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序章 異世界転移でてんやわんや篇
1.何の冗談だ⁈勘弁してくれ
しおりを挟む「ここ、どこ??」
茫然と呟く。
俺の目の前には、鬱蒼とした森。
森って……
いきなり外なのにもビックリだが、森はないわぁ~…
「うわ!しかも、裸足?」
うっかり、小枝や小石を踏んだら怪我しそうだ。
辺りは真っ暗で、灯すらない。かろうじて月明かりで薄ぼんやり見える程度。
「ちょっと落ち着こ……まずは、整理だよな」
ともすればパニクりそうな自分を宥め、ゆっくり息を吐く。
「えっ、と……久々に実家に帰ってまでは覚えてる」
元々、通いたい中高一貫性の学園が実家から程遠くて、中々子離れ出来ず、事あるごとに構いたがる母親から離れたくもあり、渋りに渋るのを四苦八苦宥めすかして学園近くに一人暮らしをしていたが、せっかくの自由を謳歌したく、盆も正月も、母親の帰ってこいの催促を無視した結果、カードを止められてしまったのが、帰省の結果。
勿論、抗議の電話をかけたが、逆に散々電話口で愚痴られ泣かれ、詰りまくられて辟易し、渋々帰って……
「それから……そうだ!また、カード止められたら堪んないから、質に出せそうな骨董を探しに蔵に入った……」
実家は元々旧家で、歴代の爺様たちが中々に成功した裕福な家柄。
家の庭には蔵もあり、質草に出せそうな何かを探そうと入った。
そこで見つけたのが………
「あ、れ??何を、見つけたんだっけ?」
何かを手に取ったまでは覚えている。
が、それが何かが思い出せない。
何かを手に取り、何かを呟いた。
思い出そうとし、くらりと目眩を感じて踏みとどまる。
「だ、めだ…分かんない。それに、なんか…気持ち、わる」
ヤバい。頭もガンガンしてきた。
必死に落ち着こうとしてみたが、必要以上に、今の不可解な状況に、心も体もついていってないのかもしれない。
倒木が目に留まり、とりあえず一旦座ろうとした俺の背後で、パキリという、木を踏み割る音がした。
慌てて振り返る。
ランプをかざした数人の男。
「兄貴。男だ。若い男…道に迷ったようだぜ?」
「妙ちきりんな格好してやがるが、器量は良さそうだ」
ランプを向けられ、逆光で顔は見えないが、風体は皆筋骨逞しく、かつ、やや粗野な感じ。
なんか、やな予感しかしない。
警戒心露わな俺を、ランプが照らす。
ヒューっと、やや下品な口笛。
「黒髪、黒目だぜ!兄貴」
「ふん!どうせ、染めてやがるよ。まぁ、どっちみち、こんだけの器量だ。儲けもんだな」
「でもよ。本物だったらどうする?マズくねぇか?」
「構うかよ!マズくなる前に、売っ払っちまやぁいいだけだ」
「そうだな!」
ヤバい……
目の前で物凄く物騒な話されてる。
少しズレたランプの陰から男たちの顔が覗いた。
あまりにあまりなお約束。どいつもこいつも悪人ヅラ。
まぁ、人は見かけで判断しちゃいけないのかもしれないけど……
それでも、お世辞にも清廉潔白な顔の奴らは一人もいない。
第一……
「売っ払うって……攫う気満々な台詞聞いて、まだまだ信じられるほど、お人好しじゃないってぇの」
「なに、ぶつくさ言ってんだ~?」
ニヤニヤ笑いながら歩み寄ってくる男。
多勢に無勢だ。かといって、捕まれば悲惨な事になるのは目に見えている。抵抗すれば、刺激するのは目に見えているが……
「うん?大人しいな。観念……」
「するわけねぇだ、、ッッろ!!」
多少の怪我覚悟で、足下の小枝と土塊を足で蹴り上げた。
上手く巻き上がった屑きれが男たちの頭上に降る。
「う、わ!こ、の野郎!!」
怯んだのを尻目に、脱兎の如く走り出す。
怒号と殺気が背後から感ぜられたが、構ってられない。
暗いし、視界はほぼ無いに等しいが、捕まるわけにはいかない。
ろくな連中でないのは一目瞭然。
確認したいけど、振り返ればスピードとバランスが崩れる。
「ッッ⁈」
必死に走る俺の足に何かが絡みつく。前のめりに倒れ込む。体前面を強かに打ち付けた。
かなり痛い!
「いっ…、、つっ!」
足首を見ると、錘のついた紐が絡み付いていた。
男たちが投げた足枷。
ハッとした時には遅く、周りをぐるりと囲まれた。
「手間かけさせんな!大人しく捕まりな」
ゆっくりと伸ばされる手に、悔しさと恐怖で固く目を瞑る。
顔を背けた俺の頬を、ふわりとした風が撫であげた。
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