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喜怒哀楽

空気

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中間テストが終わってから、彼女はしばらく学校に来なくなった。
周りは彼女の事を心配することも無く、いつも通りワイワイしている。
彼女に関心が誰一人無いという状況が苦しく感じた。
こんなにも彼女は孤独で、関心を持たれていなかった。
空気同然の扱いだったことに驚きを隠せなかった。
僕だったら耐えれないな。きっと彼女は毎日、窮屈な生活をしていたに
違いない。彼女は本当は良い人なのに。誰一人分かっていない。
留年生という上辺だけで判断して、落ちこぼれだと揶揄やゆする。
ここ最近までそう思っていた自分の愚かさに気づかされた。
これまでに彼女に取った態度は平気だっただろうか。傷つけたんではないか。
それならば謝りたい。もう一度、彼女に会う必要がある。
僕は、彼女の自宅に電話をして留守電を残して、テーブルにふせぎこんだ。
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