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『マイクロビキニアーマーの女勇者 対 アナルバイブ男爵:Re-Birth』
第二話:『第一の星「枢」 ― 枢木天音の虚飾(後編)』
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「お、降りなさい! 止まりなさい! 公然わいせつ容疑および、殺人容疑の共犯で現行犯逮捕するわよ!!」
背後で女性警察官の叫び声が響く。高級マンションの非常階段を、私は猛烈な勢いで駆け下りていた。
今の私の格好をおさらいしよう。
黄金のラメが数粒、胸元と股間にへばりついているだけの「概念武装:ゼロ・ナノビキニ」。
一歩走るたびに、重力と風圧が私の「最後の防衛線」を剥がしにかかる。
「無理無理無理!! 止まれるわけないでしょ、こんな格好で捕まったら、私の戸籍、復活する前に社会的に抹殺されちゃうわよぉぉぉ!!」
私の絶叫とともに、背中の肩甲骨あたりから紫色の推進炎(アフターバーナー)が噴き出した。羞恥心が物理的な推進力に変換されている。
「……瑠璃、右だ。パトカーが回り込んでいる」
横を並走する兄は、検眼枠(テストフレーム)をカチャカチャと弄りながら、涼しい顔で指示を出す。
「指示出してる場合!? お兄ちゃん、私をコートに隠すとか、おんぶして覆い隠すとか、なんかあるでしょ!?」
「……馬鹿を言うな。お前のその『輝き』を隠せば、追っ手を撒くための目くらまし(フラッシュバン)が使えなくなる」
冷酷!! 私の実の兄は、妹の露出を戦術兵器としてしか見ていない!! 嘘でしょ!?
非常階段を飛び降り、裏路地へ着地した瞬間。前方から三台のパトカーがサイレンを鳴らして突っ込んできた。ヘッドライトが、私の無防備すぎる全身を真っ白に照らし出す。
「――っ、見ないでぇぇぇぇ!!」
ドガァァァァァン!!
反射的に発動した全方位恥辱オーラが、パトカーのフロントガラスを一瞬で曇らせ、タイヤをパンクさせた。
その隙に、お兄ちゃんが私の手首を掴んで、下水道のマンホールへと飛び込む。
ジメジメとした地下水路。
地上からのサイレンの音が遠ざかる中、私は膝をついて肩で息をした。
「……もう、嫌。なんで私がこんな……。せっかくお兄ちゃんと再会できたのに、毎日が全裸逃走中なんて……」
「……瑠璃。これを見ろ」
兄が、先ほど枢木天音を「切除」したメスの先端を見せてきた。
そこには、一粒の黒い結晶がこびりついていた。
「これが『天枢』の核の残滓だ。枢木天音という女は、慈善活動の裏で、この結晶を使って人々の『選民意識』を煽り、社会を内側から腐らせていた。お前がその格好で彼女の結界をぶち破らなければ、今頃都内の警察は全員、彼女の奴隷になっていた」
「……私が脱ぐことで、都内の秩序が守られたっていうの? なにその、全然嬉しくない功績……」
その時、地下水路の奥から、不気味な笑い声が響いた。
『……ククク。……素晴らしい。実に素晴らしい羞恥心だ』
「えっ……!? 誰!?」
闇の中から現れたのは、崩壊したはずの枢木天音の「影」だった。
肉体は失われ、真っ黒な霧のような姿をしているが、その瞳だけがギラギラと私を見つめている。
『勇者ラピスラズリ……。あなたのその「不適切な姿」を、もっと世界に晒してあげましょう。……呪いなさい、あなたの隣にいるその「兄」を。彼が私を殺したことで、あなたの呪縛は永久に解けなくなったのよ!』
影が私に飛びかかろうとした瞬間。
お兄ちゃんが私の前に立ちふさがり、検眼枠のレンズを「超広角・高解像度」に切り替えた。
「――ピント固定(ロックオン)。……お前の『負け惜しみ』、解像度が低すぎて見ていられない」
お兄ちゃんが空中に円を描くようにメスを振るうと、黒い霧は断末魔の叫びを上げて霧散した。
「……瑠璃。枢木天音は完全に消えた。……だが、北斗の星はあと六つある」
お兄ちゃんは、自分の黒いロングコートを脱ぐと、ようやく私の肩にふわりとかけてくれた。
「……お兄ちゃん」
「……帰って晩飯の続きだ。冷えた味噌汁は温め直せばいいが、お前のその『防御力』は冷やしてはならん。常に高めておけ」
「……それって、『明日もその格好でいろ』ってことだよね!? お兄ちゃん、やっぱり犯人っていうか、確信犯だよねぇぇぇ!!」
地下水路に、私の情けない叫びが響き渡る。
殺人鬼『星喰いの凶星』。
そして、その傍らでコート一枚を羽織り、震える足で歩くマイクロビキニの少女。
世間では、この夜を境に、凄惨な「北斗七星殺人事件」の捜査が本格化することになる。
けれど、天城家の食卓には、明日もまた、羞恥心という名のエネルギーが満ち溢れるはずだった。
「……お兄ちゃん、次の魔王って天璇(てんせん)ていうんだっけ? その人って……美人?」
「……冷たい知性を持った、最悪の女だぞ」
「……わかったわ。……お姉ちゃん、もっともっと恥ずかしがって、そいつの鼻柱を折ってやるんだから……っ!!」
月は沈み、不気味な北斗七星が、次なる生贄を示すように輝いていた。
背後で女性警察官の叫び声が響く。高級マンションの非常階段を、私は猛烈な勢いで駆け下りていた。
今の私の格好をおさらいしよう。
黄金のラメが数粒、胸元と股間にへばりついているだけの「概念武装:ゼロ・ナノビキニ」。
一歩走るたびに、重力と風圧が私の「最後の防衛線」を剥がしにかかる。
「無理無理無理!! 止まれるわけないでしょ、こんな格好で捕まったら、私の戸籍、復活する前に社会的に抹殺されちゃうわよぉぉぉ!!」
私の絶叫とともに、背中の肩甲骨あたりから紫色の推進炎(アフターバーナー)が噴き出した。羞恥心が物理的な推進力に変換されている。
「……瑠璃、右だ。パトカーが回り込んでいる」
横を並走する兄は、検眼枠(テストフレーム)をカチャカチャと弄りながら、涼しい顔で指示を出す。
「指示出してる場合!? お兄ちゃん、私をコートに隠すとか、おんぶして覆い隠すとか、なんかあるでしょ!?」
「……馬鹿を言うな。お前のその『輝き』を隠せば、追っ手を撒くための目くらまし(フラッシュバン)が使えなくなる」
冷酷!! 私の実の兄は、妹の露出を戦術兵器としてしか見ていない!! 嘘でしょ!?
非常階段を飛び降り、裏路地へ着地した瞬間。前方から三台のパトカーがサイレンを鳴らして突っ込んできた。ヘッドライトが、私の無防備すぎる全身を真っ白に照らし出す。
「――っ、見ないでぇぇぇぇ!!」
ドガァァァァァン!!
反射的に発動した全方位恥辱オーラが、パトカーのフロントガラスを一瞬で曇らせ、タイヤをパンクさせた。
その隙に、お兄ちゃんが私の手首を掴んで、下水道のマンホールへと飛び込む。
ジメジメとした地下水路。
地上からのサイレンの音が遠ざかる中、私は膝をついて肩で息をした。
「……もう、嫌。なんで私がこんな……。せっかくお兄ちゃんと再会できたのに、毎日が全裸逃走中なんて……」
「……瑠璃。これを見ろ」
兄が、先ほど枢木天音を「切除」したメスの先端を見せてきた。
そこには、一粒の黒い結晶がこびりついていた。
「これが『天枢』の核の残滓だ。枢木天音という女は、慈善活動の裏で、この結晶を使って人々の『選民意識』を煽り、社会を内側から腐らせていた。お前がその格好で彼女の結界をぶち破らなければ、今頃都内の警察は全員、彼女の奴隷になっていた」
「……私が脱ぐことで、都内の秩序が守られたっていうの? なにその、全然嬉しくない功績……」
その時、地下水路の奥から、不気味な笑い声が響いた。
『……ククク。……素晴らしい。実に素晴らしい羞恥心だ』
「えっ……!? 誰!?」
闇の中から現れたのは、崩壊したはずの枢木天音の「影」だった。
肉体は失われ、真っ黒な霧のような姿をしているが、その瞳だけがギラギラと私を見つめている。
『勇者ラピスラズリ……。あなたのその「不適切な姿」を、もっと世界に晒してあげましょう。……呪いなさい、あなたの隣にいるその「兄」を。彼が私を殺したことで、あなたの呪縛は永久に解けなくなったのよ!』
影が私に飛びかかろうとした瞬間。
お兄ちゃんが私の前に立ちふさがり、検眼枠のレンズを「超広角・高解像度」に切り替えた。
「――ピント固定(ロックオン)。……お前の『負け惜しみ』、解像度が低すぎて見ていられない」
お兄ちゃんが空中に円を描くようにメスを振るうと、黒い霧は断末魔の叫びを上げて霧散した。
「……瑠璃。枢木天音は完全に消えた。……だが、北斗の星はあと六つある」
お兄ちゃんは、自分の黒いロングコートを脱ぐと、ようやく私の肩にふわりとかけてくれた。
「……お兄ちゃん」
「……帰って晩飯の続きだ。冷えた味噌汁は温め直せばいいが、お前のその『防御力』は冷やしてはならん。常に高めておけ」
「……それって、『明日もその格好でいろ』ってことだよね!? お兄ちゃん、やっぱり犯人っていうか、確信犯だよねぇぇぇ!!」
地下水路に、私の情けない叫びが響き渡る。
殺人鬼『星喰いの凶星』。
そして、その傍らでコート一枚を羽織り、震える足で歩くマイクロビキニの少女。
世間では、この夜を境に、凄惨な「北斗七星殺人事件」の捜査が本格化することになる。
けれど、天城家の食卓には、明日もまた、羞恥心という名のエネルギーが満ち溢れるはずだった。
「……お兄ちゃん、次の魔王って天璇(てんせん)ていうんだっけ? その人って……美人?」
「……冷たい知性を持った、最悪の女だぞ」
「……わかったわ。……お姉ちゃん、もっともっと恥ずかしがって、そいつの鼻柱を折ってやるんだから……っ!!」
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