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『聞く側』から『弾く側』へ

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先輩達の演奏が終わってしばらくの間、星柳と弦はただただ驚愕した。
(すごく…はやかった…!)
その速さたるや機関銃のようで、特に途中のメロディー部分の所は流星群のようだった。一方その頃、眩魏は武者震いをしていた。
(この曲を俺が弾くのか…すげぇ…)
そう、この曲は眩魏にとって運命の曲だと言っても過言では無い、忘れがたきあのホームレスの弾いていた曲だった。ただその一方で
(けど弾けるかわからないな…)と思っていた。曲の速さに着いて行けるか、そう聞かれた時、多分眩魏は返答ができないだろう。
「まぁ、難しい曲だがその中でも比較的簡単な曲だ。それ故に奥が深いが…」
「…私達にできるんですか?」
眩魏や弦が思ってたことを、二人に代わって星柳が質問した。
「一胆ニ力三功夫」
「え?」
突然、長野先輩がいったその言葉に眩魏達の頭にクエッションマークが浮ぶ。
「まず勇気その次に力、最後に努力。中国のことわざや。用は何事も勇気を持ってやって今までつけた力を惜しみなく発揮する。足りない力は努力してつけるって言う事や。何事もまず試さなわからへんしな」
その言葉に勇気が湧いたのか、三人の表情が明るくなった。
「取り敢えず、パートを発表するよ!まずファースト!眩魏くん!続いてセカンド、弦くん!そしてサード、星柳ちゃん!それとそれぞれのパートの先輩が教えてくれるからわからない所があったらいってね!」
と秋空先輩の発表を合図にトルコ行進曲の初日の練習はスタートした。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ファーストの担当は中森先輩だった。
「それじゃあ始めようか…て言ってもまずは譜読みからだね、頑張って読もう!」
「はい!」
そういうと眩魏は楽譜を読み始めた。
(すごい数の音符だな…まるで)
「お玉杓子の群みたいでしょ?」
「今同じこと考えてました」
「そうだろうね~。俺も同じこと考えてたもん」
と、遠くをみるような目で中森先輩はいった。
「まぁ、取り敢えず頑張って読もうか、もう少しで本格的に練習になるからね」
「はい!」
眩魏はそういうと黙々と楽譜を読んだ。
♬♬♬♬♬♬♬♬♬♬♬♬♬♬♬♬♬♬♬♬♬
帰り道、眩魏達の表情は決して良い物ではなかった。
「なぁ、弾けると思うか、トルコ行進曲」
弦の不意に聞かれたその質問に、眩魏と星柳は答える事ができなかった。
「わからない。けど、だからこそ、出来たときの達成感はすごいんじゃないか?」
「そうだな、よっしゃ!こんな辛気くさい話ばっかりしないで、どこまで読んだか競争しようぜ!眩魏はどこまで読めた?」
「そうだな…だいたい途中の速くなる所の前ぐらいかな?星柳は?」
「もう半分ぐらい読んだかな?」
「すげー速いじゃん!俺まだ始めの方しか読んでないのに!」
弦がそういうと、星柳と眩魏は笑った。「笑うなよ!」っと言いつつも、弦自身も笑顔を浮かべていた。
「けど思ったより簡単だったね」
「確かに、あまり音もややこしくなかったね」
「ま、難しいくてもなんとかなるだろう」
「だな、そんじゃ、また明日!」
「おう、また明日!」
そういうと、各々は家に向かっていった。
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はい、久し振りなのか知りませんがどうもたらしゅー放送局です!今回の話あまり面白くなくて申し訳ありません!正直言って練習回は書くのが難しいんです(汗)本当に…ですので、しばらくの間はこんな感じにあまり面白くないかもしれませんが、応援よろしくお願いします!
応援してくれると僕が笑顔になります。ただそれだけです。以上たらしゅー放送局でした!





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