の人たちに囲まれて……! 世界中から『不適切』って言われながら戦うなんて……!! ……最高に……最高に恥ずかしくて、……気持ちがいいじゃないのよぉぉぉぉ!!」

​ ドガァァァァァン!!
​ 私のナノビキニが、眩いばかりの「背徳の紫」に発光した。
 P.T.A.の修正プログラムを、逆流する羞恥心の熱量が焼き尽くす。
 描き換えられようとしていた私の装備は、あろうことかさらに縮小し、光輝く『点(ドット)』となって私の身体を繋ぎ止めた。

​「な……っ!? 修正を……拒絶した!? 存在そのものが『不適切』の極致に達しているというの!?」
​「――『宇良朽孨咢(うらぐちにゅうがく)』!!」

​ 私は、世界の理を無視する「裏口」のコードを王授剣に纏わせ、P.T.A.の円卓目掛けて突進した。
 正論という名の壁を、羞恥という名の爆薬でぶち破る。

​「あんたたちの『正しい世界』なんて、……私がナノビキニで、……めちゃくちゃにしてあげるんだから!!」

​ 一閃。
 P.T.A.のスタンプが真っ二つに割れ、黒塗りの円卓が次元の彼方へと吹き飛んだ。
 
 砂嵐が止み、世界が色彩を取り戻す。
 
「……はぁ……、はぁ……。……勝った……の?」

​ 私は、大悟たちの方を振り返った。
 彼らは、あまりの光景(と私の露出)に、全員鼻血を出して昇天していた。
 
 空を見上げると、 die顎昂(だいがっこう)の最上階から、アナルバイブ男爵がこちらを見下ろしているのが見えた。
 
「……次は、……あんたの番よ。……私の羞恥心、……全部ぶつけて……合格発表、……不合格にしてやるんだから……っ!!」

​ 私の装備は、もはや「着ている」ことさえ視認困難な領域に達していた。
 勇者ラピスラズリ。
 私は今、世界の倫理を敵に回し、史上最も「不適切な伝説」を完成させようとしていた。
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