Are you my……?

広瀬 晶

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 先程、と僕は言った。
「先程話したように、僕は君の父親ではありません。でも君の話が本当なら、君は僕の甥っ子ってことになるのか……」
「本当です」
 彼はまた、むっと顔を歪めた。案外こどもっぽい。
「けど、本人確認が取れていない以上、まだ何とも言えないので」
 僕は携帯を取り出し、兄の番号を探しながら彼に言った。
「連絡してみますが、あまり期待はしないで。繋がらないことの方が圧倒的に多いんだ」
 携帯を耳に当て、呼び出し音を聞く。しばらくしてそれは、ただいま電話に出ることができません、という諦めの声に切り替わった。
「ごめん、今は無理みたい」
「……そうですか」
 何とも言えない、気まずい空気が流れる。
「ひとまず、今日のところはお帰りいただいて。また後日、改めて話しませんか。もう、遅いし」
 夜中に話して解決する問題は少ない。それに、僕はもう眠い。先伸ばし作戦で乗り切ろうと思ったところ、彼の視線が頼りなく揺れた。
「どうしたの?」
「ああ、すみません。この辺に漫喫とかネカフェとか、ありませんか?」
「え?」
「今、帰る場所がなくて」
 僕はゆっくりと息を吸って、同じくらいゆっくり吐き出した。
「帰る場所が、ない?」
「はい。家は母さんが亡くなった後、すぐに手離すことになって。ここ一週間は、ずっとネットカフェとかで、適当に」
「ネットカフェ……」
「アパートも、探してはいるんですけど」
 きっと、芳しくはないのだろう。僕は父が購入したマンションに今も住んでいるので、物件探しはしたことがないが、保証人のことだったり金銭面のことだったり、いろいろと大変なことは多いに違いない。
 何だか目の前の青年が、捨てられた犬みたいに見えてきてしまう。自分の、甥かもしれない子を。遅い時間帯に、秋の寒空に、放り出す? それができるくらいだったら、たぶん最初から部屋の中に入れたりしない。
 仕方ない、と僕は腹を括った。
「……うちに泊まる?」
「え」
「部屋、余ってるし。両親は海外に行ってて、ここ、今は僕しか住んでないから」
「え、いや、でも」
「次に住む場所が見つかるまで、だけど」
 僕はぽんぽんと、彼の頭に手をやった。
「いいから、そうしよ」
 彼は僕の目を見て、頷いた。



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