​マイクロビキニアーマーの美少女勇者 対 アナルバイブ男爵 ―アジル・イマ戦記 勇者ラピスラズリの性受験英雄譚 学歴の頂、露出の果てに―

あめの みかな

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『マイクロビキニアーマーの女勇者 対 アナルバイブ男爵:Re-Birth』

第八話:『第四の星「権」 ― 権藤かずみの不安定(後編)』

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「――私は、ここにいる!! 世界で一番、不適切な姿で、お兄ちゃんの目の前に立ってるわよぉぉぉ!!」

​ スタジアムの空気が、私の叫びと共に爆発した。

 権藤かずみの放つ「存在不確定(アンサーテン)」の波動。それは対象のアイデンティティを奪い、虚無へ還す死の風。だが、今の私には効かない。
 なぜなら、私は今、これまでの人生で……いえ、異世界での戦いを含めても経験したことがないほどの「猛烈な自己意識」の塊になっていたからだ。

​「原子的マイクロビキニ」が、お兄ちゃんの激励(?)に応えて更なる進化を遂げる。
 金鎖はもはや光の粒子となり、私の肌に「恥辱の等高線」を描き出す。隠している面積はゼロに近い。だが、その「隠そうとする意志」が、物理的な斥力となって権藤かずみの虚無を押し返していた。

​「な……っ!? なぜ消えない!? あなたは20年前に死んだはずの欠陥品よ! 社会にも、歴史にも、どこにも居場所なんてないはずなのに!」

​「居場所なら、……お兄ちゃんのレンズの『ピント』の中にあるわよ!!」

​ 私は、羞恥心で真っ赤になった全身から、紫色の極光を噴出させながら地を蹴った。
 一歩踏み出すごとに、スタジアムの芝生が私の熱量で焦げ付く。

​「――『羞恥・存在証明(アイ・アム・シャイ)』!!」

​ 私は、権藤かずみの懐へと飛び込み、彼女の「不安定」を力尽くで固定する掌打を放った。
 
「――瑠璃、今だ! 逃がすな!!」

​ お兄ちゃんの声が響く。
 彼は検眼枠(テストフレーム)の横に付いたツマミを高速で回し、乱視軸を調整するように、かずみの魂の「歪み」を矯正し始めた。

​「……度数固定、プラス10.00。……権藤かずみ。……お前の『不安定』は、自分を見つめる勇気がないだけの逃避だ。……俺の妹の、この『圧倒的な現実(はじらい)』を直視しろ」

​ お兄ちゃんの検眼枠が、太陽のような閃光を放った。
 光に焼かれ、かずみが悲鳴を上げながら顔を覆う。その指の間から、彼女の胸の奥でドロドロと形を変え続ける、不気味な四番目の星――『天権』の核が露出した。

​「――お兄ちゃん! ピント、……合ってるわよぉぉぉ!!」

​ 私は、恥ずかしさのあまり意識が飛びそうになりながらも、お兄ちゃんの突撃ルートを確保するために、その場で「究極のM字開脚(勇者の祈り)」のポーズをとった。
 
 ドォォォォォォォォン!!
​ スタジアム全体を包み込む、ピンクと紫の超巨大な羞恥結界。
 魔王・権藤かずみの権能が、その「あまりにも直視できない光景」にエラーを起こし、完全に沈黙した。

​「……っ……、チェックメイトだ」

​ お兄ちゃんが、影を切り裂いて跳んだ。
 その手に握られたメスが、迷いなくかずみの胸元へ突き刺さる。
 カキン、と硬い結晶が砕ける音が響き、スタジアムを支配していた「存在の揺らぎ」が、一瞬で霧散した。

​「……あ……。……私は……、……誰にも……見つかりたく……なかった……だけ……なのに……」

​ 権藤かずみの身体は、色のない砂となって崩れ落ち、風に吹かれて消えていった。
 
 あとに残されたのは、大歓声(という名の困惑)に包まれたスタジアムと、……お兄ちゃんのコートを頭から被り、芋虫のように丸まって震えている私だけだった。

​「……はぁ、……はぁ……。……お兄ちゃん、……死ぬ。……私、……今度こそ……恥ずかしすぎて死ぬ……」

​「……安心しろ。お前の心拍数は正常だ。……さあ、撤収するぞ。警察が来る」

​ お兄ちゃんは私を軽々と抱き上げると、混乱する群衆を縫って、闇の中へと消えていった。


​ 翌日の夕刊。

『政治家秘書の権藤氏、イベント中に失踪。現場には謎の砂と、"星喰いの凶星"の痕跡。』

 そして、SNSには、ぼやけた写真と共に一つのトレンドが踊っていた。

 #スタジアムの光る全裸少女。

​「……四つ目を喰った。……北斗の接点は消えたぞ、瑠璃」

​ お兄ちゃんは、リビングで四つ目の瓶を棚に並べた。
 その隣で、私はジャージを首までキッチリ着込み、ココアを啜っていた。

​「……ねえ、お兄ちゃん。……私、さっきの戦いで気づいたんだけど……。……魔王を倒すたびに、私の『恥ずかしさの沸点』が下がってる気がするの……」

​「……良い傾向だ。……次は五番星、『廉貞(れんてい)』。……阿久津涼子という女だ」

​「……阿久津……涼子……。……お兄ちゃん、……その人……」

​「……ジャーナリストを装った、腐敗の魔王だ。……お前の『清らかな恥じらい』が、彼女の毒を浄化する鍵になる」

​ お兄ちゃんは、新しいレンズを検眼枠に差し込み、不敵に笑った。
 
 北斗七星の五番目の星が、夜空で毒々しく、けれどどこか寂しげに輝き始めていた。
 私たちの戦い(性受験)は、いよいよ後半戦へと突入する。
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