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本心

テストと成績

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ある日、私は教員室に呼び出された。私にとって受け入れがたい現実だった。
「君はこの成績だと卒業は難しい。あと地元に帰るようにとお母さまから」
単位不足で卒業も出来ないまま地元に帰る。テストの成績が悪いからだ。
テストといえば、彼が私の事を好きなのか確かめるテストの成績も不十分だった。
何もかも中途半端で地元に帰る。必ず帰るまでに好きを伝えなきゃ。
私は授業開始と同時に席についた。彼のクラスを見たけれどいなかった。
私は早ければ今夜、地元に帰ってしまう。彼に伝えないと。
「あの...彼はいますか?」
「アイツだぜ。〇〇にいつも絡んでるやつ。どうせ顔でしょ」
四方八方から批判の声が飛び交う。分かってる。場違いなんだって。
それでも、好きが上回ってるから立ち向かわなきゃいけないの。
「おい、めぐみ。そんな奴ほっとけって」
「彼なら今日欠席だよ。連絡先いる?」
こんな私にも分け隔てなく優しくしてくれる女子がいた。
髪はカーリングしたボブヘアで肌が白くて小顔の美女。
「ありがとう。めぐみさんで良いのかな」
「めぐみだよ。愛って書いてめぐみ。宜しくね」
私は、ありがとうと繰り返して、連絡を入れて自宅に足を急がせた。
「めぐみ。なんであんな奴、相手にしたんだよ」
「だって、あの子必死で彼のこと追いかけてるじゃん。カッコイイじゃん」
私から見て彼女は自分の事を良く理解していて、熱中できるものがある。
どこか羨ましかった。
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