眩魏(くらぎ)!一楽章

たらしゅー放送局

文字の大きさ
10 / 42

思い出の曲はいつも突発的にあらわれる

しおりを挟む
「さて、どこまで出来たか見せてもらおうか」
平井先輩の言葉に眩魏、星柳、弦に緊張が走った。二日前渡された楽譜、『オブラディ・オブラダ』を三人は一緒懸命に読んだ。それはそれは熱心に。なので、それなりに自信があった。が
しかし、いざ本番となるといつもおちゃらけている二人も顔が少し堅く固まって見えた。
「楽譜はみてもいいし、みなくてもいい。自分が、『ここからわからない!』ってなったらその人は弾くのを止める。いいね?」
『はい!』
「よし、それじゃあ長野、メトロノームつけてくれ」
「おう!」
そういうと、メトロノームを鳴らした。カチカチと無機質な音を立てながら、しっかりリズムを刻んでいる。その音一つ一つが、眩魏達の緊張をより際立たせた。
「1.2.3.4!」
その時、眩魏は確かに他二人と『なにか』がつながった気がした。そのなにかの正体はわからないが、緊張が消え体の奥深くからこみ上げてくるモノがあった。
(何でだろう…すげぇココチイイ…!)
そう思いながら、眩魏達は全力を出して弾いた。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
メトロノームが止められ、静寂と少しの緊張が
このボロボロの部室の中の空気を支配していた。
「……」
「…先輩?」
弦の声に先輩達はハッとした様子でいた。
「いや、すまない。予想を遥かに超えていたんで動揺していた。」
その瞬間、静寂と緊張が支配していた空気がいつもどうりの明るい空気に戻った。
「本当ですか!?」
星柳は大きな声で平井先輩に聞いた。
「ああ、全員暗譜してるしリズムもバッチリだったよ。ただまだ少し強弱が出来てないな。まぁ、ここは後々教えることにしよう。十分合格点だ。」
『やったー!』
と結構大きな声で星柳と弦と眩魏は顔を合わせていった。
「ここまでなら『練習曲』をすっ飛ばしても大丈夫だね!」
秋空先輩のその一声に眩魏達は動揺した。
「練習曲?」
「当たり前じゃん!まだまだ難しい曲がいっっっぱいあるからね!」
そういいながら手を目一杯広げて、『いっぱいあるんだぞー!』とジェスチャーしていた。
「まぁそんなにムズい曲は最初はしないよ!」
と中森先輩はいった。
「おほん。それじゃあ次の楽譜を配る。はっきり言って結構有名だから知ってるはずだ。」
そういって渡された楽譜には『トルコ行進曲』
と書いてあった。
「とるここうしんきょく?何ですかそれ?」
弦の質問に眩魏と星柳は首をタテに振った。
「まぁ、最近の中学生なら無理もないか。」
「いや、先輩達も最近の中学se…」
「細かいことは気にするな」
と平井先輩に怒られた。
「じゃあ一回弾いて見るから思い出しておいてくれ」
そういうと、それぞれ自分達のギターを持った。
「それじゃあ、1.2.3!」
その曲に眩魏は聞き覚えがあった。
(この曲は…あの時の!)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

二十年以上無視してきた夫が、今さら文通を申し込んできました

小豆缶
恋愛
「お願いです。文通から始めてもらえませんか?」 二十年以上会話もなかった夫――この国の王が、ある日突然そう言ってきた。 第一王妃マリアは、公爵家出身の正妃。だが夫はかつて、寵愛する第三王妃の話のみを信じ、彼女を殴ったことがある。その事件が原因で、マリアは男性恐怖症が悪化して、夫と二人きりでは会話すらできなくなっていた。 それから二十年。 第三王妃はとある事故で亡くなり、夫は反省したらしい。だからといって――今さら夫婦関係をやり直したいと言われても遅すぎる。 なのに王は諦めない。毎日の手紙。花を一輪。夜食の差し入れ。 不器用すぎる求愛に振り回されるうち、マリアの中で止まっていた感情が少しずつ動き始める。 これは、冷えきった政略夫婦が「文通」からやり直す恋の話。 ※本作は「存在されていないことにされていた管理ギフトの少女王宮で真の家族に出会う」のスピンオフですが、単体で読めます。

処理中です...