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1作られた世界の中で
1.8
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3人が出て行った部屋で窓の外を眺めていると部屋の扉がノックされる。
ヤナギダ「どうした」
護衛「すみません。タルース・エネフ氏が参られました。面会されますか?」
ヤナギダ「いれろ」
随分とカジュアルな恰好な20代ほどの男性が入ってくる。
タルース・エネフ「今の演技かい?もっとドラマとか見て勉強しないと。この星のドラマもなかなかなものだよ」
ヤナギダ「・・・うるさい。それで?今回は何の要件だ」
エネフ「いつもの定期連絡。ただ今回はちょっとだけ重要かな」
護衛に対して部屋を出るように指示を出す。
エネフ「星の意思はガイアになる準備を始めた。星の代表者は無論、僕たちホモ種じゃないけどね。僕たち以外の知的体といったらウィルフウイルスだけ。まぁこれはしかたないよね」
タルース・エネフが先客に出していた飲み物に口をつける。
ヤナギダ「ガイアになる・・・か。詳細はまた教えてくれないのか」
エネフ「それは自分たちの力で理解したほうがいい。僕が言っても何となくしか伝わらないしね。ところで、このままじゃ君らツーベに負けちゃうんじゃない?自滅はなしだよ」
ヤナギダ「そうだな。もっと危なくなったらヤケクソになるかもな」
エネフ「星の意思はアーマーの実力に興味を持っている」
“興味”の言葉を聞いたヤナギダが外の風景から目を離しエネフを凝視する。
部屋の床を指さして言う。
ヤナギダ「こいつは我々の記録を見たんだよな。あの惨状を見たうえで再現しろとでも?」
エネフ「やっぱり止めてほしかったんだ。でも理由は分からなくもない。星の意思はおそらく自我がなくなる前に外の脅威を少しでも経験したいんじゃないかな」
ヤナギダ「はぁ、わかったよ。なるべく頑張るさ」
ヤナギダがソファに座り自分の飲み物を飲む。
エネフ「で、なんで偽名使ってたの?古巣さん」
ヤナギダ・古巣「気まぐれだよ」
<ホシナサ人民共和国 エンペラー本部 統括司令室>
デスク上の電話が鳴る。
ヨハネス・ハームバークが応答する。
マセタード「すまない。また売り上げ会議が長引いた。・・・こっちの電話でよかったよな?」
ハームバーク「合ってますよ。これでバッテリーを気にせずに話せる」
マセタード「お前が準備した海底ケーブルもほとんど用なしだったな。学生時代頑張っていたのに。あ、先にウィルフウイルスに関する論文をそっちに送っておく。OKだったら学会のほうに連絡入れてくれ。シーレンスからの情報だから入念な確認を頼む」
ハームバーク「なにか特別なことはありましたか?」
マセタード「俺は生物分野にはあまり詳しくないがウイルスってなんじゃ?ぐらい」
ハームバーク「了解です確認しておきます。あと、戦闘機ありがとうございます。よい評判が届いてますよ」
マセタード「それはよかった。これで国に堂々と売れる。んで、うちの職員から聞いたが」
ハームバーク「コーナーさんですね。あの3人には今ツーベに向かってもらっています」
マセタード「増援は?」
ハームバーク「暴動などの対策に周辺国部隊と実働4,5班に依頼しました。ツーベには今の3人での侵入を想定してます」
マセタード「ツーベは地下だよな。こちらで使えそうなものがあれば直接送っておく。お前の見立てでは侵入後どうなると思うか?」
ハームバーク「私の勘ですが、シーレンスの動きが重要になると踏んでます」
マセタード「そうか、わかった。こちらもできる限り準備しておく。ウイルスの件よろしくな」
<戦闘機内部>
コーナー「あいつなんなんだよ・・・」
仕掛けようとした物と同型の盗聴器を触りながら自動操縦の運転席に座る。
ミル「ほんと何なの」
ミルのほうはユートピア職員からもらったお菓子を食べながらつぶやいている。
アビル「いや、あれはなんかの罠だって」
ミル「まあ、たしかにね・・・いやでも・・・」
いやな空気になっているので話題を変えてみる。
アビル「にしても、この戦闘機すごいな。シュピルミウムの種が舞っているのに自動操縦できるなんて」
コーナー「でしょ!じつはこいつの設計に私の同期が関わっていてさ・・・」
わざわざ話題を変えたのに通信が入った。通信をアビルが受ける。
情報1班「こちら情報1班。どうだ乗り心地は?」
アビル「こちらアビル非常に良好だ」
情報1班「それはよかった。こちらからの要件はよくないが」
アビルが通信をスピーカーに切り替える。
情報1班「シーバイスでのやり取り。流出してしまった」
[論文 <ウィルフウイルス概要> 製作者:ハルス国立大学、有資連合研究室 ]
一部抜粋
・名称由来・古代語より「virus(ウイルス)病毒因子」そのものの意を込めて。
命名者:シーレンス王国
・詳細
サイズ=10μm
最小単位=細胞
生存方式=半寄生(水中、空気中から単独での検出あり)
増殖方式=有性、無性生殖。寄生細胞の増殖時に同時に増殖可能。水中での単為生殖確認済み
近縁種=なし
遺伝情報=cDNA(人間以外に共通する遺伝情報)(c=サークル)
他生物との関係=現状発見されている全生物の全身の細胞内にて確認される。特に消化器官周辺に多い。寄生先への影響は不明。
ヤナギダ「どうした」
護衛「すみません。タルース・エネフ氏が参られました。面会されますか?」
ヤナギダ「いれろ」
随分とカジュアルな恰好な20代ほどの男性が入ってくる。
タルース・エネフ「今の演技かい?もっとドラマとか見て勉強しないと。この星のドラマもなかなかなものだよ」
ヤナギダ「・・・うるさい。それで?今回は何の要件だ」
エネフ「いつもの定期連絡。ただ今回はちょっとだけ重要かな」
護衛に対して部屋を出るように指示を出す。
エネフ「星の意思はガイアになる準備を始めた。星の代表者は無論、僕たちホモ種じゃないけどね。僕たち以外の知的体といったらウィルフウイルスだけ。まぁこれはしかたないよね」
タルース・エネフが先客に出していた飲み物に口をつける。
ヤナギダ「ガイアになる・・・か。詳細はまた教えてくれないのか」
エネフ「それは自分たちの力で理解したほうがいい。僕が言っても何となくしか伝わらないしね。ところで、このままじゃ君らツーベに負けちゃうんじゃない?自滅はなしだよ」
ヤナギダ「そうだな。もっと危なくなったらヤケクソになるかもな」
エネフ「星の意思はアーマーの実力に興味を持っている」
“興味”の言葉を聞いたヤナギダが外の風景から目を離しエネフを凝視する。
部屋の床を指さして言う。
ヤナギダ「こいつは我々の記録を見たんだよな。あの惨状を見たうえで再現しろとでも?」
エネフ「やっぱり止めてほしかったんだ。でも理由は分からなくもない。星の意思はおそらく自我がなくなる前に外の脅威を少しでも経験したいんじゃないかな」
ヤナギダ「はぁ、わかったよ。なるべく頑張るさ」
ヤナギダがソファに座り自分の飲み物を飲む。
エネフ「で、なんで偽名使ってたの?古巣さん」
ヤナギダ・古巣「気まぐれだよ」
<ホシナサ人民共和国 エンペラー本部 統括司令室>
デスク上の電話が鳴る。
ヨハネス・ハームバークが応答する。
マセタード「すまない。また売り上げ会議が長引いた。・・・こっちの電話でよかったよな?」
ハームバーク「合ってますよ。これでバッテリーを気にせずに話せる」
マセタード「お前が準備した海底ケーブルもほとんど用なしだったな。学生時代頑張っていたのに。あ、先にウィルフウイルスに関する論文をそっちに送っておく。OKだったら学会のほうに連絡入れてくれ。シーレンスからの情報だから入念な確認を頼む」
ハームバーク「なにか特別なことはありましたか?」
マセタード「俺は生物分野にはあまり詳しくないがウイルスってなんじゃ?ぐらい」
ハームバーク「了解です確認しておきます。あと、戦闘機ありがとうございます。よい評判が届いてますよ」
マセタード「それはよかった。これで国に堂々と売れる。んで、うちの職員から聞いたが」
ハームバーク「コーナーさんですね。あの3人には今ツーベに向かってもらっています」
マセタード「増援は?」
ハームバーク「暴動などの対策に周辺国部隊と実働4,5班に依頼しました。ツーベには今の3人での侵入を想定してます」
マセタード「ツーベは地下だよな。こちらで使えそうなものがあれば直接送っておく。お前の見立てでは侵入後どうなると思うか?」
ハームバーク「私の勘ですが、シーレンスの動きが重要になると踏んでます」
マセタード「そうか、わかった。こちらもできる限り準備しておく。ウイルスの件よろしくな」
<戦闘機内部>
コーナー「あいつなんなんだよ・・・」
仕掛けようとした物と同型の盗聴器を触りながら自動操縦の運転席に座る。
ミル「ほんと何なの」
ミルのほうはユートピア職員からもらったお菓子を食べながらつぶやいている。
アビル「いや、あれはなんかの罠だって」
ミル「まあ、たしかにね・・・いやでも・・・」
いやな空気になっているので話題を変えてみる。
アビル「にしても、この戦闘機すごいな。シュピルミウムの種が舞っているのに自動操縦できるなんて」
コーナー「でしょ!じつはこいつの設計に私の同期が関わっていてさ・・・」
わざわざ話題を変えたのに通信が入った。通信をアビルが受ける。
情報1班「こちら情報1班。どうだ乗り心地は?」
アビル「こちらアビル非常に良好だ」
情報1班「それはよかった。こちらからの要件はよくないが」
アビルが通信をスピーカーに切り替える。
情報1班「シーバイスでのやり取り。流出してしまった」
[論文 <ウィルフウイルス概要> 製作者:ハルス国立大学、有資連合研究室 ]
一部抜粋
・名称由来・古代語より「virus(ウイルス)病毒因子」そのものの意を込めて。
命名者:シーレンス王国
・詳細
サイズ=10μm
最小単位=細胞
生存方式=半寄生(水中、空気中から単独での検出あり)
増殖方式=有性、無性生殖。寄生細胞の増殖時に同時に増殖可能。水中での単為生殖確認済み
近縁種=なし
遺伝情報=cDNA(人間以外に共通する遺伝情報)(c=サークル)
他生物との関係=現状発見されている全生物の全身の細胞内にて確認される。特に消化器官周辺に多い。寄生先への影響は不明。
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