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ドックタグ
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香川の葬式には親族の他にも部下や自衛隊の方々が来ていた。その中に勿論俺達もいた。
香川の遺体は結局見つけられなかった。当たり前だ。あんな大爆発をして遺体が見つかる訳がない。その代わり、彼のドックタグが見つかった。チェーンが切れて、粉塵にまみれていたが、そこには香川の名前が彫られていた。たった一枚だけになったドックタグだが、香川が生きた証だ。その証は、今棺に入れられている。
(幸せに逝ってください)
そう思いながら、ドックタグだけの棺に花を入れた。
@@@@@@@@@@
「…連日東京大戦の事ばっかりだな」
事務所兼自宅で俺はラジオを聞いていた。いつもなら、スピーカーから聞こえるはずの笑い声が聞こえてこないのが寂しい。
「そうね。多くの方が亡くなったから話題性があるんでしょう」
そう言いながら夕食のしたくをする未海も元気がない。いつもなら、『手伝いなさい!』と言ってくるのに、今日は言わなかった。
「あ、そうだ。薙、明日大本営が事務所に来て欲しいって」
「え?なんで」
「なんか階級を上げるから、階級章取りに来てってさ」
ふーん。と気のない返事を返した。階級章なら、郵便で渡したらいいのに。と、思った。
「何時?」
「0800」
「案外早いな」
と言いながら俺は、アラームをセットした。
「はい。できたわよ」
談笑するでもなく、その日の夕食は終わった。
@@@@@@@@@@
翌日、朝の八時ジャストに俺と旧国会議事堂跡大本営事務所の事務長、栗田晶久(くりたあきひさ)は事務所の会議室にいた。ひょろっこく見える事務長だが頭のキレがよく、それなりに筋肉もあった。
「まずはおめでとう」
そう言って渡されたのは俺の分の階級章と、もう一つ別の階級章があった。
「これは?」
「殉職は二階級昇進だ」
なるほど、香川の分か。
「それと君には任務がある」
「任務?」
「そうだ。貴官らの捕まえた捕虜が本拠地の場所をはいた。浜松よ、本拠地に潜り込み、敵の目的を探って欲しい」
また危なっかしい物を…。
「わかりました」
「場所は池袋。時刻は0400より、敵のアジトに潜入。諜報活動せよ」
「了解」
あまり気乗りしないが、奴らの目的を知ることで俺達も戦いやすくなる。俺は、この任務を受ける事にした。
@@@@@@@@@
香川の墓は、国立競技場のあった場所の隅っこにひっそりとあった。
「香川さん」
お供え物を供えながら、俺は呟いた。
「俺、敵のアジトに諜報しにいくことになったんだ。どんだけ信用されてんだよ!って思ったよ」
ははは、小さく笑った。
「今回の任務、危険だから見守ってて下さい。成功させますので!」
さっと、心地よい風が吹いた。応援するよ。って事なのか、否か、それは香川か神様にしかわからない。
香川の遺体は結局見つけられなかった。当たり前だ。あんな大爆発をして遺体が見つかる訳がない。その代わり、彼のドックタグが見つかった。チェーンが切れて、粉塵にまみれていたが、そこには香川の名前が彫られていた。たった一枚だけになったドックタグだが、香川が生きた証だ。その証は、今棺に入れられている。
(幸せに逝ってください)
そう思いながら、ドックタグだけの棺に花を入れた。
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「…連日東京大戦の事ばっかりだな」
事務所兼自宅で俺はラジオを聞いていた。いつもなら、スピーカーから聞こえるはずの笑い声が聞こえてこないのが寂しい。
「そうね。多くの方が亡くなったから話題性があるんでしょう」
そう言いながら夕食のしたくをする未海も元気がない。いつもなら、『手伝いなさい!』と言ってくるのに、今日は言わなかった。
「あ、そうだ。薙、明日大本営が事務所に来て欲しいって」
「え?なんで」
「なんか階級を上げるから、階級章取りに来てってさ」
ふーん。と気のない返事を返した。階級章なら、郵便で渡したらいいのに。と、思った。
「何時?」
「0800」
「案外早いな」
と言いながら俺は、アラームをセットした。
「はい。できたわよ」
談笑するでもなく、その日の夕食は終わった。
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翌日、朝の八時ジャストに俺と旧国会議事堂跡大本営事務所の事務長、栗田晶久(くりたあきひさ)は事務所の会議室にいた。ひょろっこく見える事務長だが頭のキレがよく、それなりに筋肉もあった。
「まずはおめでとう」
そう言って渡されたのは俺の分の階級章と、もう一つ別の階級章があった。
「これは?」
「殉職は二階級昇進だ」
なるほど、香川の分か。
「それと君には任務がある」
「任務?」
「そうだ。貴官らの捕まえた捕虜が本拠地の場所をはいた。浜松よ、本拠地に潜り込み、敵の目的を探って欲しい」
また危なっかしい物を…。
「わかりました」
「場所は池袋。時刻は0400より、敵のアジトに潜入。諜報活動せよ」
「了解」
あまり気乗りしないが、奴らの目的を知ることで俺達も戦いやすくなる。俺は、この任務を受ける事にした。
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香川の墓は、国立競技場のあった場所の隅っこにひっそりとあった。
「香川さん」
お供え物を供えながら、俺は呟いた。
「俺、敵のアジトに諜報しにいくことになったんだ。どんだけ信用されてんだよ!って思ったよ」
ははは、小さく笑った。
「今回の任務、危険だから見守ってて下さい。成功させますので!」
さっと、心地よい風が吹いた。応援するよ。って事なのか、否か、それは香川か神様にしかわからない。
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