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272 これが日常となりつつある
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「どうだ、ガルド」
「……しばらく動かさないでおく」
「せやなー。むしろログインしとった方が痛くない説あるやろ」
「うん」
フルダイブ機が並ぶ一室の隅に置かれたソファで、みずきは榎本と叶野に腕を見せていた。包帯が巻かれた患部を、まるで飴細工か何かを触るような慎重さで手に取られる。
二の腕を滑る榎本の手が掠め、みずきは「う」と小さく声を上げた。
「痛むのか? 鎮痛薬とかは……」
「麻酔残っとると脳波コンも上手く働かんし、あんまり飲み薬もなぁ……」
「確かに禁忌ってなってたよな。いや、そもそも無理にログインを急かすなよ」
「いやぁ、そこをなんとか! 姉御のためにも頼むで、榎本」
部屋の一番隅に置かれたL字のファブリックソファに座っているみずきからは、部屋全体が見渡せる。ロボットアームと「人間」がせわしなく動き回っており、続々と運ばれてくる筒状のポッドから見慣れた男たちを大きなフルダイブ機へと乗せ換えていた。スタッフらしき人間の人数は多くない。全員性別・年齢・国籍がバラバラで、日本人らしき顔は見えなかった。だが全員が、よく鍛えられた筋肉質な身体をしている。
一番手前には夜叉彦が見える。奥はメロだ。マグナとジャスティンは既にフルダイブのヘッドセットが付けられ、顔が見えない。
「こいつら全員そう思ってんのか?」
「ああ、アイツらは全員姉御のシンパや」
「しんぱ?」
「信奉者ってやつだな。お前も両足の膝上まで突っ込んでるだろ、ソレ」
「うーん、毒されとるんかなぁ」
「田岡を思い出せ。アイツを助けるんだろ?」
榎本が座る叶野の肩に手を乗せ、それとなく離脱をそそのかし始めた。だが周囲のスタッフからの視線が気になるのか、叶野はヘラヘラと笑うだけだ。
「せやなあ。あっはっは」
榎本も大して期待していなかったらしい。それ以上話を引き延ばさず、ソファにもたれかかってため息をついた。
「っはー、助けは期待できそうにないな。姉御? とかいうやつの良心に期待するしかないだろ」
その言葉の裏に気付き、みずきは榎本と視線を交わす。榎本も意味ありげな視線を投げてきた。
助けは期待できそうにない、とは嘘だ。
拉致直後から知っている。阿国やディンクロンが動いていることもそうだ。三橋が入って来たが、お陰で情報が田岡の口から外部に流れていること。そしてどうやら、田岡が情報を横流ししていることが「少なくとも叶野のような現場の人間には知られていないこと」。
叶野は何も知らない。中の様子を知ることが出来る人間は、「船」の計画に関わる中でも限られているということだ。
直接話し合える状況ではないが、恐らく榎本も同じことを考えているだろうとみずきは察していた。田岡に「ハワイ島とミッドウェー島の地下施設だ」と言ってもらえば、みずきたちの勝ちだ。
「姉御はこの一件の流れをなんとか穏便に済まそうと思って……」
「で、攻め込まれたと」
「うっ」
榎本の一言にみずきも隣でうんうんと頷く。
叶野が姉御と呼び慕うタツタは、確かに穏便に済ませようとしているとは思う。だが解放して助けようとしているとは思えない。何か達成したい目標があるらしいが、そのために手段を選ばなかったイーライ側と過程が違うだけだ。
「今は姉御もカナダで応戦中! もう敵対も敵対、戦争や! 向こうが突然攻め込んできたんやで!?」
「内輪揉めだろ?」
「そりゃまぁ……そうなんやけど」
「その姉御も今はカナダでの戦いにかかりっきりってことか」
「人数が人数やからな。えーっと、エイチ? を取り合ってるとか。うーん、何人やったかな」
「えいち?」
みずきはハッと息を呑んだ。Hライン・ハイバネーションラインのことだ。冷凍睡眠を疑似的に再現しようとしているらしい計画で、ソロのプレイヤー達があてがわれていた。
が、実は漁夫の利で便乗してきた別動隊に拉致されたらしく、Aは関知していなかったとむしろ怒っていた。場所が確か、ええと、と必死に思い出すが出てこない。
「……『そっち』は無事?」
「姉御からの連絡はちょっと途切れとってなぁ、ま、最後の連絡ではカナダのエイチさんが計画『破綻』したとかで『破棄』されるんを『回収』言うてたし」
カナダだ。小骨が取れたような気分に顔をほころばせる。
「そのカナダの方は任せといていいのかよ。そいつだけなんだろ? こっちみたいに孤立無援とか最悪じゃないのか?」
「現地の警察を使うとか言うてたなぁ。ま、荒事にはならへんて。せいぜい押し問答とバリケードが関の山やろ」
叶野はそう言いながら、こめかみを掻きつつソファからゆっくりと立ち上がる。
「ううっ、堪忍な。なんやアイツらにエライ剣幕で怒られてん……『あんまり喋るな』とかなんとか」
通信で言われているのだろう。大声に耳を塞ぐのと同じように、こめかみを押さえたり爪で掻いたりしている。
視線を少々ずらすと、四台のフルダイブ機付きの据え置きポッドに取りついて仕事をしている外国人たちが、仕事をしているフリをしながらこちらを見ていることに気付いた。真面目な表情も、よく見ると睨みを利かせている。彼らは姉御ことタツタの舎弟のようなものでありつつ、全容のまだ見えない『計画』の遂行も望んでいるらしい。
脱出を手伝わせようにも、叶野一人にはどうにも出来ないだろう。他の四人も今まさに人質に取られている。
「……どんまい」
「頑張れ、叶野」
「うわぁん! 俺もそっち行くー!」
「来るなよ」
「監禁に変わりあらへんもん!」
「泣くな、元気出せ」
「ううう~」
叶野を榎本が慰めている。みずきは腕をさすりながら、ぼんやりと宙を見て竜田揚げを想像した。
「Hライン全員、この施設でログイン続行させるわ」
「いいのかね?」
「計画のアウトラインを大幅に変更して巻き取ってしまおうと思って。もう時間がないもの」
「急ぎすぎではないのかね?」
「イーライの大暴れでスポンサーが離れそうなのよ。今メッセージ来たんだけど、色が良くないわぁ。このままじゃ物資もお金も足りないし……もう出しちゃった方が楽ネッ!」
「了解した。こちらの施設では指示通りブースターを作成中でね、被害も少ないので部品も流用できそうでね。一か月は短くできるはずだがね」
「ナルハヤでお願いねェん!」
「それで、いつ帰ってくるのかね?」
「え? 帰れないわ。ココでこの子達を守らなきゃ」
「……本気で言っているのかね?」
「本気よ。巻き取ったHラインは『総意』の方で望まれるままに、表向き、世界のシンギュラリティとして送り出すわ」
「フム、それは……なるほど、ログイン継続とはそのためかね」
「そう。元のアタシの計画では、ブースターは一つだったもの。世間に気を配る余裕なんてなかった……けどね、彼らがいるなら、表向きの英雄は彼らでいいじゃないの。上手くいけば、誰にも邪魔されずに航海が出来るわ……帰って来た時初めて真の英雄になれる」
「理想論ではないかね?」
「ええ、そうね」
「……ボクの目指す道とは少々違うが、ゴールは同じようでね。今のところ、足並みを揃えておこうかね」
「そうしてちょうだいな。アナタも乗組員なら、キャプテンに従っていればいいのよ」
「その通りでね。キミではない。ボクが従うのはあの子でね」
「体調は平気かしら?」
「ああ、それが負傷してしまったようでね。全く、無茶をする……いいや、ちゃんと守り切れなかったボクの責任でね」
「気負わないでいいのよぉ。ソッチの物理装備が弱すぎたせいよね、ごめんなさいね。本命の『船』にはメッチャ凄い防衛システム買ったんだけど……まさか乗組員の方を狙うだなんて」
「いや、普通に狙うと思うがね」
「えっ」
「途中までデータを共有していただろうがね? いいかね? 長時間ダイブするのに必要なのは『才能』、それだけでね。訓練でどうにか出来るものではないのでね。精神と肉体を光の渦に放り込んで初めて適正が分かるのでね。見つけ出すのは手間でね、正直」
「アメリカで立候補者募れば一杯来るわよ」
「そんなもの無駄でね。求めるクオリティの適合率が混ざっている可能性など、非常に低いのでね……それはイースタンブロックの件で分かったのではないのかね?」
「そりゃそうよオ、狙いが悪すぎるもの」
「脳波コン不所持の民間人を使ったところで……ファーイーストの『お試し』とはヒット率が違うだろうがね。彼らにはそれが分からないようでね」
「なによォ、アメリカにだって名プレイヤーごまんといるじゃないの」
「ゲームが上手いからといって、数多の機械の知能を扱いこなし、共同で暮らし、生き続けられるかといえばまた別の話なのでね。その点キミの推薦は良かったのでね」
「でしょう? でもだからってそんな貴重な人材を殺そうとすることはないじゃないのよォ~」
「貴重で手に入らないものを持っているのがズルいと疎む、条件を有利にさせるため他者を貶める。そういう生き物なのだとキミが語っていたのだがね」
「それは……そんなことで!? 人の命をなんだと……」
「はて、イーライの心理は分かりかねるがね。ボクはただ聞き及んだ知識を当てはめているだけなのでね。キミが憤っていることも、理屈はよく分からないのだがね」
「もうっ、まだまだねぇ! 怒るところよ、ここは!」
「みずきの命の勝ちは理解したがね」
「何より大事な存在が出来たのね。それだけで立派立派!」
「傷の画像を見るかね? ボクは初めて『歯の根が合わない』という言葉を理解したのでね」
「……そう。怖かったのね」
「うん。報告を聞いて、マルチタスクで行っていた業務全て閉じてしまったのでね。『何も考えられない』とはこのことかね?」
「そうね」
「フム、これは二度と嫌だと思うのだが、きっとまたあるだろうがね」
「そうね。人間には寿命があるもの」
「……」
「変なこと考えてないでしょうねぇ?」
「キミに言われたくないのだがね」
「アタシの愛は世界を超えるのヨ」
「好きにしたまえね」
「……しばらく動かさないでおく」
「せやなー。むしろログインしとった方が痛くない説あるやろ」
「うん」
フルダイブ機が並ぶ一室の隅に置かれたソファで、みずきは榎本と叶野に腕を見せていた。包帯が巻かれた患部を、まるで飴細工か何かを触るような慎重さで手に取られる。
二の腕を滑る榎本の手が掠め、みずきは「う」と小さく声を上げた。
「痛むのか? 鎮痛薬とかは……」
「麻酔残っとると脳波コンも上手く働かんし、あんまり飲み薬もなぁ……」
「確かに禁忌ってなってたよな。いや、そもそも無理にログインを急かすなよ」
「いやぁ、そこをなんとか! 姉御のためにも頼むで、榎本」
部屋の一番隅に置かれたL字のファブリックソファに座っているみずきからは、部屋全体が見渡せる。ロボットアームと「人間」がせわしなく動き回っており、続々と運ばれてくる筒状のポッドから見慣れた男たちを大きなフルダイブ機へと乗せ換えていた。スタッフらしき人間の人数は多くない。全員性別・年齢・国籍がバラバラで、日本人らしき顔は見えなかった。だが全員が、よく鍛えられた筋肉質な身体をしている。
一番手前には夜叉彦が見える。奥はメロだ。マグナとジャスティンは既にフルダイブのヘッドセットが付けられ、顔が見えない。
「こいつら全員そう思ってんのか?」
「ああ、アイツらは全員姉御のシンパや」
「しんぱ?」
「信奉者ってやつだな。お前も両足の膝上まで突っ込んでるだろ、ソレ」
「うーん、毒されとるんかなぁ」
「田岡を思い出せ。アイツを助けるんだろ?」
榎本が座る叶野の肩に手を乗せ、それとなく離脱をそそのかし始めた。だが周囲のスタッフからの視線が気になるのか、叶野はヘラヘラと笑うだけだ。
「せやなあ。あっはっは」
榎本も大して期待していなかったらしい。それ以上話を引き延ばさず、ソファにもたれかかってため息をついた。
「っはー、助けは期待できそうにないな。姉御? とかいうやつの良心に期待するしかないだろ」
その言葉の裏に気付き、みずきは榎本と視線を交わす。榎本も意味ありげな視線を投げてきた。
助けは期待できそうにない、とは嘘だ。
拉致直後から知っている。阿国やディンクロンが動いていることもそうだ。三橋が入って来たが、お陰で情報が田岡の口から外部に流れていること。そしてどうやら、田岡が情報を横流ししていることが「少なくとも叶野のような現場の人間には知られていないこと」。
叶野は何も知らない。中の様子を知ることが出来る人間は、「船」の計画に関わる中でも限られているということだ。
直接話し合える状況ではないが、恐らく榎本も同じことを考えているだろうとみずきは察していた。田岡に「ハワイ島とミッドウェー島の地下施設だ」と言ってもらえば、みずきたちの勝ちだ。
「姉御はこの一件の流れをなんとか穏便に済まそうと思って……」
「で、攻め込まれたと」
「うっ」
榎本の一言にみずきも隣でうんうんと頷く。
叶野が姉御と呼び慕うタツタは、確かに穏便に済ませようとしているとは思う。だが解放して助けようとしているとは思えない。何か達成したい目標があるらしいが、そのために手段を選ばなかったイーライ側と過程が違うだけだ。
「今は姉御もカナダで応戦中! もう敵対も敵対、戦争や! 向こうが突然攻め込んできたんやで!?」
「内輪揉めだろ?」
「そりゃまぁ……そうなんやけど」
「その姉御も今はカナダでの戦いにかかりっきりってことか」
「人数が人数やからな。えーっと、エイチ? を取り合ってるとか。うーん、何人やったかな」
「えいち?」
みずきはハッと息を呑んだ。Hライン・ハイバネーションラインのことだ。冷凍睡眠を疑似的に再現しようとしているらしい計画で、ソロのプレイヤー達があてがわれていた。
が、実は漁夫の利で便乗してきた別動隊に拉致されたらしく、Aは関知していなかったとむしろ怒っていた。場所が確か、ええと、と必死に思い出すが出てこない。
「……『そっち』は無事?」
「姉御からの連絡はちょっと途切れとってなぁ、ま、最後の連絡ではカナダのエイチさんが計画『破綻』したとかで『破棄』されるんを『回収』言うてたし」
カナダだ。小骨が取れたような気分に顔をほころばせる。
「そのカナダの方は任せといていいのかよ。そいつだけなんだろ? こっちみたいに孤立無援とか最悪じゃないのか?」
「現地の警察を使うとか言うてたなぁ。ま、荒事にはならへんて。せいぜい押し問答とバリケードが関の山やろ」
叶野はそう言いながら、こめかみを掻きつつソファからゆっくりと立ち上がる。
「ううっ、堪忍な。なんやアイツらにエライ剣幕で怒られてん……『あんまり喋るな』とかなんとか」
通信で言われているのだろう。大声に耳を塞ぐのと同じように、こめかみを押さえたり爪で掻いたりしている。
視線を少々ずらすと、四台のフルダイブ機付きの据え置きポッドに取りついて仕事をしている外国人たちが、仕事をしているフリをしながらこちらを見ていることに気付いた。真面目な表情も、よく見ると睨みを利かせている。彼らは姉御ことタツタの舎弟のようなものでありつつ、全容のまだ見えない『計画』の遂行も望んでいるらしい。
脱出を手伝わせようにも、叶野一人にはどうにも出来ないだろう。他の四人も今まさに人質に取られている。
「……どんまい」
「頑張れ、叶野」
「うわぁん! 俺もそっち行くー!」
「来るなよ」
「監禁に変わりあらへんもん!」
「泣くな、元気出せ」
「ううう~」
叶野を榎本が慰めている。みずきは腕をさすりながら、ぼんやりと宙を見て竜田揚げを想像した。
「Hライン全員、この施設でログイン続行させるわ」
「いいのかね?」
「計画のアウトラインを大幅に変更して巻き取ってしまおうと思って。もう時間がないもの」
「急ぎすぎではないのかね?」
「イーライの大暴れでスポンサーが離れそうなのよ。今メッセージ来たんだけど、色が良くないわぁ。このままじゃ物資もお金も足りないし……もう出しちゃった方が楽ネッ!」
「了解した。こちらの施設では指示通りブースターを作成中でね、被害も少ないので部品も流用できそうでね。一か月は短くできるはずだがね」
「ナルハヤでお願いねェん!」
「それで、いつ帰ってくるのかね?」
「え? 帰れないわ。ココでこの子達を守らなきゃ」
「……本気で言っているのかね?」
「本気よ。巻き取ったHラインは『総意』の方で望まれるままに、表向き、世界のシンギュラリティとして送り出すわ」
「フム、それは……なるほど、ログイン継続とはそのためかね」
「そう。元のアタシの計画では、ブースターは一つだったもの。世間に気を配る余裕なんてなかった……けどね、彼らがいるなら、表向きの英雄は彼らでいいじゃないの。上手くいけば、誰にも邪魔されずに航海が出来るわ……帰って来た時初めて真の英雄になれる」
「理想論ではないかね?」
「ええ、そうね」
「……ボクの目指す道とは少々違うが、ゴールは同じようでね。今のところ、足並みを揃えておこうかね」
「そうしてちょうだいな。アナタも乗組員なら、キャプテンに従っていればいいのよ」
「その通りでね。キミではない。ボクが従うのはあの子でね」
「体調は平気かしら?」
「ああ、それが負傷してしまったようでね。全く、無茶をする……いいや、ちゃんと守り切れなかったボクの責任でね」
「気負わないでいいのよぉ。ソッチの物理装備が弱すぎたせいよね、ごめんなさいね。本命の『船』にはメッチャ凄い防衛システム買ったんだけど……まさか乗組員の方を狙うだなんて」
「いや、普通に狙うと思うがね」
「えっ」
「途中までデータを共有していただろうがね? いいかね? 長時間ダイブするのに必要なのは『才能』、それだけでね。訓練でどうにか出来るものではないのでね。精神と肉体を光の渦に放り込んで初めて適正が分かるのでね。見つけ出すのは手間でね、正直」
「アメリカで立候補者募れば一杯来るわよ」
「そんなもの無駄でね。求めるクオリティの適合率が混ざっている可能性など、非常に低いのでね……それはイースタンブロックの件で分かったのではないのかね?」
「そりゃそうよオ、狙いが悪すぎるもの」
「脳波コン不所持の民間人を使ったところで……ファーイーストの『お試し』とはヒット率が違うだろうがね。彼らにはそれが分からないようでね」
「なによォ、アメリカにだって名プレイヤーごまんといるじゃないの」
「ゲームが上手いからといって、数多の機械の知能を扱いこなし、共同で暮らし、生き続けられるかといえばまた別の話なのでね。その点キミの推薦は良かったのでね」
「でしょう? でもだからってそんな貴重な人材を殺そうとすることはないじゃないのよォ~」
「貴重で手に入らないものを持っているのがズルいと疎む、条件を有利にさせるため他者を貶める。そういう生き物なのだとキミが語っていたのだがね」
「それは……そんなことで!? 人の命をなんだと……」
「はて、イーライの心理は分かりかねるがね。ボクはただ聞き及んだ知識を当てはめているだけなのでね。キミが憤っていることも、理屈はよく分からないのだがね」
「もうっ、まだまだねぇ! 怒るところよ、ここは!」
「みずきの命の勝ちは理解したがね」
「何より大事な存在が出来たのね。それだけで立派立派!」
「傷の画像を見るかね? ボクは初めて『歯の根が合わない』という言葉を理解したのでね」
「……そう。怖かったのね」
「うん。報告を聞いて、マルチタスクで行っていた業務全て閉じてしまったのでね。『何も考えられない』とはこのことかね?」
「そうね」
「フム、これは二度と嫌だと思うのだが、きっとまたあるだろうがね」
「そうね。人間には寿命があるもの」
「……」
「変なこと考えてないでしょうねぇ?」
「キミに言われたくないのだがね」
「アタシの愛は世界を超えるのヨ」
「好きにしたまえね」
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