王子の凱旋

小野あやか

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ルーファスSide

殿下への想い

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鼻先から殿下の髪の毛から香油のいい匂いが香り、薄く筋肉のついた少し柔らかい感触に股間が硬くなってしまったのだ。
初めて殿下に欲情を抱いた瞬間だった。
それまではいつもお側にいて、幸せにしたいとだけ思っていたのに……。
あろうことか、組敷いて薄い唇を貪り、私のものを捩じ込んで、快楽で泣かせたいと強く思ってしまったのだ。
他人の意地悪い行為で泣かせるのではなく、私のもので善がらせ、ベッドの上であの紫水晶のような瞳から涙を出させたい。
しかし、どんなに恋情や欲情を抱いても、彼は男で王族。いずれ妻を娶り子を成すだろう。その現実を突きつけられた時、胸に鋭い痛みが走った。恋情を自覚した途端の失恋。秘めなければいけない想いだ。
この日から殿下への恋情を絶ち切るため、私に想いを寄ているという者達と関係を築くようになるが、私の気持ちが動かなかったため、まあもつれた。
さすがに痴情のもつれが多くなると疲れてくる。
偶々同じ理由で身体の関係だけを求めていた、騎士団事務員のエルンという男と利害が一致し、身体の関係を結ぶ事となった。
エルンは美人だとかで騎士団内で人気が高く、関係を持ったと知られた時はやっかみを受けた。
殿下の方が遥かに美しいと感じているため、私にはその気持ちがよくわからなかったが、エルンはレニドール殿下と背丈や肉付が似ているから後ろから突くと……。
だめだな、絶ち切る気があるのか無いのか。
彼とは訓練や討伐後の、どうしょうもない性衝動がある時にお願いしている。もちろん彼に求められる時は応じる。回数で言えば月に二回くらいだろうか。

騎士団ではエルンとセーランが人気を二分しているが、訓練や討伐に加わるレニドール殿下へ、密かに邪な想いを寄せる輩も多かった。
意地っ張りなところもたまにあるが、謙虚で素直なお可愛らしい性格。決めたことや目標は貫く性質。華奢というわけではないが、隊員よりは低めの身長に細身の薄い筋肉の付いた体躯。
さらにあの神秘的な少し気の強そうな美しいお顔。惚れないほうがおかしい。第二王子も神秘的な容姿と言われているが、あの紫の瞳には到底敵わない。
この頃には騎士団内でレニドール殿下の事を平凡や残念などと宣う輩はかなり少なくなった。
殿下はお強いので無理やり襲われる事はそうそう無いでしょうが、心配ですし、逆に他の男と想いが通じ合う事を避けたかった為、牽制をした。
女は仕方ないが男と結ばれる事だけは許せない。エルンと関係を持つ上に、騎士団内で常に殿下のお側にいるため、当たりがさらに強くなりましたが。
殿下の身体に触れると再燃する欲情に、殿下へ懸想する輩への牽制で、心乱れる日は続きました。

そんな中突然の凶報。
魔物が活性化して討伐遠征が増えたと思っていましたが、まさか魔物を増やしたり統率できる魔王が誕生したとは。
あっという間にヴェルカ国が侵略された。逃れられた貴族や国民はいるらしいが、軍や王宮で働く方々、王族は……。これは決して対岸の火事ではない。レニドール殿下にも降りかかるかもしれない、この国も同じ事になるかもしれないと思うと胸が苦しい。
騎士団では連日連夜、魔王討伐遠征会議が開かれていた。騎士団と聖属性魔法が使える教会の聖騎士との協力など、やることが山のようで、増える事はあっても減ることはない。
そんな中大司教が魔王に打ち勝てる救世主の神託を得たとかで、協会はにわかに沸き立つ。その公式発表があるため、貴族たちは謁見の間へ集まった。
そこへ陛下の前にレニドール殿下が呼び出され、彼は元気のない様子で力なく跪く。

「お前に救世主として、ヴェルカ国に侵略した魔王を討伐せよとの神託が下った」

 まさかその救世主がレニドール殿下だったとは、衝撃が強すぎて愕然とした。
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