​マイクロビキニアーマーの美少女勇者 対 アナルバイブ男爵 ―アジル・イマ戦記 勇者ラピスラズリの性受験英雄譚 学歴の頂、露出の果てに―

あめの みかな

文字の大きさ
14 / 30
『マイクロビキニアーマーの女勇者 対 アナルバイブ男爵:Re-Birth』

第二話:『第一の星「枢」 ― 枢木天音の虚飾(後編)』

しおりを挟む
「お、降りなさい! 止まりなさい! 公然わいせつ容疑および、殺人容疑の共犯で現行犯逮捕するわよ!!」

 背後で女性警察官の叫び声が響く。高級マンションの非常階段を、私は猛烈な勢いで駆け下りていた。
​ 今の私の格好をおさらいしよう。
 黄金のラメが数粒、胸元と股間にへばりついているだけの「概念武装:ゼロ・ナノビキニ」。
 一歩走るたびに、重力と風圧が私の「最後の防衛線」を剥がしにかかる。

​「無理無理無理!! 止まれるわけないでしょ、こんな格好で捕まったら、私の戸籍、復活する前に社会的に抹殺されちゃうわよぉぉぉ!!」

​ 私の絶叫とともに、背中の肩甲骨あたりから紫色の推進炎(アフターバーナー)が噴き出した。羞恥心が物理的な推進力に変換されている。
 
「……瑠璃、右だ。パトカーが回り込んでいる」

 横を並走する兄は、検眼枠(テストフレーム)をカチャカチャと弄りながら、涼しい顔で指示を出す。

​「指示出してる場合!? お兄ちゃん、私をコートに隠すとか、おんぶして覆い隠すとか、なんかあるでしょ!?」

「……馬鹿を言うな。お前のその『輝き』を隠せば、追っ手を撒くための目くらまし(フラッシュバン)が使えなくなる」

​ 冷酷!! 私の実の兄は、妹の露出を戦術兵器としてしか見ていない!! 嘘でしょ!?
​ 非常階段を飛び降り、裏路地へ着地した瞬間。前方から三台のパトカーがサイレンを鳴らして突っ込んできた。ヘッドライトが、私の無防備すぎる全身を真っ白に照らし出す。

​「――っ、見ないでぇぇぇぇ!!」

​ ドガァァァァァン!!
​ 反射的に発動した全方位恥辱オーラが、パトカーのフロントガラスを一瞬で曇らせ、タイヤをパンクさせた。
 その隙に、お兄ちゃんが私の手首を掴んで、下水道のマンホールへと飛び込む。


​ ジメジメとした地下水路。
 地上からのサイレンの音が遠ざかる中、私は膝をついて肩で息をした。

​「……もう、嫌。なんで私がこんな……。せっかくお兄ちゃんと再会できたのに、毎日が全裸逃走中なんて……」

​「……瑠璃。これを見ろ」

 兄が、先ほど枢木天音を「切除」したメスの先端を見せてきた。
 そこには、一粒の黒い結晶がこびりついていた。

​「これが『天枢』の核の残滓だ。枢木天音という女は、慈善活動の裏で、この結晶を使って人々の『選民意識』を煽り、社会を内側から腐らせていた。お前がその格好で彼女の結界をぶち破らなければ、今頃都内の警察は全員、彼女の奴隷になっていた」

​「……私が脱ぐことで、都内の秩序が守られたっていうの? なにその、全然嬉しくない功績……」

​ その時、地下水路の奥から、不気味な笑い声が響いた。

『……ククク。……素晴らしい。実に素晴らしい羞恥心だ』

​「えっ……!? 誰!?」

​ 闇の中から現れたのは、崩壊したはずの枢木天音の「影」だった。
 肉体は失われ、真っ黒な霧のような姿をしているが、その瞳だけがギラギラと私を見つめている。

​『勇者ラピスラズリ……。あなたのその「不適切な姿」を、もっと世界に晒してあげましょう。……呪いなさい、あなたの隣にいるその「兄」を。彼が私を殺したことで、あなたの呪縛は永久に解けなくなったのよ!』

​ 影が私に飛びかかろうとした瞬間。
 お兄ちゃんが私の前に立ちふさがり、検眼枠のレンズを「超広角・高解像度」に切り替えた。

​「――ピント固定(ロックオン)。……お前の『負け惜しみ』、解像度が低すぎて見ていられない」

​ お兄ちゃんが空中に円を描くようにメスを振るうと、黒い霧は断末魔の叫びを上げて霧散した。
 
「……瑠璃。枢木天音は完全に消えた。……だが、北斗の星はあと六つある」

​ お兄ちゃんは、自分の黒いロングコートを脱ぐと、ようやく私の肩にふわりとかけてくれた。
 
「……お兄ちゃん」

「……帰って晩飯の続きだ。冷えた味噌汁は温め直せばいいが、お前のその『防御力』は冷やしてはならん。常に高めておけ」

​「……それって、『明日もその格好でいろ』ってことだよね!? お兄ちゃん、やっぱり犯人っていうか、確信犯だよねぇぇぇ!!」

​ 地下水路に、私の情けない叫びが響き渡る。
 
 殺人鬼『星喰いの凶星』。
 そして、その傍らでコート一枚を羽織り、震える足で歩くマイクロビキニの少女。
 
 世間では、この夜を境に、凄惨な「北斗七星殺人事件」の捜査が本格化することになる。
 けれど、天城家の食卓には、明日もまた、羞恥心という名のエネルギーが満ち溢れるはずだった。

​「……お兄ちゃん、次の魔王って天璇(てんせん)ていうんだっけ? その人って……美人?」

「……冷たい知性を持った、最悪の女だぞ」

「……わかったわ。……お姉ちゃん、もっともっと恥ずかしがって、そいつの鼻柱を折ってやるんだから……っ!!」

​ 月は沈み、不気味な北斗七星が、次なる生贄を示すように輝いていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

冴えない建築家いずれ巨匠へと至る

木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」 かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。 安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。 現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。 異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

魔王と呼ばれた勇者、或いは勇者と呼ばれた魔王 〜最強の魔剣で自由に生きる! 金も女も、国さえも思いのまま!! …でも何かが違うみたいです

ちありや
ファンタジー
クラスメートからのイジメが元で死んでしまった主人公は、その報われぬ魂を見かねた女神によって掬い上げられ異世界で転生する。 女神から授けられた不思議な剣を持つことで、彼はあらゆる敵に打ち勝ちあらゆる難問を解き明かし、あらゆる女性を虜にする力を手に入れる。 無敵の力を手に入れた男が次に望む物は果たして…? 不定期連載(7〜10日間隔で出していく予定)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...