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本心

胸のスキマ

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お願い、気づいて。私は数時間後に飛行機で飛び立ってしまう。
私の地元は九州。飛行機と同時に、きっと彼との関係性も飛び立ってしまう。
私は、彼が連絡を見てくれるのをじっと祈るしかなかった。


あぁ、学校を休んでしまった。これで皆勤賞も逃してしまった。
学校を休むこと自体には何も抵抗はない。彼女の言う通り、家に誰もいない
その現実に寂しさが痛いくらい心を通じて伝わる。     
彼女は、今日だれかと話せたのだろうか。変な事を言われてないだろうか。
僕は彼女の笑顔を守ると誓った。だから悲しんでいたら困る。
いや、違う。困るのではなく、悲しんでいたら僕も悲しい。
「ブーッブ‐ッ」
スマホの着信音と同時にポップアップされたメッセージを見て
僕は動揺した。

差出人 渡辺碧
宛先  水野透
件名  今までありがとう                                添付
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私は今夜、九州へ飛び立ちます。今まで仲良くしてくれてありがとう。感謝してます。
きっと君は優しいから、私にも気を配ってくれたんだよね。期待して舞い上がってたのは
私だけみたい。負担になってたらごめんね。会えなくなるのが寂しいけど..またね(^^)/
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違う。俺はちっとも優しくない。君が俺を好きだってこと気づいてた。
その気持ちに舞い上がってるだけで応えようとしなかった。勇気が出なかった。
優しくしたら振り向いてくれるかな、なんて思ってる意気地なしなんだ。
「何してるの?早く行くよ?空港」
「姉ちゃん!?どうして」
「話はあと。行くよ。休学にしといてあげるから」
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