上 下
6 / 26
新しい世代

内心とナイシン

しおりを挟む
今日もいつも通りおはようと挨拶する。
席について私はふせぎこむ。ここまでは一緒。
いつもと違うのは、私が彼と話せなかったことだ。
今日はノートを返すつもりだったのに、なんだか
照れくさい。「ノート、ありがとう」その1言が
とても恥ずかしかった。
ノートに書かれた文字を見て、綺麗だなと
照れたりして昨夜は彼のことばかり考えていた。
これがバレたらキモがられるだろうと思って、
話しかけたらバレてしまうから話せなかった。
来週は、中間テスト。授業の内容なんて分からない。
背筋を丸めてぼんやり帰宅する。お先真っ暗だ。
「なにそんなに落ち込んでんの?おばさん。笑」
「は?2歳しか変わらないんですけど?ガキんちょ笑」
彼はただ私を元気づけたかったようだ。根が真面目で
とにかく優しい。
「どうせ勉強だろ?うち来いよ。1人暮らしだし」
「え、良いの!?ありがとう」
私の内申は、とにかくギリギリ。赤点を回避できればマシ。
その時は勉強のことでいっぱいだった私は
重大なことに気づいていなかった。
しおりを挟む

処理中です...