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第八話:『die顎昂(だいがっこう)の巨大要塞』
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P.T.A.の修正を退けた私たちが辿り着いたのは、天を突くほどに巨大な、鉛筆の形をした尖塔が並ぶ要塞『die顎昂(だいがっこう)』だった。
城門をくぐった瞬間に感じたのは、暴力的なまでの静寂。そして、幾兆ものインクの匂いだ。
要塞の床は全面が巨大な「マークシート」で構成されており、壁には延々と「残り時間あと五分」という文字が血のような赤で刻まれている。
「……瑠璃さん、ここだ。ここが地獄の本丸だ……」
大悟が、恐怖に震えながら呟く。
私の装備は、P.T.A.との戦いを経て、もはや「素肌の上に黄金のラメが数粒、戦略的に配置されているだけ」という概念武装:ピーキング・ナノビキニへと進化していた。
一呼吸するだけでラメが剥がれ落ちそうな絶望的な露出。その羞恥心が、私の身体をダイヤモンドよりも硬い「拒絶の鎧」へと変えている。
「――ようこそ、受験番号9314(クサイヨ)番、ラピスラズリくん」
要塞のスピーカーから、アナルバイブ男爵の、ぬらりとした声が響き渡った。
「ここからは『最終筆記試験』だ。一歩歩くごとに、君には一問の問題が出される。正解すれば次のマスへ進めるが、不正解なら、床から突き出す『不採用(デリート)』の針が君のその……素晴らしい肢体を貫くことになる」
「……ふざけないで! 私はあんたを倒しに来たのよ!」
「ならば歩くがいい。……第一問。――『君の両親が、今の君の姿を見た時の心境を、三十字以内で述べよ』」
「……っ!!?」
あまりにも残酷な、メンタルへの直接攻撃。
脳裏に、田舎で私の帰りを待つ母さんと、厳格だった父さんの顔が浮かぶ。娘が「ほぼ全裸のラメ塗装」で、男たちに囲まれて巨大な鉛筆の塔を登っていると知ったら……。
「う、うああああああ!! 恥ずかしい!! 申し訳ない!! でも、でも言わなきゃ進めないじゃないのよ!!」
私は、羞恥心で真っ赤になった顔をマークシートに叩きつけるように叫んだ。
「解答! 『絶句したのち、家系図から私の名前を消して、寺に駆け込む』!!」
ピンポーン! という無機質なチャイムが鳴り、前方のマスが光った。正解。
「な……っ!? 今のが正解なのかよ!?」
大悟が驚愕するが、私はそれどころではなかった。恥ずかしさの熱量で、身体から紫の蒸気が立ち上っている。
「……正解よ。……だって、……事実だもの……っ!!」
『第二問。――「なぜ君の布面積は、戦うたびに減っていくのか? その物理的・論理的根拠を証明せよ」』
「……それは……っ! 露出の慣れ(エントロピー)をリセットするために、……より過激な刺激を……脳に与え続けることで……、……ええい、もううるさいわね!!」
私は王授剣を抜き、マークシートの床を力任せに切り裂いた。
「問題」という理屈を、「羞恥」というパッションで無理やり突破する。
「解答はこれよ!! ――私が恥ずかしければ恥ずかしいほど、世界は私の味方をするの!! 根拠は、今の私の心拍数が二〇〇を超えてることよ!!」
ドガガガガァァァン!!
マークシートの床が爆発した。
論理を無視した解答に、要塞のシステムがエラーを起こし、エラー音(悲鳴)が鳴り響く。
私は、ラメが剥がれ落ちるのも厭わず、要塞の中央階段を一気に駆け上がった。
「見てなさいアナルバイブ男爵! 記述式だろうが論文だろうが、私の『恥辱のエネルギー』で全部白紙(リセット)にしてあげるんだから!!」
背後で、針に貫かれそうになった無銘古布慄の戦士たちが、「勇者様の尻が……光り輝いている……!」と拝むように叫ぶ声が聞こえた。
私は、羞恥の果てに、ついに男爵の待つ最上階『合格発表の間』の扉に手をかけた。
扉の向こう側からは、この世の全ての学歴と、全ての欲望を煮詰めたような、ドロドロとした暗黒のプレッシャーが漏れ出していた。
城門をくぐった瞬間に感じたのは、暴力的なまでの静寂。そして、幾兆ものインクの匂いだ。
要塞の床は全面が巨大な「マークシート」で構成されており、壁には延々と「残り時間あと五分」という文字が血のような赤で刻まれている。
「……瑠璃さん、ここだ。ここが地獄の本丸だ……」
大悟が、恐怖に震えながら呟く。
私の装備は、P.T.A.との戦いを経て、もはや「素肌の上に黄金のラメが数粒、戦略的に配置されているだけ」という概念武装:ピーキング・ナノビキニへと進化していた。
一呼吸するだけでラメが剥がれ落ちそうな絶望的な露出。その羞恥心が、私の身体をダイヤモンドよりも硬い「拒絶の鎧」へと変えている。
「――ようこそ、受験番号9314(クサイヨ)番、ラピスラズリくん」
要塞のスピーカーから、アナルバイブ男爵の、ぬらりとした声が響き渡った。
「ここからは『最終筆記試験』だ。一歩歩くごとに、君には一問の問題が出される。正解すれば次のマスへ進めるが、不正解なら、床から突き出す『不採用(デリート)』の針が君のその……素晴らしい肢体を貫くことになる」
「……ふざけないで! 私はあんたを倒しに来たのよ!」
「ならば歩くがいい。……第一問。――『君の両親が、今の君の姿を見た時の心境を、三十字以内で述べよ』」
「……っ!!?」
あまりにも残酷な、メンタルへの直接攻撃。
脳裏に、田舎で私の帰りを待つ母さんと、厳格だった父さんの顔が浮かぶ。娘が「ほぼ全裸のラメ塗装」で、男たちに囲まれて巨大な鉛筆の塔を登っていると知ったら……。
「う、うああああああ!! 恥ずかしい!! 申し訳ない!! でも、でも言わなきゃ進めないじゃないのよ!!」
私は、羞恥心で真っ赤になった顔をマークシートに叩きつけるように叫んだ。
「解答! 『絶句したのち、家系図から私の名前を消して、寺に駆け込む』!!」
ピンポーン! という無機質なチャイムが鳴り、前方のマスが光った。正解。
「な……っ!? 今のが正解なのかよ!?」
大悟が驚愕するが、私はそれどころではなかった。恥ずかしさの熱量で、身体から紫の蒸気が立ち上っている。
「……正解よ。……だって、……事実だもの……っ!!」
『第二問。――「なぜ君の布面積は、戦うたびに減っていくのか? その物理的・論理的根拠を証明せよ」』
「……それは……っ! 露出の慣れ(エントロピー)をリセットするために、……より過激な刺激を……脳に与え続けることで……、……ええい、もううるさいわね!!」
私は王授剣を抜き、マークシートの床を力任せに切り裂いた。
「問題」という理屈を、「羞恥」というパッションで無理やり突破する。
「解答はこれよ!! ――私が恥ずかしければ恥ずかしいほど、世界は私の味方をするの!! 根拠は、今の私の心拍数が二〇〇を超えてることよ!!」
ドガガガガァァァン!!
マークシートの床が爆発した。
論理を無視した解答に、要塞のシステムがエラーを起こし、エラー音(悲鳴)が鳴り響く。
私は、ラメが剥がれ落ちるのも厭わず、要塞の中央階段を一気に駆け上がった。
「見てなさいアナルバイブ男爵! 記述式だろうが論文だろうが、私の『恥辱のエネルギー』で全部白紙(リセット)にしてあげるんだから!!」
背後で、針に貫かれそうになった無銘古布慄の戦士たちが、「勇者様の尻が……光り輝いている……!」と拝むように叫ぶ声が聞こえた。
私は、羞恥の果てに、ついに男爵の待つ最上階『合格発表の間』の扉に手をかけた。
扉の向こう側からは、この世の全ての学歴と、全ての欲望を煮詰めたような、ドロドロとした暗黒のプレッシャーが漏れ出していた。
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