王子の凱旋

小野あやか

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レニドールSide

プロローグ

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「お前に救世主として、ヴェルカ国に侵略した魔王を討伐せよとの神託が下った」


『残念王子』『平凡王子』と周りから言われている俺、ゴートルード王国第三王子であるレニドール・ウィスタ・ゴートルは、父であり国王のヴィクター・ウェルネス・ゴートル九世に謁見の間に呼び出され、臣下達の前でそう言い渡された。

「救……世主……?」
いきなりの科白に動揺した俺に父は、厳めしい顔で玉座から見下ろし更に言い放つ。
「ヴェルカ国は先日、魔王の侵略により滅びたと報告が入った。お前には酷とはわかっているが、急ぎ討伐に向かえ」
「……は……」
これは了解の返事では決してない。
驚きすぎて聞き返しただけだ。
それを是と思ったのか父はうむ、と頷いた。
いやいや、了承してないから! 
動揺しすぎて俺は俯いてしまった。
救世主って……数百年前に魔族との戦で勝利に導いた人、だったよな? 
それが俺だというのか……、見た目も何をやっても平凡すぎる俺が……?
これは冗談か、新しい嫌がらせなのかもしれないな。
 
「では必要な人員と物資を、宰相と騎士団長に相談して用意せよ。内容はすべてレニドールの希望に沿える。……無事の帰還を願っておる……」

残念ながら冗談でも嫌がらせでもない、事実らしい。
いや、無事の帰還をとか言ってるが、討伐した後は俺がどうなろうとどうだっていいと思っているだろ。
俺はわかってるからな、お前らの考えなど! 
魔王討伐と厄介払いの一石二鳥と思っているんだろう。
頭が怒りと悔しさで熱くなった。
俺が救世主という事が事実なら……、
どうせ死にに行くなら、最期の我儘言うのはいいよな?
俺は玉座に座る父を見上げた。
「…………それならルーファス・ザクリシス近衛第二師団歩兵部隊副隊長を供につけて下さい。人員はそれだけで結構です……」
間はざわつく。が、どうでもいい。
俺はここにあるすべてのものに、諦めと見切りをつけて謁見の間から颯爽と立ち去った。
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