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水面の上のポニ◯
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砲弾の嵐の最中、ソロモン海戦の時の夕立よろしく、水面の上を駆け回っていた。
いたるところで砲弾や魚雷が駆け巡り、はたまた無人航空機が撃墜されている。戦争映画さながらの光景はガチで怖い。本当に夕立に乗っていた乗組員の士気はとんでもないと思う。今回が夜戦じゃないのが唯一の救いだ。
『敵雷撃機、魚雷投下!方位0ー5ー0!』
「回避運動はじめ!」
「了解!」
カラカラカラと舵輪が回る。
『!左舷に敵駆逐艦発見!主砲旋回しています!』
窓の外をみると、六キロぐらい先に同航で駆逐艦が追って来ていた。
どどん!と瑞雪の主砲が唸り、魚雷が二本投下された。
それに伴い、向こうも撃ってくる。
「後進原速!」
急に後進にしたために、慣性の法則が働き、前の窓にぶつかりそうになる。すると、目の前に容赦なく二本の水柱が立った。危ない危ない。
相手の艦にも水柱が立った。水柱の規模からして魚雷が命中したんだろう。
『魚雷命中!敵駆逐艦のマストに白旗を視認しました!』
よっしゃ!と柳原が喜んでいるが、まだ油断は出来ない。敵空母を叩かなければ、対空戦に持ち込まれ、こっちの勝機は少なくなる。
『水戸より入電!航空機を全機発艦し、敵空母の甲板を破壊してくるとのことです!』
はて、うちの学校に水上爆撃機なんてあったか?
「もともとあったらしいですね。無人水上爆撃機。今まで使ってこなかっただけで。名前は確か『秋水(しゅうすい)』だったと思います」
と、俺の疑問を感づいてか永久保が説明してくれた。
「ほへぇ。そんなもんあったんだな」
と感心していると、空母の甲板に火災が発生していた。火災中は航空機の離発着が出来なくなる。つまり、空母としての機能がなくなり、ただの的になる。
仕事が速い。
「よっしゃ!今のうちに空母の主機を止めるわよー!第一魚雷発射管、二発、空母を狙って!」
『了解!魚雷発射管旋回中!あと十秒。…はい、回した!』
「うちーかたはじめー!」
プシュ!プシュ!と魚雷が発射される。
二本の雷跡が空母に向けて真っ直ぐ直線に進む。
「当たって!」
と柳原の祈りは叶うのか。果たして叶った。
結構近くから撃ったので、ちゃんと信管が作動するか心配だったが、空母に向かった魚雷はキチンとその職務を全うしてくれた。
『魚雷命中!敵速力低下!』
そして程なくして止まり、マストに白旗が上がった。
残り空母は一隻のみ。そう思った時だった。その空母に水柱が立った。間違いなく魚雷のそれなのだが、雷跡が見えない。次の瞬間、その空母の近くに一隻の潜水艦が浮上した。潜水艦『はくりゅう』。どうやらこいつの仕業らしい。本当に、うちのサブマリナーは化け物だ。
この大会だけの特別ルールというのがある。それは旗艦を倒した時点でその学校は負けと言うルールだ。『司令塔がなくなると艦隊の指揮がとれない』というなんとも一方的なルール。
今回の場合、俺達か、はくりゅうの倒した空母がその旗艦だったらしい。つまり、長崎海洋高校は優勝したことになる。
「優勝おめでとう!」
舞台の上でなんかえらそうなおっさんがはくりゅうの艦長に賞状を渡していた。
この大会の賞はいくつかあり、優勝、準優勝はもちろんの事、駆逐艦以外の個別に優秀な働きをした乗組員と艦に与えられる、
『戦艦賞』
『重巡洋艦賞』
『軽巡洋艦賞』
『潜水艦賞』
の四つがあり、それぞれ初めてその賞を貰った艦を象った徽章を左胸につける事が許される。ちなみに、海上護衛隊に入っても、その徽章はつけれるのでみんな必死にその称号を手にしようと頑張っていたりする。
まぁ、駆逐艦は関係ないのだが。
「それでは、戦艦賞から発表します」
と発表が始まる。
「駆逐艦のはなんで無いんだろうな」
ポツリと俺は呟いた。
「多分軍艦じゃ無いからでしょう。旧日本海軍の時代、菊の紋章のない艦船は軍艦として認められなかったし」
と不服そうに永久保が言った。
次々と入賞者が発表され、最後は祝辞になっていたはずだった。
「それでは、最後に。本日から追加された『駆逐艦賞』の発表をします」
俺達全員耳を疑った。無いはずの駆逐艦賞。それが今日、不意に、あるいは突然に解禁されたのだ。
全駆逐艦乗りがおっさんに注目する。名誉ある初の駆逐艦賞。貰うのは果たして…。
「長崎海洋高校、駆逐艦『瑞雪』!」
『いよっしゃー!』
みんな一斉に歓声をあげた。普段からうるさい奴は勿論、松井みたいな大人しい奴まで。全員が全員、歓声をあげた。
「それじゃあ艦長は前へ」
小走り気味で前に出る。前に立つと全海洋高校の生徒がこっちを向いていて、なんだか申し訳ない気持ちになってきた。これがナイーブ(?)という感情なのかはさておいて、俺はおっさんの方を向いた。
「えー初代駆逐艦賞、瑞雪、乗組員の皆様方。まずはおめでとうございます。どうですか?良かったらヒーローインタビューでも」
ニコニコとえげつない無茶ぶりをされた。
「え?!えーと。んー。み、皆さんこんにちはー…」
しーん。
おいおい誰か反応してくれよ。寂しくなるだろ。
「えー、と。初代駆逐艦賞を貰えた事を誠に光栄におもいましゅ…」
噛んだ。
ドッと笑いが起こる。恐らく俺は赤面してるだろう。
「…」
「以上かな?」
「は、はい」
「よろしい。それでは皆さん、盛大な拍手をお願いします!」
パチパチパチパチ!と暖かい拍手が俺達を包んだ。
一週間後、瑞雪宛てに小さなダンボールが届いていた。宛先は大会の運営だった。
「よっしゃ、じゃあ届けに行くかな?」
と言って俺は瑞雪に足を運んだ。
ミーティング室の扉を開けると、乗組員達がいた。奥を見ると島津がハンディカムを回している。
「えー。お察しの通り、徽章が届いたから配ってくぞー」
と言って俺はダンボールの封を開けた。
艦長室に入り、姿見を見た。
制服の左胸に光る瑞雪の形をした徽章。似合ってるかどうかは知らないが、俺の顔は、というか俺含む全員の顔は笑っていた。
*操艦、号令に間違いがある場合がありますが、ご了承下さい。
*文が乱れております。申し訳ありません。
いたるところで砲弾や魚雷が駆け巡り、はたまた無人航空機が撃墜されている。戦争映画さながらの光景はガチで怖い。本当に夕立に乗っていた乗組員の士気はとんでもないと思う。今回が夜戦じゃないのが唯一の救いだ。
『敵雷撃機、魚雷投下!方位0ー5ー0!』
「回避運動はじめ!」
「了解!」
カラカラカラと舵輪が回る。
『!左舷に敵駆逐艦発見!主砲旋回しています!』
窓の外をみると、六キロぐらい先に同航で駆逐艦が追って来ていた。
どどん!と瑞雪の主砲が唸り、魚雷が二本投下された。
それに伴い、向こうも撃ってくる。
「後進原速!」
急に後進にしたために、慣性の法則が働き、前の窓にぶつかりそうになる。すると、目の前に容赦なく二本の水柱が立った。危ない危ない。
相手の艦にも水柱が立った。水柱の規模からして魚雷が命中したんだろう。
『魚雷命中!敵駆逐艦のマストに白旗を視認しました!』
よっしゃ!と柳原が喜んでいるが、まだ油断は出来ない。敵空母を叩かなければ、対空戦に持ち込まれ、こっちの勝機は少なくなる。
『水戸より入電!航空機を全機発艦し、敵空母の甲板を破壊してくるとのことです!』
はて、うちの学校に水上爆撃機なんてあったか?
「もともとあったらしいですね。無人水上爆撃機。今まで使ってこなかっただけで。名前は確か『秋水(しゅうすい)』だったと思います」
と、俺の疑問を感づいてか永久保が説明してくれた。
「ほへぇ。そんなもんあったんだな」
と感心していると、空母の甲板に火災が発生していた。火災中は航空機の離発着が出来なくなる。つまり、空母としての機能がなくなり、ただの的になる。
仕事が速い。
「よっしゃ!今のうちに空母の主機を止めるわよー!第一魚雷発射管、二発、空母を狙って!」
『了解!魚雷発射管旋回中!あと十秒。…はい、回した!』
「うちーかたはじめー!」
プシュ!プシュ!と魚雷が発射される。
二本の雷跡が空母に向けて真っ直ぐ直線に進む。
「当たって!」
と柳原の祈りは叶うのか。果たして叶った。
結構近くから撃ったので、ちゃんと信管が作動するか心配だったが、空母に向かった魚雷はキチンとその職務を全うしてくれた。
『魚雷命中!敵速力低下!』
そして程なくして止まり、マストに白旗が上がった。
残り空母は一隻のみ。そう思った時だった。その空母に水柱が立った。間違いなく魚雷のそれなのだが、雷跡が見えない。次の瞬間、その空母の近くに一隻の潜水艦が浮上した。潜水艦『はくりゅう』。どうやらこいつの仕業らしい。本当に、うちのサブマリナーは化け物だ。
この大会だけの特別ルールというのがある。それは旗艦を倒した時点でその学校は負けと言うルールだ。『司令塔がなくなると艦隊の指揮がとれない』というなんとも一方的なルール。
今回の場合、俺達か、はくりゅうの倒した空母がその旗艦だったらしい。つまり、長崎海洋高校は優勝したことになる。
「優勝おめでとう!」
舞台の上でなんかえらそうなおっさんがはくりゅうの艦長に賞状を渡していた。
この大会の賞はいくつかあり、優勝、準優勝はもちろんの事、駆逐艦以外の個別に優秀な働きをした乗組員と艦に与えられる、
『戦艦賞』
『重巡洋艦賞』
『軽巡洋艦賞』
『潜水艦賞』
の四つがあり、それぞれ初めてその賞を貰った艦を象った徽章を左胸につける事が許される。ちなみに、海上護衛隊に入っても、その徽章はつけれるのでみんな必死にその称号を手にしようと頑張っていたりする。
まぁ、駆逐艦は関係ないのだが。
「それでは、戦艦賞から発表します」
と発表が始まる。
「駆逐艦のはなんで無いんだろうな」
ポツリと俺は呟いた。
「多分軍艦じゃ無いからでしょう。旧日本海軍の時代、菊の紋章のない艦船は軍艦として認められなかったし」
と不服そうに永久保が言った。
次々と入賞者が発表され、最後は祝辞になっていたはずだった。
「それでは、最後に。本日から追加された『駆逐艦賞』の発表をします」
俺達全員耳を疑った。無いはずの駆逐艦賞。それが今日、不意に、あるいは突然に解禁されたのだ。
全駆逐艦乗りがおっさんに注目する。名誉ある初の駆逐艦賞。貰うのは果たして…。
「長崎海洋高校、駆逐艦『瑞雪』!」
『いよっしゃー!』
みんな一斉に歓声をあげた。普段からうるさい奴は勿論、松井みたいな大人しい奴まで。全員が全員、歓声をあげた。
「それじゃあ艦長は前へ」
小走り気味で前に出る。前に立つと全海洋高校の生徒がこっちを向いていて、なんだか申し訳ない気持ちになってきた。これがナイーブ(?)という感情なのかはさておいて、俺はおっさんの方を向いた。
「えー初代駆逐艦賞、瑞雪、乗組員の皆様方。まずはおめでとうございます。どうですか?良かったらヒーローインタビューでも」
ニコニコとえげつない無茶ぶりをされた。
「え?!えーと。んー。み、皆さんこんにちはー…」
しーん。
おいおい誰か反応してくれよ。寂しくなるだろ。
「えー、と。初代駆逐艦賞を貰えた事を誠に光栄におもいましゅ…」
噛んだ。
ドッと笑いが起こる。恐らく俺は赤面してるだろう。
「…」
「以上かな?」
「は、はい」
「よろしい。それでは皆さん、盛大な拍手をお願いします!」
パチパチパチパチ!と暖かい拍手が俺達を包んだ。
一週間後、瑞雪宛てに小さなダンボールが届いていた。宛先は大会の運営だった。
「よっしゃ、じゃあ届けに行くかな?」
と言って俺は瑞雪に足を運んだ。
ミーティング室の扉を開けると、乗組員達がいた。奥を見ると島津がハンディカムを回している。
「えー。お察しの通り、徽章が届いたから配ってくぞー」
と言って俺はダンボールの封を開けた。
艦長室に入り、姿見を見た。
制服の左胸に光る瑞雪の形をした徽章。似合ってるかどうかは知らないが、俺の顔は、というか俺含む全員の顔は笑っていた。
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