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第2章 聖獣妃
8.触れる熱⑥☆
しおりを挟む「カイ…ッッ、、まっ、、!!あっ、ッんう!」
制止の声が、服の上から胸元に手を当てた瞬間、上擦って跳ね上がった声に変わった。
唇を奪い、舌を散々に舐めて吸った後、マヒロはくったりと力が抜け呆然としたままだ。
そのまま、首すじを吸い、服の合わせに指をかけた瞬間、
カタカタと小刻みに震える体に、一旦体を上にあげ、覆い被さるようにして顔を見下ろす。
「怖いか?」
伺うように聞いてやると、目を瞠ってから、キュッと唇を噛みしめ顔を横向けてしまう。
散々生意気に強気な事を言った手前、怖いなどと言えないのだろう。が、体は正直で、行為への怯えは隠しきれない。
横向けた顔で、顕になった耳に唇を寄せる。
耳殻をなぞるように唇を這わせ、息を吹き込むと、マヒロが首を竦めて震える。
「ッッ………!」
うっすら赤く染まる目元と、堪え切れない吐息がマヒロを彩り色っぽい。
普段の気の強さが鳴りを潜め、幼い様に、優しくしたい気持ちと、苛めてなりふり構わず縋り付かせたい乱暴な気持ちがせめぎ合う。
「触れるだけだ……痛い事はしない。それなら、怖くないだろう?」
「ふ、あっッ!」
吐息と一緒に、囁くように言うと、漏れる息と共に、甘く掠れた悲鳴があがる。
自分があげる声が恥ずかしいのか、マヒロがキリと唇を噛み締めた。唇に食い込む歯で充血していくそれに、指を這わせて緩めてやる。
そのまま歯列を割り、噛み締めた唇を開かせた。
「噛むな。傷になる」
「らっ、へ…ほんなほほ、ひっへほ……」
指を含んだまま、マヒロが文句を言うが聞き取れない。
苦笑しながら指を外すと、はふっと小さく息を吐く。
「声は出せ。我慢しても苦しいだけだろ?」
「やだっ!そ、んなの……だって、恥ずか……」
「誰かと抱き合った事がないわけじゃないだろう?」
自分で言っておきながら、胸の奥がチリっとした熱に灼かれもやついた。
マヒロが俺の知らない誰かと肌を合わせる。
もちろん、マヒロには今まで生きてきた軌跡がある。その中には、そういう関係になった相手がいてもおかしくはない。
自分で自分の言葉に憮然となる俺に気づかないまま、マヒロが怒ったような拗ねたような表情で顔を背けた。
「……ぇよ」
「うん?」
聞き取れず、問う俺に、マヒロが頬を朱に染め、完全に怒ったように睨みつけてきた。
「ねぇよ!ないっつったの!!カイザーが初めてで…ッ、、~~~~~~~悪かったなッッ!こんなの、どうしていいか分かんな……う、あっ⁉︎えっ、ちょっ、んンぅッッッッーーーーーーーーーーッ!!」
みなまで言う隙も与えず、唇を深く奪い言葉を塞いだ。逃げ惑う舌を絡めとり、舌の根を引き抜かんばかりに吸い上げると、マヒロが喉奥で小さく唸る。
肩を力なく叩いてくる手を抑えると、しばらく振りほどこうと入っていた力が抜けていき、時折、喉で詰まった吐息を漏らすのみでされるがままになる。
口中に溢れ出した、どちらのものとも分からない唾液を吞み下し、唇をペロリと舐めて離すと、マヒロが閉じた目尻に涙を滲ませて、忙しなく息を吐いた。
「も、、な……すんだ、よぉ」
「今のは完全にお前が悪いだろ?あまり、俺を煽ってくれるな」
「はっ⁈意味、分かん……ひあっ!?」
服の合わせを開き、胸元に手を這わせた瞬間、マヒロが体を跳ね上げた。
薄く頼りない体だが、肌は驚くほど肌理細かく滑らかで、まるで手に吸い付くかと思うほどの極上の手触りだ。
胸の中心で小さく主張する尖りには敢えて触れず、周りの肌をやんわりと揉みながら撫でさする。
触れて貰えない事で焦れた肌が熱を持ち、無意識にヒクつく腰が微かに揺れる。
「はっ、、…!も、カ、、ザー、は、や……」
「うん?どうした?」
「ど、した……じゃね、だろッ!」
決定的な刺激は与えず、時折、際どい箇所を撫でると、マヒロが声を上擦らせて体を震わせた。
無意識に甘さを含む声は、だが、素直に強請れず不規則に揺れる。
あまり焦らすと、本気で怒るか拗ねて始末に負えなくなる可能性があり、望み通りにやんわりと震える尖りに指を這わせた。
「い、あぁっッ、!ん、ぁ、、や!」
クニクニと、柔らかだったそれが芯を持ち、固く尖る。指で転がすように弄った後、ピンと弾くと、マヒロの足先が丸まって伸びてを繰り返した。
じっとしてられないほど感じている様に、笑みが溢れた。今まで相手にしてきた者たちには感じた事もない、得も言われぬ充足感。
たったこれだけの刺激に喘ぐマヒロの体が、本人の言葉通り、まったく真っ新だという事実を確証でき、頭が沸騰しそうなくらいに興奮していた。
敏感に敏感すぎる体を、ともすれば滅茶苦茶にしてしまいたい欲望を抑えるのが至難の業だ。
一度、昂ぶった気を鎮めるため息を吐く。
マヒロは初めて。俺の欲望のままに抱けば傷付くのは必至。本人にも言ったように、今日は触れるだけ。マヒロが気持ちいいと感じる事しかしない。痛みを与えるなど以ての外だ。
言い聞かせるように息を吐き、指で摘み、擦り合わせた尖りにそっと唇を寄せた。
「あっッッ!!!」
まるで痛みを堪えるかのような鋭い悲鳴をあげ、マヒロの体が仰け反る。
痛がってはおらず、今まで感じた事もない快感に戸惑いと、若干の惑乱が籠もる声だ。
溶かしたい。
甘く溶け崩れ、泣き濡れたマヒロが見たい。
ギリっと堪えようと歯を噛み締めた俺の耳に、マヒロの意図しない媚びを帯びた喘ぎが届き、頭の中で何かの糸が切れる。
「マヒロ……責めは後でいくらでも受ける……許せよ?」
「カイザー……?え?あ?ま、待っーーーーーー!!」
*カイザー視点では前戯ちょろっと。次のマヒロ視点では、エ◯全開予定です。いつも通り、苦手な方はスルーして下さいm(_ _)m
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