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嘘
#9
しおりを挟む快楽にも似た色が狂気に傾きかけた時。
品場は自分のスマホを影山の鼻先に翳し、至近距離でフラッシュを焚いた。
「っ!」
一回ではなく、彼が嫌がるまで何度も連写した。影山は眩しそうに目を細めた後、憤然としながら品場を睨み上げた。
「この……っ!」
「落ち着いたか?」
品場の淡々とした問いを受けても、影山は唇を噛んだまま黙っていた。
風が黒い雲が運んで、空を覆い始めた。いよいよ夜がくる。
彼を……世界中の人々をおかしくする時間が、動き出す。
「はっ……あ、あぁあ……っ!」
展望台から一番近いビジネスホテルに向かった。チェックインして部屋に入った直後、品場は影山を半ば強引に抱いた。
「んっ……あぁ、熱……っ」
ローションでたっぷり解した穴に熱を押し込んでいく。内側で蠢く肉。影山は涙を流しながら品場に抱き着いた。
服を全て脱ぎ、ひとつになった。品場の動きに応えるように、影山の性器も激しく主張している。自身の汗と体液にまみれ、影山はイッた。一度呼吸を整えてから、また腰を高く上げさせて何度も奥を突く。
「あっひ、やあぁ……っ!」
影山には休息を与えず、中を自分の色に変えた。抵抗する素振りも見せず、彼は必死に手を伸ばしてくる。
「品場さ、ん……あっ、あっ品場さ……っ」
今度は押し倒されて騎乗位になる。彼は脚を限界まで開き、自ら腰を振った。既に射精しているのに、性器は萎える気配がない。
思考を放棄した獣のような青年を見上げる。半年前に会った時と変わらない……下手したら六年前と同じ、幼い瞳。
品場は分かっていた。
これが影山一伊という人間だ。
初めて会った時の明るく正義感に溢れた青年も、悪意を振りかざして快感に酔う目の前の青年も、まったく同じ人物。
変わったわけじゃない。昔からこういう人間だった。ただ昔と比べて、暗い一面が色濃く出てきてしまう……時間が伸びた、だけ。
それは病的なまでに、彼の理性を、脳を、容赦なく蝕んでいく。
この精神病はステージがある。そう国が発表したのは四年前のこと。
心が病み、意欲や生命力が低下することが問題だと思われていた……だが実際は知能や記憶力が低下し、凶暴で快楽的な性格に豹変する。
人格障害。即ち、人格の破壊。それがこの病の最終ステージだ。
それが判明しても、未だに効果的な治療法や薬は見つかっていない。ごく稀に重症化してしまった者は、壊れていくのを待つしかなかった。
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