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第壱式

9話 剣術士棟にて

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    前回のあらすじ

    教室に帰ってきた音乃葉達は本日は特に授業は無いため剣術士棟へと行こうと思い、踊り場へと向かった矢先には久しぶりに登場したシーム、飯を誘われたが用事があるといいまた今度に済ますと、剣術士棟への通路にはドアがあったりしたが特に何事もなく通過しようとしていたあたりからスタート

    ⌬剣術士棟1階 扉前⌬

音乃葉 「ここが剣術士棟か。」

    周りを見渡すと魔術士と同じ景色が見える

音乃葉 「さてと、来たはいいものの何処に行こうかな。」

    〇???  ✓〇???
    
    少し考えてみた結果

音乃葉 「そうだ、秋咏って何処のクラスにいるんだ?」

    ゼラフに問いかける

ゼラフ 「Aクラスト言ウ所ニ居タゾ。」

音乃葉 「ほうほう。そんでその場所は?」

    歩きながら話していると二手に別れた廊下にたどり着く

ゼラフ 「タシカ左ノ道ダッタカノウ。」

音乃葉 「うし、決まり!行くか。」

    そう言うと左側の廊下を歩き出していく。

    ⌬剣術士棟2階Aクラスにて⌬

音乃葉 「ここか。」

    上の方を見るとAクラスと書かれているクラス板が見えた

音乃葉 「今授業中かな?」

    ドアの窓を見てみると授業を受けている生徒達が見えた

音乃葉 「あっち魔術士棟とは違って男が多いな。」

    その中で見覚えのある顔も見えた

ゼラフ 「案ノ定授業中ダナ。」

音乃葉 「ふむ…さてどうするかね。」

 ✓〇???  〇???

    少し考えると結論が出た

音乃葉 「なぁ?こっちの棟って何か無いか?」

    ゼラフに尋ねる

ゼラフ 「フーム。何カト言ワレテモナ。」

    目を瞑り考える素振りを見せた

ゼラフ 「主ガ気二入ルカ分カラヌガ、室内二庭ガアッタゾ。」

音乃葉 「ほう。インドアガーデニングかな。」

音乃葉 「まぁ、行ってみればいいか。案内してくれ。」

ゼラフ 「ウム。コノ先ノ通路ヲ真ッ直グ行キ1階二行ケバ直グダ。」

    っと言いここに来た反対の道を指す

音乃葉 「了解よ。」

    1人と1匹は庭へと向かった

     ⌬剣術士棟1階庭にて⌬

    扉を開け見渡すと自然豊かな空間が広がっている

    そして何よりも目に入るのが、通路の真っ直ぐ先に見える大きな木だ

音乃葉 「凄いな。室内温室レベルじゃねえか…っておい、ゼラフ?」

    頭に乗っかっていたゼラフが中央の大木へと向かいゆっくり飛んでいく

ゼラフ 「…。」

音乃葉 「お、おい勝手に行くなよ。」

    音乃葉はゼラフのあとを追うと中央の大木の所に来た

音乃葉 「周りに柵が無いってことは入ってもいいのか?」

    あたりを見渡しても注意標識や柵は見当たらない

ゼラフ 「…ヤハリ声ガ二ツ…。」

    ゼラフは大木の目の前に降り立ち右手を当てる

音乃葉 「…どうかしたのか?」

    尋ねるが返答はない

音乃葉 「まぁいいか。てか、何故か眠くなってきた。」

    音乃葉は睡眠だけはしっかり取るタイプなので寝不足とは考えにくい

    眠気に負けたのか大木に背中を預ける様に眠った

    ⌬???にて⌬

音乃葉 「…はっ!」

    ふと我に返りあたりを見回すと夕方の十字路の横断歩道近くの通路に立っていた

音乃葉 「ここ…どこだ…?」

    右往左往していると反対側の方から2人組の男女がこちらへ向かってくると同時に会話が聞こえる

少女  「今日は~楽しい~夏祭り。」

    楽しそうにステップを踏みながら歌う少女が横断歩道へと来る

    だが容姿は黒いモヤの様なものがかかっていて確認出来ないが…

音乃葉 「…!」

    音乃葉が目の前の光景に驚く

音乃葉?「あんまりはしゃぐなよ、✕✕✕。転んでも知らんぞ。」

音乃葉 「な…なんで俺が、それに誰だあの娘。」

    そこには音乃葉と同じ人間がいた

    だが左の長い髪はまだ黒くなっていない

音乃葉 (まだ髪が黒くなっていない?)

    そんなことを思っていると会話が聞こえる

少女  「大丈夫だよ~。おーちゃんじゃないんだから。」

    軽やかなステップを踏みながら言う

音乃葉?「おいおい、俺が運動音痴みたいな言い方やめろよ。」

    笑いながら話す

音乃葉?「それとなんで左髪だけ伸ばさせるんだよ。」

少女  「えへへ。おーちゃんの為に髪留め作ったから付けてもらおうと思って。」

    そう言うと少女は巾着から髪留めを差し出した

音乃葉?「おー。これ✕✕✕が作ったのか?」

    髪留めを受け取る

少女  「そうだよ。世界に一つしかないから大事にしてね。」

音乃葉?「そうか。わざわざありがとうな。早速付けてみてもいいか?」

少女  「良いよ。おーちゃんなら似合うと思うから。」 

    そうして少女から貰った髪留めを左髪に縛り付ける

音乃葉?「お、ぴったし。」

    少し嬉しそうな顔をする

音乃葉 「この髪留めって…。」

    左髪に止めてあった髪留めを触りながら光景を見ることしか出来ない音乃葉

少女  「あ、青になったよ。早く行こう。」

    横断歩道の信号が青に変わったことを確認してステップを踏み出す少女

    しかし、横から物凄い勢いでトラクターが突っ込んでくる

音乃葉?「✕✕✕!危ない!」

    音乃葉?は少女を助けようとし少女を右手で突き飛ばす

少女  「…え?きゃあっ!」

    少女は向い(今音乃葉が立っているあたり)の通路に突き飛ばされたその瞬間

    ガシャーンと大きな音を立てる

    音乃葉と少女の目の前には恐らく同じ光景が広がっているだろう

    交差点の真ん中に血だまりで倒れている音乃葉とそれを引いたトラクターがあるということ

音乃葉 「な…なんだよこれ…。」

少女  「お…おーちゃん?おーちゃん!」

    音乃葉が狼狽えてると少女は音乃葉?のそばにすぐさま寄りかかる

少女  「おーちゃんしっかりして!おーちゃん!」

    泣きながら叫ぶ少女と血だまりに倒れている音乃葉?の姿が見える

音乃葉?「……ぁ…ぁ…。」

音乃葉 「どうなってるんだ…これ…ぐっ。」

    急に目の前が光り目を閉じる

    ⌬何処かの病室にて⌬

音乃葉 「…?」

    目を開けてみると病室に立っていて夕方の橙色の光が白い病室を染める

音乃葉 「ここは…?」

    音乃葉があたりを見回しベットの方を見ると自分がいた

音乃葉 「っ!」

    ベットで寝ていたのは色々な箇所を包帯で巻かれた音乃葉が寝ていた

    幸いにも助かった様だが

??? 「先生どうなのですか?お兄ちゃんの様子は。」

音乃葉 「日乃葉か?」

    扉の方へ目をやると医者と日乃葉とあの時の少女が病室へ入ってきた

医者  「ひとまず危機は脱しましたが…落ち着いて聞いてください。」

    医者は何やら思い表情を浮かべる

日乃葉 「…。」

医者  「あまりにも運が悪いのか事故の衝撃で左腕全体が機能しなくなりました。」

日乃葉 「!」
音乃葉 「!」
少女  「!」

    この場の全員が驚く

医者  「トラクターに跳ねられた衝撃で頭も酷く打ち据えたせいでもしかしたら…。」

    そこで口を開くのをやめるが

医者  「とにかく、最善は尽くしましたが…左腕に関してはあまりにも酷すぎて手の付けようがありませんでした。」

音乃葉 「な…何でだ。だって左腕はちゃんと動…。」

    左手を動かしてみると普通に動く

医者  「何かあればナースコールで呼んでください、家族達で見守って上げてください。」

    医者は一礼して病室から立ち去ると静寂が訪れる

日乃葉 「お兄…ちゃん。」

    ベットに寄り添い涙ぐむ日乃葉

少女  「ごめん…なさい…。」

    少女が重たい口を開く

日乃葉 「…え。」
音乃葉 「…。」

少女  「私が…夏祭りに行こうとか…言い出したから…おーちゃんは…。」

    今にも泣き出しそうな少女

日乃葉 「何で!✕✕✕さんは何も悪くないんだよ!」

    少女と向かい合う日乃葉

少女  「最後に楽しい思い出作りたかったから…私のワガママのせいで…。」

日乃葉 「え?」

    涙目の日乃葉を見ながら少女は話す

少女  「私…もう少ししたらもうこの土地から居なくなっちゃうから…。」

日乃葉 「そ…そんなの初めて聞いたよ…。」

    唖然とする日乃葉

少女  「今まで楽しかったよ、2人とも、おーちゃんには事故を起こした私のことを思い出させないようにお願いね、ひーちゃん。」

少女  「もし、仮に覚えていても諦めさせるようにお願いね。」

    笑顔を向ける

日乃葉 「そ、そんな…。」

日乃葉 「それでいいの!?✕✕✕さん!✕✕✕さんが居なくなったら一番悲しむのはお兄ちゃんなんだよ!」

    必死に講義をするが…

少女  「私だって!」

日乃葉 「!」

少女  「私だって…別れるのは凄く辛いんだよ!おーちゃんやひーちゃんと離れるのだって嫌なんだよ!」

    先ほどの笑顔は崩れ涙が溢れ出ていた

音乃葉 「…。」

少女  「多分もう会えないと思うの。2人とも、さようなら。」

    病室から出ていった

日乃葉 「✕✕✕さん!」

    病室から出ていく少女を追いかける日乃葉

音乃葉 「俺が…寝ている間にこんな事が…。」

    日も落ち暗くなりかける病室の窓に一つの影が現れる

音乃葉 「…!誰だ。」

    そんな声は届かずに静かに窓が開く

??? 「フム。怪我ノ具合ハ少シ重イガ器トシテハ大丈夫ダロウ。」

    音乃葉には独特の喋り方には見覚えがあった

音乃葉 「この喋り方…まさか。」

ゼラフ 「我ガ名ハ、ゼラフ・シヴェ。我ガ身ヲ纏イシ器ヨ、ソノ身体二印ヲ。」

    そう言葉を放つとベットで寝ている音乃葉の左腕がぼんやりと光る

音乃葉?「っ…!」

    少し苦しそうな表情を浮かべる

ゼラフ 「ソコカ…。」

    ゼラフは音乃葉?の左手に自分の左手を添える

ゼラフ 「印器インキ!」

音乃葉?「!」

    ゼラフが手を離すとたちまち音乃葉?の左腕全体が黒くなる

ゼラフ 「暫クオ別レダ。又会オウ、主ヨ。」

    ゼラフは病室の窓から飛び去った

音乃葉 「…この腕はそういう事なのか…。」

    左手の手袋を取り黒くなった手を見る

音乃葉 「一体どうなってるんだか…。」

    病室に2人の音乃葉

音乃葉 「取り敢えず起きたら日乃葉とゼラフに話してみるか。」

    と独り言を言う

音乃葉 「んでこれどう目ざめるんだ?」

    そんなことを言うと周りが塵の様に消え去り目の前が真っ白になる

    to be continued










メル  「今回は大容量になってしもうた。」
ナレータ「まぁ、偶にはいいんじゃないんですか?むしろその方がいいかなと。」
メル  「切り所悪いと何か嫌だから一応繋げれるところまで繋げた結果だよ。
ナレータ「なる程。それで今回は秋詠さんの居る剣術士棟へ来たことと室内温室?にきてからの回想シーンがありましたね。」
メル  「うむ、音乃葉君には昔妹の他に女の子と関係があったことと、ゼラフに器の主となった事だね。」
ナレータ「未だに器のシステムが理解出来てないんですけど、後ほど分かりますかね?」
メル  「必要なら一応仮設定資料出しますけど?」
ナレータ「はえ~^出せるんですね。」
メル  「仮だからそれに沿って作ってあるけど所々矛盾点やおかしい点もあるかも。」
ナレータ「まぁ、無いよりはマシじゃないですかね?」
メル  「そんな事より次回予告は?」
ナレータ「あ、そうだ。次回 10話 記憶の少女 お楽しみに!」
メル  「楽しんでってなー。」
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