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最初に誘ったのは俺の方だった。
相思相愛になれたことは勿論嬉しかったけど、もっと深い関係になりたいという気持ちが先走っていたから。

彼に「抱いてほしい」と言った。

その一言が彼を変えてしまったのかもしれない。理貴は滅多に怒らないし、俺の我儘を何でも聞いてくれるけど、そもそも何かに執着しない性格だ。大して思い入れがないから、手を噛まれても物を壊されても心を乱したりしない。
今も俺の上に覆い被さって腰を突いてくるけど、彼にとっては求愛行動なんかじゃないのかもしれない。まるで義務を果たすかのような機械的な動きだ。
抱かれている傍ら、こんなことを考えてる自分にも嫌気がさす。
「ひ……っ……あ、あ……っ!」
だってどんなに酷くされても、彼に抱かれるのは気持ちいい。例え大事にされてなくても、今彼が見てるのは俺だけだ。俺が彼の時間を奪って、独占してる。その優越感に酔ってしまう。
少し強く擦られただけで、シーツに白い液体を零してしまった。

「イッたか。真陽はほんと早いな」
「だって……理貴が動くの速いから」
苦し紛れに言い返すと、今度は仰向けに倒された。一度は彼の性器が抜けてしまったけど、またゆっくり中に挿入される。
「待って、今日はもう無理……っ……久しぶりだし、何かヘンなんだ……!」
さっきからずっと引き攣るような痛みを後ろに感じてる。それに腹の中が掻き回されてるみたいで、下が緩い。このまま続けられたらおかしくなってしまう。

「怖い、から……お願い」

途切れ途切れに呟くと、彼はため息まじりに呟いた。
「困ったな。真陽ってさ……可愛いからほんと虐めたくなる」
そう言って腰を引いたのは一瞬。そのあとは気が吹っ飛びそうな律動が始まった。
「あっあぁ、あぁっ!!」
もう声を抑えることも忘れ、繋がった部分の熱に身を攀じる。火傷してしまいそうな摩擦が恐ろしくて、でも気持ちよくて、もういっそ死んだ方が楽なんじゃないかと思った。
身体より先に頭が、頭より先に心が壊れる。
やばい。
このままだと、近い未来彼に抱き殺されるかもしれない。

俺の名前を呼ぶ声は遠くで聞こえていたけど、意識は小刻みに揺れる景色と共に薄れていった。





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