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しおりを挟むやばい。やばい。止まらない。
鬱積していた全てが口から溢れ出す。黙っている父に一切の容赦なく罵声を浴びせた。
憑き物がとれたようにすっきりした。
さて、疲れたし早く寝よ。そう思って踵を返した瞬間、
「痛っ!?」
後ろから強く腕を掴まれ、抵抗する間もなくソファに押し倒された。
「何すんだっ……離せよ!」
「親に利く口じゃないな。いまさら反抗期か?」
父が上に覆いかぶさる。さすがに緊迫感と焦燥感を抱いた。こんなに無表情の彼を見たのは数年ぶりだからだ。何をされるか分からない……その恐怖に身震いした。
「知らねえよ! どけって!」
何とか逃げ出そうとするけど、強い力で押さえつけられ動けない。
「少し黙ってろ」
ガチャン、と聞き慣れない金属音が耳元で鳴る。
「やっ……何……!?」
驚いて見ると、両腕に手錠をかけられていた。
こんなものどこで買ったんだ。恐怖より驚きが勝って凝視してしまう。
「次はその口だな」
「やっ……やだ、父さん……んっ!」
無理やり口を開かされ、薄いスカーフの様な布をくわえさせられた。それを後ろできつく結ばれる。
「口で言って理解できないなら体に教えてやるしかないな」
何だ……。
いつもの父さんじゃない。
まるであの時みたいだ。父さんの言い付けを破って帰った、あの日みたいに。
─────犯される。
「んーっ!!」
視界の照明が落とされる。恐ろしさに気が遠くなりそうだった。暴れようとしたけど更に手錠を繋がれ身動きが取れなくなる。やめてほしいと訴えることもできなかった。
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ。
死んでも、またあんな目に合いたくない。
必死に首を振って身を攀じる。涙が出そうになるけど、父さんはいつもの優しい顔ではさみを持ってきた。
「とりあえず、邪魔なものは脱ごうか」
ズボンと下着は簡単に下ろされたけど、上着だけは手錠の位置関係のせいで脱ぐことができない。だから父は、ワイシャツと肌着をハサミで切り刻んだ。
「ん、んん……っ!」
着ている服を切られるなんて、そうそう経験することじゃない。衣服を纏わない剥き出しの状態になっても、今起きていることが信じられなかった。
なにかの夢であってほしいけど、現実だ。目を覚ますことなんてない。
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