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#5
しおりを挟む天井のライトを見上げている。視界が反転したことに困惑してると、友悠も隣に寝転んだ。
「疲れてる時に仕事するのは効率が悪い。起こすから、明日の朝にやんな」
「うえっ無理。不安で眠れない」
「寝ろ」
横暴だ。頬を膨らますと、友悠は可笑しそうに指でつついてきた。
「大丈夫だよ、弦美」
布団を胸まで掛け、完全に寝る体勢に入る。
「……大丈夫」
彼は優しい声で繰り返し、頭を撫でてきた。
子守唄か、安息の手引きのようだ。
視界が徐々に閉じていく。怖いぐらいホッとする場所で、彼の熱を感じている。
おやすみ、と耳元で聞こえたとき、しぶとく掴んでいた現実から手を離した。
『困ったわね。何で弦美くんまで泣いてるのかしら』
幼い頃の記憶は、黒で塗り潰したいものばかり。
地域の子ども会。ビンゴをやって一等の景品を当てたら、俺に焼きもちを焼いて泣き出した男の子がいた。彼の悋気により俺もしっかり号泣し、保護者達は戸惑った。
正直、俺は景品なんてどうでもいい。最新のゲーム機だったけど、それより泣き虫のレッテルを貼られる方が恐ろしくて、大泣きしてる子に譲った。
男の子はゲームが手に入り、すっかり上機嫌になった。一方で俺は中々涙が止まらない。いつまでも部屋の角で泣いてるせいで、また大人達が心配して集まってきた。
『弦美くん、やっぱりゲーム欲しかったんじゃないの。あの子のお母さんにお願いして返してもらおうか?』
いやいや、絶対駄目だ。
そんなことしたらまたあの子が焼きもちを焼いて、俺は永遠に泣くことになる。
でもどう説明したらいいか分からない。
どうしよう。どうしたら……。
痛いぐらい強く瞼を擦ったとき、阻むように腕を掴まれた。
なにかと思って振り向くと、知らない男の子がいた。
『ゲームじゃない。俺がさっき殴ったから泣き止まないんだと思う』
は。
訳が分からず、再びフリーズする。大人達も、顔を青くしながら彼に問い詰めた。
『な、殴った!? 友悠くん、何で弦美くんにそんなことしたの?』
『だって、ずっとメソメソしてて邪魔だから』
『な……!!』
辛辣な回答に、大人達は顔を見合わせた。言葉を失い固まってる彼らを置いて、彼は俺の手を引いた。
『よし。行こ』
『え。あ、ちょっと!』
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