民衛隊ー可能性のある未来ー

たらしゅー放送局

文字の大きさ
8 / 10

第二次東京大戦後半戦

しおりを挟む
近場でヘリを降り、走って新国立競技場に着くと、入り口にZの隊員が二人いた。対してこちらは榊と香川、未海そして俺の四人だ。
「どうする?やるか?」
「いや、待て浜松。ここで捕虜捕まえた方が楽じゃねえか?」
香川の意見が全員一致し、俺達はこの二人を捕虜にする事にした。
俺は監視カメラを探した。敵は既にこの施設を占拠している。セキュリティーに関する所も占拠されてると見ていいだろう。
(あった!)
二人の背後に二つ。この配置は正直都合が悪い。
(!そうだ)
この作戦なら…。と俺は不適な笑みを浮かべた。
「未海、狙撃頼めるか?」
「ええ、大丈夫よ」
といって、未海は89式のマガジンを麻酔弾の入ったマガジンに取り替え、サインサーをつけた。
「よし、少し待っててくれ」
といって俺は一旦その場を離れた。
@@@@@@@@@
「お待たせ」
といって俺が持ってきたのは、俺が入れるぐらいのダンボール箱だった。
「…ちょっと薙、あんた何考えてるのよ」
皆の冷ややな目線が痛いが、これを持ってきたのはちゃんとした理由がある。
「これを被って通路でこそこそする。多分怪しいと思って敵が俺に近づいてくるから、敵が監視カメラの視界から外れた所で、撃ってくれ」
「そんなゲームみたいなこと、上手くいくの?」
「確信はない。撃たれたらおしまいだ」
「じゃあ止めておきなさい」
「じゃあ、他に方法思いつくか?」
その一言に未海は苦しそうな顔をした。
「仮に俺が撃たれても確認のために監視カメラから奴らは離れる。そこを撃ってくれ」
「…わかったわ」
やれやれと言わんばかりの顔で諦めてくれた。
「ありがとう」
といって俺はダンボール箱を被った。
@@@@@@@@@@@@
入り口近くに来た。敵はこちらに気づいていない。
(よし、やるぞ)
そう決心し、茂みから、入り口につながる通路へと場所を移した。
敵が俺を見てひそひそと何かを話し始めた。
(コッチコイコッイコイコッチコイコッイコイ!)
俺の祈りが通じたのか、二人がこちらに来た。
監視カメラの視界から、彼らが消えるまであと四メートル、
三メートル、
二メートル、
一メートル、
外れた。
パスパスパスパス!
という籠もった音がかすかに聞こえたと同時に、パタリと彼らは倒れた。
「…成功だな」
『冷や冷やしたわよ』
未海のその言葉は本当らしく、無線越しでもその疲労っぷりが伝わってきた。
「榊に変わってくれ」
『わかったわ…。変わりました』
未海とは違う、大人の女の人の声。榊の声だ。
「高梨に回収を頼むと連絡してくれ」
『わかりました』
「あと全員ここに集まれ。今から突入する」
『了解』
プツンと切れた。
ふと入り口を見ると、監視カメラが二つとも割れていた。
「…こぇえ」
発砲音が四回聞こえたのはそのうちの二回は監視カメラを狙ってやったんだろう。未海の狙撃は民衛隊の中でも頭一つ抜けている。こんなのが敵に回ったら…。考えたくもない。そんな事を考えていると、三人が来た。
「今から突入する。常に警戒を怠らないでくれ」
「了解」
「じゃ、いくぞ」
といって俺達は入り口へと歩いていった。
@@@@@@@@@@@
おかしい。
中に入ってから、敵に会っていない。おかげで施設にすんなりC4を設置出来た。
「おいおいどうなってんだ?」
香川の声が廊下に木霊する。
「とにかく、競技場に行こう。多分武器を隠すんだったらそこぐらいだろう」
といって俺は競技場への扉を開けた。
「…誰もいねぇ」
武器はあったが、人がいない。罠もない。明らかにおかしい。
「けどこれは多分チャンスよ。今のうちに仕掛けましょう」
「…ああ」
不安を抱きながらも、無事C4を設置した。後はここから出て爆破させるのみ。
「さぁ、ここから出ましょう」
といって未海が扉を引いたがビクともしない。まさか…
「閉じ込められたわ!」
その声と同時に観客席にわらわらと隊員が出てきた。
「袋のネズミってか?」
これには苦笑いしか出てこない。
「銃で蝶番を破壊する!下がってろ!」
バン!と、香川の散弾銃の発砲音。蝶番が破壊された。
「おーら!!」
と香川が扉を蹴破る。
「入れー!」
という香川の声と同時に施設の中に入った。振り返ると敵が追っかけて来ているのが見えた。
「お前ら逃げろー!」
全力疾走中に何回か、銃撃されたが、狙いが定まっておらず、当たらなかった。
(いける!)
そう思った矢先だった。
「ぐわ!」
と香川が倒れた。
「香川一佐!」
右足からの出血。出血場所から見てアキレス腱に当たったのだろう。
「俺の事はいいからはやくいけ!」
「肩かすから!諦めんな!」
「上官命令だ!」
「嫌です!」
「このまま外に出てみろ、追っ手が外に出る。応援を呼んでいない今、外に出てみろ、蜂の巣だ」
「けど!」
「必ず爆破しろ!いいか、俺一人死ぬのはどうってことない。けどな、あそこで戦ってる奴らをこれ以上殺したくないんだよ!」
「!」
「ほら、はやくいけよ。英雄」
香川の無理矢理に作った笑顔は、今にもくしゃくしゃに泣きそうだった。
「…はい」
そういって走るのが精一杯だった。
振り向けば、助けに行きそうだったから。
@@@@@@@@@@@
新国立競技場の上空。ヘリの中が少し寂しくなった。
「薙」
「わかってる」
そう言って俺は起爆スイッチを見た。
(すまねぇ)
…カチ。
ボタンを押し、俺は、新国立競技場を爆破した。
@@@@@@@@@@@
二千四十六年。九月三十日。司令部であり、武器庫であった新国立競技場が爆発し、都庁舎を攻めていたZは混乱、これを好機とみた自衛隊は猛攻撃を仕掛け、
午後三時二十七分。戦いが終わった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...