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第二次東京大戦後半戦
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近場でヘリを降り、走って新国立競技場に着くと、入り口にZの隊員が二人いた。対してこちらは榊と香川、未海そして俺の四人だ。
「どうする?やるか?」
「いや、待て浜松。ここで捕虜捕まえた方が楽じゃねえか?」
香川の意見が全員一致し、俺達はこの二人を捕虜にする事にした。
俺は監視カメラを探した。敵は既にこの施設を占拠している。セキュリティーに関する所も占拠されてると見ていいだろう。
(あった!)
二人の背後に二つ。この配置は正直都合が悪い。
(!そうだ)
この作戦なら…。と俺は不適な笑みを浮かべた。
「未海、狙撃頼めるか?」
「ええ、大丈夫よ」
といって、未海は89式のマガジンを麻酔弾の入ったマガジンに取り替え、サインサーをつけた。
「よし、少し待っててくれ」
といって俺は一旦その場を離れた。
@@@@@@@@@
「お待たせ」
といって俺が持ってきたのは、俺が入れるぐらいのダンボール箱だった。
「…ちょっと薙、あんた何考えてるのよ」
皆の冷ややな目線が痛いが、これを持ってきたのはちゃんとした理由がある。
「これを被って通路でこそこそする。多分怪しいと思って敵が俺に近づいてくるから、敵が監視カメラの視界から外れた所で、撃ってくれ」
「そんなゲームみたいなこと、上手くいくの?」
「確信はない。撃たれたらおしまいだ」
「じゃあ止めておきなさい」
「じゃあ、他に方法思いつくか?」
その一言に未海は苦しそうな顔をした。
「仮に俺が撃たれても確認のために監視カメラから奴らは離れる。そこを撃ってくれ」
「…わかったわ」
やれやれと言わんばかりの顔で諦めてくれた。
「ありがとう」
といって俺はダンボール箱を被った。
@@@@@@@@@@@@
入り口近くに来た。敵はこちらに気づいていない。
(よし、やるぞ)
そう決心し、茂みから、入り口につながる通路へと場所を移した。
敵が俺を見てひそひそと何かを話し始めた。
(コッチコイコッイコイコッチコイコッイコイ!)
俺の祈りが通じたのか、二人がこちらに来た。
監視カメラの視界から、彼らが消えるまであと四メートル、
三メートル、
二メートル、
一メートル、
外れた。
パスパスパスパス!
という籠もった音がかすかに聞こえたと同時に、パタリと彼らは倒れた。
「…成功だな」
『冷や冷やしたわよ』
未海のその言葉は本当らしく、無線越しでもその疲労っぷりが伝わってきた。
「榊に変わってくれ」
『わかったわ…。変わりました』
未海とは違う、大人の女の人の声。榊の声だ。
「高梨に回収を頼むと連絡してくれ」
『わかりました』
「あと全員ここに集まれ。今から突入する」
『了解』
プツンと切れた。
ふと入り口を見ると、監視カメラが二つとも割れていた。
「…こぇえ」
発砲音が四回聞こえたのはそのうちの二回は監視カメラを狙ってやったんだろう。未海の狙撃は民衛隊の中でも頭一つ抜けている。こんなのが敵に回ったら…。考えたくもない。そんな事を考えていると、三人が来た。
「今から突入する。常に警戒を怠らないでくれ」
「了解」
「じゃ、いくぞ」
といって俺達は入り口へと歩いていった。
@@@@@@@@@@@
おかしい。
中に入ってから、敵に会っていない。おかげで施設にすんなりC4を設置出来た。
「おいおいどうなってんだ?」
香川の声が廊下に木霊する。
「とにかく、競技場に行こう。多分武器を隠すんだったらそこぐらいだろう」
といって俺は競技場への扉を開けた。
「…誰もいねぇ」
武器はあったが、人がいない。罠もない。明らかにおかしい。
「けどこれは多分チャンスよ。今のうちに仕掛けましょう」
「…ああ」
不安を抱きながらも、無事C4を設置した。後はここから出て爆破させるのみ。
「さぁ、ここから出ましょう」
といって未海が扉を引いたがビクともしない。まさか…
「閉じ込められたわ!」
その声と同時に観客席にわらわらと隊員が出てきた。
「袋のネズミってか?」
これには苦笑いしか出てこない。
「銃で蝶番を破壊する!下がってろ!」
バン!と、香川の散弾銃の発砲音。蝶番が破壊された。
「おーら!!」
と香川が扉を蹴破る。
「入れー!」
という香川の声と同時に施設の中に入った。振り返ると敵が追っかけて来ているのが見えた。
「お前ら逃げろー!」
全力疾走中に何回か、銃撃されたが、狙いが定まっておらず、当たらなかった。
(いける!)
そう思った矢先だった。
「ぐわ!」
と香川が倒れた。
「香川一佐!」
右足からの出血。出血場所から見てアキレス腱に当たったのだろう。
「俺の事はいいからはやくいけ!」
「肩かすから!諦めんな!」
「上官命令だ!」
「嫌です!」
「このまま外に出てみろ、追っ手が外に出る。応援を呼んでいない今、外に出てみろ、蜂の巣だ」
「けど!」
「必ず爆破しろ!いいか、俺一人死ぬのはどうってことない。けどな、あそこで戦ってる奴らをこれ以上殺したくないんだよ!」
「!」
「ほら、はやくいけよ。英雄」
香川の無理矢理に作った笑顔は、今にもくしゃくしゃに泣きそうだった。
「…はい」
そういって走るのが精一杯だった。
振り向けば、助けに行きそうだったから。
@@@@@@@@@@@
新国立競技場の上空。ヘリの中が少し寂しくなった。
「薙」
「わかってる」
そう言って俺は起爆スイッチを見た。
(すまねぇ)
…カチ。
ボタンを押し、俺は、新国立競技場を爆破した。
@@@@@@@@@@@
二千四十六年。九月三十日。司令部であり、武器庫であった新国立競技場が爆発し、都庁舎を攻めていたZは混乱、これを好機とみた自衛隊は猛攻撃を仕掛け、
午後三時二十七分。戦いが終わった。
「どうする?やるか?」
「いや、待て浜松。ここで捕虜捕まえた方が楽じゃねえか?」
香川の意見が全員一致し、俺達はこの二人を捕虜にする事にした。
俺は監視カメラを探した。敵は既にこの施設を占拠している。セキュリティーに関する所も占拠されてると見ていいだろう。
(あった!)
二人の背後に二つ。この配置は正直都合が悪い。
(!そうだ)
この作戦なら…。と俺は不適な笑みを浮かべた。
「未海、狙撃頼めるか?」
「ええ、大丈夫よ」
といって、未海は89式のマガジンを麻酔弾の入ったマガジンに取り替え、サインサーをつけた。
「よし、少し待っててくれ」
といって俺は一旦その場を離れた。
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「お待たせ」
といって俺が持ってきたのは、俺が入れるぐらいのダンボール箱だった。
「…ちょっと薙、あんた何考えてるのよ」
皆の冷ややな目線が痛いが、これを持ってきたのはちゃんとした理由がある。
「これを被って通路でこそこそする。多分怪しいと思って敵が俺に近づいてくるから、敵が監視カメラの視界から外れた所で、撃ってくれ」
「そんなゲームみたいなこと、上手くいくの?」
「確信はない。撃たれたらおしまいだ」
「じゃあ止めておきなさい」
「じゃあ、他に方法思いつくか?」
その一言に未海は苦しそうな顔をした。
「仮に俺が撃たれても確認のために監視カメラから奴らは離れる。そこを撃ってくれ」
「…わかったわ」
やれやれと言わんばかりの顔で諦めてくれた。
「ありがとう」
といって俺はダンボール箱を被った。
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入り口近くに来た。敵はこちらに気づいていない。
(よし、やるぞ)
そう決心し、茂みから、入り口につながる通路へと場所を移した。
敵が俺を見てひそひそと何かを話し始めた。
(コッチコイコッイコイコッチコイコッイコイ!)
俺の祈りが通じたのか、二人がこちらに来た。
監視カメラの視界から、彼らが消えるまであと四メートル、
三メートル、
二メートル、
一メートル、
外れた。
パスパスパスパス!
という籠もった音がかすかに聞こえたと同時に、パタリと彼らは倒れた。
「…成功だな」
『冷や冷やしたわよ』
未海のその言葉は本当らしく、無線越しでもその疲労っぷりが伝わってきた。
「榊に変わってくれ」
『わかったわ…。変わりました』
未海とは違う、大人の女の人の声。榊の声だ。
「高梨に回収を頼むと連絡してくれ」
『わかりました』
「あと全員ここに集まれ。今から突入する」
『了解』
プツンと切れた。
ふと入り口を見ると、監視カメラが二つとも割れていた。
「…こぇえ」
発砲音が四回聞こえたのはそのうちの二回は監視カメラを狙ってやったんだろう。未海の狙撃は民衛隊の中でも頭一つ抜けている。こんなのが敵に回ったら…。考えたくもない。そんな事を考えていると、三人が来た。
「今から突入する。常に警戒を怠らないでくれ」
「了解」
「じゃ、いくぞ」
といって俺達は入り口へと歩いていった。
@@@@@@@@@@@
おかしい。
中に入ってから、敵に会っていない。おかげで施設にすんなりC4を設置出来た。
「おいおいどうなってんだ?」
香川の声が廊下に木霊する。
「とにかく、競技場に行こう。多分武器を隠すんだったらそこぐらいだろう」
といって俺は競技場への扉を開けた。
「…誰もいねぇ」
武器はあったが、人がいない。罠もない。明らかにおかしい。
「けどこれは多分チャンスよ。今のうちに仕掛けましょう」
「…ああ」
不安を抱きながらも、無事C4を設置した。後はここから出て爆破させるのみ。
「さぁ、ここから出ましょう」
といって未海が扉を引いたがビクともしない。まさか…
「閉じ込められたわ!」
その声と同時に観客席にわらわらと隊員が出てきた。
「袋のネズミってか?」
これには苦笑いしか出てこない。
「銃で蝶番を破壊する!下がってろ!」
バン!と、香川の散弾銃の発砲音。蝶番が破壊された。
「おーら!!」
と香川が扉を蹴破る。
「入れー!」
という香川の声と同時に施設の中に入った。振り返ると敵が追っかけて来ているのが見えた。
「お前ら逃げろー!」
全力疾走中に何回か、銃撃されたが、狙いが定まっておらず、当たらなかった。
(いける!)
そう思った矢先だった。
「ぐわ!」
と香川が倒れた。
「香川一佐!」
右足からの出血。出血場所から見てアキレス腱に当たったのだろう。
「俺の事はいいからはやくいけ!」
「肩かすから!諦めんな!」
「上官命令だ!」
「嫌です!」
「このまま外に出てみろ、追っ手が外に出る。応援を呼んでいない今、外に出てみろ、蜂の巣だ」
「けど!」
「必ず爆破しろ!いいか、俺一人死ぬのはどうってことない。けどな、あそこで戦ってる奴らをこれ以上殺したくないんだよ!」
「!」
「ほら、はやくいけよ。英雄」
香川の無理矢理に作った笑顔は、今にもくしゃくしゃに泣きそうだった。
「…はい」
そういって走るのが精一杯だった。
振り向けば、助けに行きそうだったから。
@@@@@@@@@@@
新国立競技場の上空。ヘリの中が少し寂しくなった。
「薙」
「わかってる」
そう言って俺は起爆スイッチを見た。
(すまねぇ)
…カチ。
ボタンを押し、俺は、新国立競技場を爆破した。
@@@@@@@@@@@
二千四十六年。九月三十日。司令部であり、武器庫であった新国立競技場が爆発し、都庁舎を攻めていたZは混乱、これを好機とみた自衛隊は猛攻撃を仕掛け、
午後三時二十七分。戦いが終わった。
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