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同期の桜
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母港に帰投する時、海上自衛隊や旧日本海軍はぜんざいを食べる。
「うおぉぉ!」
「今日は入港ぜんざいですよー!」
大橋の声に全員が歓喜した。実は海上護衛隊の甘党率は異常と言ってもいいぐらい高く、この艦も例外ではない。勿論俺もその一人だ。
「おー!」
蓋を開けたとたん、漆黒のあんこに純白のお餅が姿を現した。古事記の天地創造を思わせるそれに、またも歓声。
「早く食おうぜ!」
「はいはい、お餅は一人三個だよー!」
と佐々木がお玉を構えた。
『いっただきまーす!』
この艦最後の食事は半端ないほど大きな声で始まった。
「は~うめぇ~。しふく~」
とどこかで聞いたことのある感想が思わず口から出てくるほど温かく、甘かった。
「本当ですねぇ~。ずっと食べてたいたいです!」
と今にでもとろけそうな顔で柳原が言った。
「だな~」
みょーんと餅を伸ばした。
「まぁ、ずっと食べてると太りますけどね」
「とか言ってる永久保もばくばく食ってんじゃねぇか」
「ぐぅ。」
と永久保は真っ赤になりながら唸った。
「いいじゃないですか!私だって女の子なんです!甘い物が好きなんです!」
「ふーん。女の子ねぇ、どちらかと言うとただのおかn…!」
結構狭いのに的確に的確に鳩尾に一発入れてきた。
「ず、ずみまぜむ…」
と言うと、どっと笑いが起きた。
朝日が昇る少し前、艦内に入港喇叭が響き渡った。
「入港用意!」
いよいよ、これで最後になった。沢山の思い出のあるこの艦とも今日でお別れだ。
晴れて海上護衛隊になれるのはうれしいが、やはり寂しさの方が大きい。
「終わりですね」
「まぁ、入隊すればいずれ会うさ」
「その通りだよ!」
「だな」
「そうですね」
艦橋メンバーはいつもの調子だった。
「…航海長操艦」
「え、ちょ、どこに行くんですか?」
「なーに、ちょっとした御礼にな」
といって艦橋を離れた。
「あら、艦長どうしたんですか?」
「いや、ちょっとな」
と言って、見張所に入れともらった。
「いよいよですね」
「だな」
しばしの沈黙の後、松井は吹き出すように笑った。
「艦長、今までありがとうございました!」
「こっちこそ、ありがとうな。さて、もうそろそろ行くかな」
「御礼ですか?」
「あぁ、行ってくるよ」
といって、見張所をあとにした。
一通りの御礼をしたあと、長崎海洋高校に入港した。
卒業式は艦の上でやるのがこの学校の伝統だったりする。
「えー。長い航海お疲れさまでした。さて、皆さんには友との別れが待っている訳ですが、それは永遠という訳ではありません。海は繋がってます。川に繋がり山に繋がり木に繋がり人に繋がる。それを忘れないでください。以上!」
パチパチと校長の演説が終わり、最後のイベントとなった。
各部署へ乗組員達を届けるバス。しかし、それが来るまで時間があり、全員が艦の中で時間を潰していた。
しかし、時間もすぎてゆくもので、もうそろそろ時間になる。そんなときだった。
「同期の桜歌わない?」
最後の別れをおしみ、全員が応接室に集まった時、大東が言った。
「いいじゃん、やろうぜ!」
やろうやろうと皆の意見が一致していく。
「よーし!じゃあいくぞ!さんはい!」
『 貴様と俺とは 同期の桜
同じ兵学校の 庭に咲く
咲いた花なら 散るのは覚悟
みごと散りましょ 国のため
貴様と俺とは 同期の桜
同じ兵学校の 庭に咲く
血肉分けたる 仲ではないが
なぜか気が合うて 別れられぬ
貴様と俺とは 同期の桜
同じ航空隊の 庭に咲く
仰いだ夕焼け 南の空に
未だ還らぬ 一番機
貴様と俺とは 同期の桜
同じ航空隊の 庭に咲く
あれほど誓った その日も待たず
なぜに死んだか 散ったのか
貴様と俺とは 同期の桜
離れ離れに 散ろうとも
花の都の 靖国神社
春の梢に 咲いて会おう 』
あれから何年たっただろうか。相変わらず世界は温暖化でやたらと暑く、桜など咲かない春がきた。
「あじぃ…」
「文句言わないで早く出航してください」
と副艦長の篠山に言われた。
今日は年に一回の行事、『全艦集合』の日だ。保護隊だろうがなんだろうが、持てる船を民間人を乗せて全部出航し、体験航海してもらう日だ。
『艦長、ちとせから無線です』
「了解」
俺はおもむろに無線機を取った。
「よう、永久保。元気だったか?」
『ええ、て、ちょ!』
『やっほー!なっつん元気だった?!』
雑音の多い無線にさらにノイズが鳴った。
「柳原か、久し振りだな」
『うん!それでね、これ終わったら皆誘って焼き肉でもと思ってるけど、どうかな?』
「いいんじゃね?」
『まぁ、やるんだったらちゃっちゃと終わらせましょう』
「了解!」
と言って無線機を置いた。艦橋にも一般人を招いているので、少し恥ずかしかった。
「駆逐艦、『わかば』出航準備!前部員、錨鎖詰め方!錨をあげー!」
「正錨!」
と篠山が言った。
「駆逐艦、『わかば』出航用事!」
出航喇叭が鳴り響く。
「両舷前進微速!赤黒なし!針路3ー7ー1よーそろー!!!!」
船はゆっくりと進んでいった。
ーーーーーーーーーおわりーーーーーーーーー
「うおぉぉ!」
「今日は入港ぜんざいですよー!」
大橋の声に全員が歓喜した。実は海上護衛隊の甘党率は異常と言ってもいいぐらい高く、この艦も例外ではない。勿論俺もその一人だ。
「おー!」
蓋を開けたとたん、漆黒のあんこに純白のお餅が姿を現した。古事記の天地創造を思わせるそれに、またも歓声。
「早く食おうぜ!」
「はいはい、お餅は一人三個だよー!」
と佐々木がお玉を構えた。
『いっただきまーす!』
この艦最後の食事は半端ないほど大きな声で始まった。
「は~うめぇ~。しふく~」
とどこかで聞いたことのある感想が思わず口から出てくるほど温かく、甘かった。
「本当ですねぇ~。ずっと食べてたいたいです!」
と今にでもとろけそうな顔で柳原が言った。
「だな~」
みょーんと餅を伸ばした。
「まぁ、ずっと食べてると太りますけどね」
「とか言ってる永久保もばくばく食ってんじゃねぇか」
「ぐぅ。」
と永久保は真っ赤になりながら唸った。
「いいじゃないですか!私だって女の子なんです!甘い物が好きなんです!」
「ふーん。女の子ねぇ、どちらかと言うとただのおかn…!」
結構狭いのに的確に的確に鳩尾に一発入れてきた。
「ず、ずみまぜむ…」
と言うと、どっと笑いが起きた。
朝日が昇る少し前、艦内に入港喇叭が響き渡った。
「入港用意!」
いよいよ、これで最後になった。沢山の思い出のあるこの艦とも今日でお別れだ。
晴れて海上護衛隊になれるのはうれしいが、やはり寂しさの方が大きい。
「終わりですね」
「まぁ、入隊すればいずれ会うさ」
「その通りだよ!」
「だな」
「そうですね」
艦橋メンバーはいつもの調子だった。
「…航海長操艦」
「え、ちょ、どこに行くんですか?」
「なーに、ちょっとした御礼にな」
といって艦橋を離れた。
「あら、艦長どうしたんですか?」
「いや、ちょっとな」
と言って、見張所に入れともらった。
「いよいよですね」
「だな」
しばしの沈黙の後、松井は吹き出すように笑った。
「艦長、今までありがとうございました!」
「こっちこそ、ありがとうな。さて、もうそろそろ行くかな」
「御礼ですか?」
「あぁ、行ってくるよ」
といって、見張所をあとにした。
一通りの御礼をしたあと、長崎海洋高校に入港した。
卒業式は艦の上でやるのがこの学校の伝統だったりする。
「えー。長い航海お疲れさまでした。さて、皆さんには友との別れが待っている訳ですが、それは永遠という訳ではありません。海は繋がってます。川に繋がり山に繋がり木に繋がり人に繋がる。それを忘れないでください。以上!」
パチパチと校長の演説が終わり、最後のイベントとなった。
各部署へ乗組員達を届けるバス。しかし、それが来るまで時間があり、全員が艦の中で時間を潰していた。
しかし、時間もすぎてゆくもので、もうそろそろ時間になる。そんなときだった。
「同期の桜歌わない?」
最後の別れをおしみ、全員が応接室に集まった時、大東が言った。
「いいじゃん、やろうぜ!」
やろうやろうと皆の意見が一致していく。
「よーし!じゃあいくぞ!さんはい!」
『 貴様と俺とは 同期の桜
同じ兵学校の 庭に咲く
咲いた花なら 散るのは覚悟
みごと散りましょ 国のため
貴様と俺とは 同期の桜
同じ兵学校の 庭に咲く
血肉分けたる 仲ではないが
なぜか気が合うて 別れられぬ
貴様と俺とは 同期の桜
同じ航空隊の 庭に咲く
仰いだ夕焼け 南の空に
未だ還らぬ 一番機
貴様と俺とは 同期の桜
同じ航空隊の 庭に咲く
あれほど誓った その日も待たず
なぜに死んだか 散ったのか
貴様と俺とは 同期の桜
離れ離れに 散ろうとも
花の都の 靖国神社
春の梢に 咲いて会おう 』
あれから何年たっただろうか。相変わらず世界は温暖化でやたらと暑く、桜など咲かない春がきた。
「あじぃ…」
「文句言わないで早く出航してください」
と副艦長の篠山に言われた。
今日は年に一回の行事、『全艦集合』の日だ。保護隊だろうがなんだろうが、持てる船を民間人を乗せて全部出航し、体験航海してもらう日だ。
『艦長、ちとせから無線です』
「了解」
俺はおもむろに無線機を取った。
「よう、永久保。元気だったか?」
『ええ、て、ちょ!』
『やっほー!なっつん元気だった?!』
雑音の多い無線にさらにノイズが鳴った。
「柳原か、久し振りだな」
『うん!それでね、これ終わったら皆誘って焼き肉でもと思ってるけど、どうかな?』
「いいんじゃね?」
『まぁ、やるんだったらちゃっちゃと終わらせましょう』
「了解!」
と言って無線機を置いた。艦橋にも一般人を招いているので、少し恥ずかしかった。
「駆逐艦、『わかば』出航準備!前部員、錨鎖詰め方!錨をあげー!」
「正錨!」
と篠山が言った。
「駆逐艦、『わかば』出航用事!」
出航喇叭が鳴り響く。
「両舷前進微速!赤黒なし!針路3ー7ー1よーそろー!!!!」
船はゆっくりと進んでいった。
ーーーーーーーーーおわりーーーーーーーーー
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