​マイクロビキニアーマーの美少女勇者 対 アナルバイブ男爵 ―アジル・イマ戦記 勇者ラピスラズリの性受験英雄譚 学歴の頂、露出の果てに―

あめの みかな

文字の大きさ
15 / 30
『マイクロビキニアーマーの女勇者 対 アナルバイブ男爵:Re-Birth』

​第三話:『第二の星「璇」 ― 璇堂美玲の氷結(前編)』

しおりを挟む
​ 都内の気温が、異常な速度で低下していた。
 もう三月だというのに、街路樹の葉がダイヤモンドダストのように凍りつき、道行く人々の吐息は白さを超えて、アスファルトに氷の粒となって落ちている。

​「さ、さむい……っ。お兄ちゃん、これ絶対、普通の冬じゃないよ……!」

​ 私は、お兄ちゃんの黒いロングコートの中に潜り込むようにして、ガタガタと震えていた。
 コートの下は、相変わらずのゼロ・ナノビキニ。肌を刺す冷気が、私の羞恥心を無理やり「生存本能」へと書き換えようとする。けれど、この格好でお兄ちゃんのコートの中に密着しているという事実が、私の頬に消えない熱を灯していた。

​「……当然だ。第二の星、天璇。……名を璇堂(せんどう)美玲。……彼女が、このエリアの『熱』を奪い、自らの魔力に変換している」

​ お兄ちゃんは、検眼枠(テストフレーム)のレンズをカチャリと切り替えた。
 彼の視線の先にあるのは、都心にそびえ立つ全面ガラス張りのオフィスビル。その最上階、外資系コンサルタントとして名を馳せる美玲のオフィスからは、絶対零度の冷気が濁流のように溢れ出していた。

​「……度数調整、マイナス8.00。……表面的な知性の奥に隠された、凍てついた傲慢(ピント)を見抜く。……瑠璃、コートを脱げ」

​「ええっ!? 今ここで!? 外はマイナス10度くらいあるよ!? 凍死しちゃうよ!!」

​「……安心しろ。お前の羞恥心による熱暴走(サーマル・スロットリング)があれば、氷点下など風呂上がり同然だ」

​ お兄ちゃんは、無慈悲に私の肩からコートを剥ぎ取った。

​「――っ、ひ、……ひぃぃぃぃ!! 恥ずかしい! 寒い! でもやっぱり恥ずかしさが勝つぅぅぅ!!」

​ ドォォォォォン!!
​ 極寒の街角で、ほぼ全裸の美少女が紫色のオーラを噴き上げる。その熱量で周囲の雪が瞬時に蒸発し、一面に深い霧が立ち込めた。この蒸気こそが、私たちの隠れ蓑だ。

​ 私たちは、その霧に紛れてビルへと突入した。
​ 最上階。そこは、床も壁もすべてが青白い氷で覆われた、死の玉座の間だった。
 中央のデスクに座る璇堂美玲は、冷徹な美貌に眼鏡を光らせ、こちらを蔑むように見下ろした。

​「おやおや、……下品な熱源が紛れ込んだと思えば。……天城星哉。そして、死んだはずの妹、瑠璃……。……学歴も教養もない者が、私の神聖な領域に足を踏み入れるなど、計算外の汚物ね」

​ 美玲がペンを走らせると、空間の水分が結晶化し、無数の氷の刃となって私に降り注いだ。

​「――『氷結選民(フリーズ・エリート)』!!」

​「くっ……! 見ないで! 見ないでって言ってるでしょ、この氷の眼鏡女!!」

​ 私は、飛び散る氷の刃を、恥じらいのオーラを纏った「王授剣(おじゅけん)」で叩き落とした。
 だが、美玲の冷気は並大抵のものではない。一撃防ぐごとに、私のナノビキニの鎖が凍りつき、輝きを失っていく。防御力が……冷え切っていく。

​「ふふ、……無駄よ。私の冷気は、あなたのその『安っぽい感情』ごと、無機質なデータへと変えてあげる。……裸で踊るだけの勇者に、何ができるというの?」

​「……っ……。お兄ちゃん……! ダメ、身体が動かなく……」

​ その時、お兄ちゃんが背後から私の耳元で囁いた。

​「……瑠璃。……装備のパッチ(更新)だ。……今ここで、生着替えをしろ」

​「――はあぁぁぁぁ!? 今、この女の前で!? 絶賛戦闘中なのに!?」

​「……そうだ。お前が今、最も見られたくないタイミングで、最も見られたくない姿を晒す。……その時、羞恥心は『核融合』に達する。……行け」

​ お兄ちゃんが、トライアルレンズセットから「七色のプリズムレンズ」を取り出し、検眼枠に差し込んだ。

​「……ええい、もう、どうにでもなれぇぇ!!」

​ 私は、凍りついたナノビキニを自らの手で引きちぎった。

 全裸。

 一瞬、オフィス内の温度が、絶対零度から火口付近の熱度へと跳ね上がった。
 
 私の身体を、新しい黄金の光が包み込む。
 それは、ナノを超え、原子レベルで肌に吸着する『原子的(アトミック)マイクロビキニ』。

​「――恥ずかしいいいいいいいいいいいい!! 今、私、一番見られたくない瞬間に! 世界で一番はしたない格好になったわよぉぉぉぉ!!」

​ ドゴォォォォォォォォン!!
​ オフィス全体を揺るがす、超高温の羞恥ウェーブ。
 美玲の作り上げた氷の世界が、断末魔のような音を立てて溶け出した。

​「な……っ、何ですって!? 私の完璧な理論値が……、……あんな、あんな破廉恥な感情に……蒸発させられるなんて……っ!!」

​「――今だ、お兄ちゃん!! 彼女の『凍った心』、……そのピントを狂わせて!!」

​ お兄ちゃんが、虹色の残光を引いて宙を舞った。
 検眼枠の中、美玲の喉元にある「第二の核」が、赤々と強調(ハイライト)されていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

冴えない建築家いずれ巨匠へと至る

木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」 かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。 安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。 現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。 異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

魔王と呼ばれた勇者、或いは勇者と呼ばれた魔王 〜最強の魔剣で自由に生きる! 金も女も、国さえも思いのまま!! …でも何かが違うみたいです

ちありや
ファンタジー
クラスメートからのイジメが元で死んでしまった主人公は、その報われぬ魂を見かねた女神によって掬い上げられ異世界で転生する。 女神から授けられた不思議な剣を持つことで、彼はあらゆる敵に打ち勝ちあらゆる難問を解き明かし、あらゆる女性を虜にする力を手に入れる。 無敵の力を手に入れた男が次に望む物は果たして…? 不定期連載(7〜10日間隔で出していく予定)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...