3 / 20
なんだ、かんだ成功しそう
しおりを挟む
どうして皆泣いているのか、俺にはわからなかったと言うと嘘になる。幼稚園児の頃の、夢。
黒い軍服姿の大人達や、兄ちゃんのクラスメイトが大勢来ていた。
皆、手に花を持っていて、その花を次々と箱に入れていく。
母さんが一番最後に花を入れた。その顔は泣いていた。けど、他の人とは違っていた。何が違っていたかなんてわからないが、何か暗いモノを幼いながらに感じ取っていた事は間違いない。
「海人」
だから母さんに呼ばれた時、俺は返事が出来なかった。それでも母さんは構わず話を続けた。
「わかったでしょ?ーーーーーーー」
目を開けると、目の前には見知った天井がいつも通り待ち構えていた。聞き慣れた起床喇叭の目覚ましが部屋の中に響いている。
「…なんて言ったんだろうな…母さん」
あの後、俺はその場を飛び出してここの大家に拾われた。無料で住まわす代わりに、色々と手伝ったりしたりしている。あの時の記憶は殆どない。ただ、これだけは覚えてる。
ーーーーー兄ちゃんが死んだーーーーーーー
「艦長、公開ってなにすんだ?」
川村の発言にうんうんと、乗組員達は頷いた。なんで昨日お前ら浮かれてたんだよ!てのはさて置き、
「そうだな…艦の紹介、それから体験的な事かな?」
「体験?」
「あぁ。俺の兄ちゃんの公開の時は筒の掃除と、カレー振る舞ってたかな?」
カレー良いじゃん!と周りがどよめく。
「けど、うちのめしたき二人しかいませんよ?」
確かにそうだ。めしたきこと、艦内の調理師は二人、大橋夏目(なつめ)と佐々木春(はる)しかいない。
元々、外洋訓練なんて殆どしないこの学校で、そこまで調理師の必要性がないのだ。
「そうだな…とは言ってもカレーって結構人気だしな…」
「俺ら多分公開の時手が空いてると思うぜ?」
と言ったのは、機関の堀尾だった。
「流石に艦内を見せる事はないだろ?しかも艦内を仮に見学させたとしても主機なんてどうせ誰も興味ねぇ。だったら俺らで手伝えるじゃん。どうだ?ロリッ子機関長」
「ロリッ子じゃないって!もう!」
と言ったのはこの艦で一、二を争うほどの幼女体型であり機関長。大東紫苑(しおん)だった。
「けど、確かにそうね。まぁ、うちの男に料理なんて出来るか疑問ダケド…」
失礼な!漁師の料理の腕前なめんなよ!機関長こそ、料理出来るのかよ!と男達が吠えている。
「ま、取り敢えずカレーは問題ないってことかな?」
おうよ!と、元気に返事された。
「それじゃあ、総員、甲板掃除と説明用のプレートの用意!機関と俺と副艦長、そのほか手の空いた人からカレーの手伝い!」
と言い終わる頃には船員は持ち場に着くために走っていた。
「まもなく、海洋高校一般公開を開始します!走らず、ゆっくりと進んでください!それでは開場します!開門はじめ!」
教員が叫ぶと、一斉に人が入ってきた。その数目視だけで約数千。昼ぐらいになるともっと人が多くなるだろう。
「報道の人も来てるな」
「もしかして私達、取材されんじゃない?」
と、柳原が興奮気味に、というか興奮しながら言った。
「それはないわね」
と永久保の厳しい言葉から始まり、
「それは流石に…」
という川村の控えめな否定が入り、
「ないと思いますね」
と言う今田の容赦ない言葉がとび、
「夢の見過ぎよ」
というロリっ子…もとい大東がこの中で最も容赦のない否定で締めくくった。
「ええー!?なんでよ?」
「向こうもこっちも、戦艦が旗艦だ。旗艦に取材集中するぐらいわかんだろ?」
「なーんだ。つまんないの」
と、頬を膨らました。
ちなみに俺みたく艦長や、副艦長など、長の名の付く俺達は、階段を登ってすぐの所にいる。
「けど、今は客をもてなす事に集中しよう。ほら、ちょうど主計のグッズ並べも終わったみたいだし」
といって俺は皆にケータイを見せた。液晶には、おわったよー!と書かれている。
俺は通信機を手に取った。
「ぼちぼちお客も来てるから、気合い入れていくぞ!総員、配置につけ!」
かん、かん、かん、と階段を登ってくる音がする。その音の方を見ると、子供連れの家族がいた。
(母さん来るかな…?)
と、思いながら俺達は、右手を瞬時に上げ、脇の角度を四十五度に止めて敬礼した。
「せーの、」
『ようこそ、海洋高校所属、駆逐艦瑞雪へ!』
やはり報道陣は戦艦に集中したが、一般の、特に家族連れが多くきた。
「ぱぱー、これなーにー?」
と言って子供が指さしたのは、主砲だった。
「う、うーん。大砲だねぇ。大きいねぇ」
と適当にごまかした。どうやらよくわかってないらしい。
「こちら、十二・七サンチ連装砲です。ここ、前甲板に一つ、後甲板に二つあります。そうですね…あと三分ぐらいでこの艦砲の筒の掃除体験を開始しますよ」
と、砲術員の大島与一(よいち)がすかさずフォローを入れた。
「んー?どうする?」
「やってみたーい!」
「そうかい。それじゃあ、待たせてもらうよ」
と言って、親子は砲塔を回り始めた。
「おう、やってんな」
「まぁな。親が保育園の先生でね、子供の扱いとか親の対応とか。見て覚えた」
よくそんなドロドロした事覚えたな!
「すいません。艦長ですよね?」
とか思っていると、後ろから声をかけられた。
「はい?」
と言って振り返ると、そこには紺色のスーツ姿のお兄さんが立っていた。
「私、首都テレビの者ですが…」
首都テレビとは、全国放送してるめっちゃ有名なテレビ局だ。
「それはそれは!どういったご用件で?」
「はい、それがですね…」
と言っている中、俺のケータイが鳴った。
「すみません」
と言ってケータイを開いた。
『カレーの販売を開始します』
しめた!と俺は思った。やっぱり話し合いは食べながらやった方が多くの情報を得やすい。
「まぁ取り敢えず、立ち話もなんなんで艦内に上がってください。丁度カレーも出来上がった所ですし」
「そうですか。ではお言葉に甘えて…」
それじゃあ、といって俺はお兄さんを案内した。
黒い軍服姿の大人達や、兄ちゃんのクラスメイトが大勢来ていた。
皆、手に花を持っていて、その花を次々と箱に入れていく。
母さんが一番最後に花を入れた。その顔は泣いていた。けど、他の人とは違っていた。何が違っていたかなんてわからないが、何か暗いモノを幼いながらに感じ取っていた事は間違いない。
「海人」
だから母さんに呼ばれた時、俺は返事が出来なかった。それでも母さんは構わず話を続けた。
「わかったでしょ?ーーーーーーー」
目を開けると、目の前には見知った天井がいつも通り待ち構えていた。聞き慣れた起床喇叭の目覚ましが部屋の中に響いている。
「…なんて言ったんだろうな…母さん」
あの後、俺はその場を飛び出してここの大家に拾われた。無料で住まわす代わりに、色々と手伝ったりしたりしている。あの時の記憶は殆どない。ただ、これだけは覚えてる。
ーーーーー兄ちゃんが死んだーーーーーーー
「艦長、公開ってなにすんだ?」
川村の発言にうんうんと、乗組員達は頷いた。なんで昨日お前ら浮かれてたんだよ!てのはさて置き、
「そうだな…艦の紹介、それから体験的な事かな?」
「体験?」
「あぁ。俺の兄ちゃんの公開の時は筒の掃除と、カレー振る舞ってたかな?」
カレー良いじゃん!と周りがどよめく。
「けど、うちのめしたき二人しかいませんよ?」
確かにそうだ。めしたきこと、艦内の調理師は二人、大橋夏目(なつめ)と佐々木春(はる)しかいない。
元々、外洋訓練なんて殆どしないこの学校で、そこまで調理師の必要性がないのだ。
「そうだな…とは言ってもカレーって結構人気だしな…」
「俺ら多分公開の時手が空いてると思うぜ?」
と言ったのは、機関の堀尾だった。
「流石に艦内を見せる事はないだろ?しかも艦内を仮に見学させたとしても主機なんてどうせ誰も興味ねぇ。だったら俺らで手伝えるじゃん。どうだ?ロリッ子機関長」
「ロリッ子じゃないって!もう!」
と言ったのはこの艦で一、二を争うほどの幼女体型であり機関長。大東紫苑(しおん)だった。
「けど、確かにそうね。まぁ、うちの男に料理なんて出来るか疑問ダケド…」
失礼な!漁師の料理の腕前なめんなよ!機関長こそ、料理出来るのかよ!と男達が吠えている。
「ま、取り敢えずカレーは問題ないってことかな?」
おうよ!と、元気に返事された。
「それじゃあ、総員、甲板掃除と説明用のプレートの用意!機関と俺と副艦長、そのほか手の空いた人からカレーの手伝い!」
と言い終わる頃には船員は持ち場に着くために走っていた。
「まもなく、海洋高校一般公開を開始します!走らず、ゆっくりと進んでください!それでは開場します!開門はじめ!」
教員が叫ぶと、一斉に人が入ってきた。その数目視だけで約数千。昼ぐらいになるともっと人が多くなるだろう。
「報道の人も来てるな」
「もしかして私達、取材されんじゃない?」
と、柳原が興奮気味に、というか興奮しながら言った。
「それはないわね」
と永久保の厳しい言葉から始まり、
「それは流石に…」
という川村の控えめな否定が入り、
「ないと思いますね」
と言う今田の容赦ない言葉がとび、
「夢の見過ぎよ」
というロリっ子…もとい大東がこの中で最も容赦のない否定で締めくくった。
「ええー!?なんでよ?」
「向こうもこっちも、戦艦が旗艦だ。旗艦に取材集中するぐらいわかんだろ?」
「なーんだ。つまんないの」
と、頬を膨らました。
ちなみに俺みたく艦長や、副艦長など、長の名の付く俺達は、階段を登ってすぐの所にいる。
「けど、今は客をもてなす事に集中しよう。ほら、ちょうど主計のグッズ並べも終わったみたいだし」
といって俺は皆にケータイを見せた。液晶には、おわったよー!と書かれている。
俺は通信機を手に取った。
「ぼちぼちお客も来てるから、気合い入れていくぞ!総員、配置につけ!」
かん、かん、かん、と階段を登ってくる音がする。その音の方を見ると、子供連れの家族がいた。
(母さん来るかな…?)
と、思いながら俺達は、右手を瞬時に上げ、脇の角度を四十五度に止めて敬礼した。
「せーの、」
『ようこそ、海洋高校所属、駆逐艦瑞雪へ!』
やはり報道陣は戦艦に集中したが、一般の、特に家族連れが多くきた。
「ぱぱー、これなーにー?」
と言って子供が指さしたのは、主砲だった。
「う、うーん。大砲だねぇ。大きいねぇ」
と適当にごまかした。どうやらよくわかってないらしい。
「こちら、十二・七サンチ連装砲です。ここ、前甲板に一つ、後甲板に二つあります。そうですね…あと三分ぐらいでこの艦砲の筒の掃除体験を開始しますよ」
と、砲術員の大島与一(よいち)がすかさずフォローを入れた。
「んー?どうする?」
「やってみたーい!」
「そうかい。それじゃあ、待たせてもらうよ」
と言って、親子は砲塔を回り始めた。
「おう、やってんな」
「まぁな。親が保育園の先生でね、子供の扱いとか親の対応とか。見て覚えた」
よくそんなドロドロした事覚えたな!
「すいません。艦長ですよね?」
とか思っていると、後ろから声をかけられた。
「はい?」
と言って振り返ると、そこには紺色のスーツ姿のお兄さんが立っていた。
「私、首都テレビの者ですが…」
首都テレビとは、全国放送してるめっちゃ有名なテレビ局だ。
「それはそれは!どういったご用件で?」
「はい、それがですね…」
と言っている中、俺のケータイが鳴った。
「すみません」
と言ってケータイを開いた。
『カレーの販売を開始します』
しめた!と俺は思った。やっぱり話し合いは食べながらやった方が多くの情報を得やすい。
「まぁ取り敢えず、立ち話もなんなんで艦内に上がってください。丁度カレーも出来上がった所ですし」
「そうですか。ではお言葉に甘えて…」
それじゃあ、といって俺はお兄さんを案内した。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる