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278 小舟で逃げた
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ピンクと赤の間のような色合いをした煙がもくもくと上がり、一目見て異常な事態だと分かる光景になる。効果はともかく目立ちすぎだ。だが、いっそ警察に見つかってしまったほうが楽だとも思っている弓子は、遠慮を忘れ煙幕が広がるよう筒を四方八方に放り投げた。
「くっ」
走りやすいトレッキング用のシューズだが、運動靴より重く地面も草と苔で滑りやすい。弓子は全速力より少し遅いペースで走り出す。反対側では姪のすずも走り出しており、アイコンタクトも出来ない混乱の中でもタイミングを揃えて出発出来た。流石妹の子ども、と弓子は信頼を寄せる。
煙で相手からは見えていないのだろう。先ほどまでいた木から銃弾が当たる音だけ聞こえた。発射している建物側からは乾いた音しか聞こえない。弓子の知識には無いが、サプレッサーと呼ばれる消音装置特有の音だ。
一人だけだということには気付いていた弓子が、走りながら建物に目を凝らす。パンを買っていた男は見えないが、初めて見る男が最低二人いることは分かった。もう一人は慌てた様子で動いているが、窓枠に見切れていて何をしているかは分からない。
「えーい!」
少し遠くなった隣側から、すずの元気な掛け声が聞こえた。大きな声だ。何をしているかまでは分からない。気を逸らそうとしているらしいが、弓子は叔母としての保護者的責任感で同じことをしようとした。
何の訓練も受けていない弓子には、銃弾を避けるようなスキルはない。傍から見ればカッコ悪かろうが、必死に腰をかがめて両手で頭を庇いながら走った。
木々が無くなり、建物の壁にぴったり背を付け小銃を撃つ男が見えてくる。顔が目視できる距離まで近づくと、弓子はもう一つ用意して来ていた武器を取り出した。
とても小ぶりな、銀色の小さなペンシル型キーホルダーだ。錆はないが年代もので、港町の商店で箱に入ったままホコリを被っていた不良在庫らしい。今は市販されていない。スポーツの大会で妨害に使われ、やがて販売禁止になったものだ。
「えい」
指で側面のスイッチを押す。
走りながらだと当たりにくいが、少しでも目に当たれば良いとすずが言っていた。
緑色の光が銃口を向ける男の目に数回、ちらちらと入り込んだ。途端に男が目を押さえながら悶え始める。失明するかも、と姪は言っていた。どうやら市販品をさらに改造してパワーアップさせているらしい。
「ごめんなさいねっ!」
うめいている男に駆け寄り、弓子はとにかく銃を奪った。
使い方は分からないが、とりあえず持っておく。横からすぐにすずがやってきて、手早くこめかみにゲル状のシールを貼った。
「縛り上げるべきでしょうか?」
「道具はないですよ」
「じゃあ、そのままでいいかしら」
「念のため、上着ひっくり返して結んじゃいましょう!」
てきぱきとすずが男の上着を脱がせ、ひっくり返して後ろ前で着せた。腕は袖には通さず前でまとめ、背中側で妙な結び方をして固定している。
「……どこで覚えたんですか、それ」
「は、母には言わないでくださいよ? ちょっと古い任侠映画に……」
「あら、あらあら。ヤクザの映画ね? そう……」
すずの意外な趣味を聞きながら、弓子は建物内に居るもう一人を目で探す。窓へ慎重に近づき、少しだけ頭を出した。
「友達の影響なんです! でも母が知ったら交友関係に口を出してきそうで……」
「そりゃあ親ですもの、そういうものです」
「嫌ですよ。もういい年なのに」
「いくつになっても娘は可愛いものですよ。みずきが任侠映画なんて想像つきませんけど」
古びた漁村の小屋を覗く。中はすすとホコリで汚れ、古い瓶や古新聞が荒らされた後のように積まれている。完全な廃墟だ。ただ一か所、ぽっかりと床に開いた穴の近くは足跡だらけになっていた。
「あ、地下に逃げた!」
「行きましょう」
すずが両腕と両足を袖と靴紐で縛り、男の背中をドンと蹴った。顔から地面にぶつかった男は転がったままモゴモゴとうめいているが、声が小さい。よく見ると口元に何か黒っぽいものが詰められている。
「……映画の見過ぎですよ、すずさん」
「えっ!? あ、あはは……」
男は右足だけが素足になっていた。
「おばさま、これって」
「今どきあまり見ませんけどね。舟屋というもので、日本にもありますよ」
「ガレージみたいな感じですね」
穴にかけられていたハシゴを降りると、地下には海側に面した壁が全くなかった。岸ギリギリに建てられていたとは思っていたが、弓子は想像もしていなかった光景だ。家の中に海水が入り込んでいる。
スロープのように海へと下っていく床は、船を家の中に係留させておくためのものだ。船を引き上げておけば劣化や虫害を防げるのだろう。昔の人の知恵は全世界で同時多発的に編み出され、文明が発展した今は地域の古き良き習慣として残っている。
「ここに船をつけていたんでしょうね」
せいぜい小舟だろうが、おそらく犯人たちはここを係留所にしていたのだろう。海を見る。遠くに黒い点のようなものが見える。
「……さすがに追いかけられませんか」
「一人捕まえたわ。あとはジョンに任せましょう」
「彼ら、パンを買いにわざわざここまで?」
「馬鹿ね。小麦とイースト菌があれば作れるって知らないんでしょう?」
「知っていてもスキルと設備がなければ作れませんよ、おばさま。少なくとも私はレシピ見ても無理です」
「……そうね」
弓子もすずも料理が下手だ。すずの母親——弓子の実の妹も下手だ。その割にグルメで、食に妥協したくはない。
「もし海の上なんかに長期で缶詰になったりしたら、美味しくパンを焼ける人と一緒じゃなきゃダメですね」
「ええ。私たちはお米と水さえあればいいですけど」
「炊飯器が無くてもまぁ……鍋があれば出来なくはない、かな? ふふっ」
ジョンにレシーバーで現在地を伝え、男の回収と逃げ去った船の追跡を頼む。建物自体に証拠品のようなものは何もない。手持ち無沙汰で地下の船場から海を眺め、地図で船の行先を想像するくらいだ。
想像される今後の仕事に、弓子とすずの出番はない。
「この後どうしましょう。ホテルに缶詰めですか?」
「街からは出られませんし、ネットは繋がらないですし。ジョンの事務仕事を手伝うくらいかしら」
「結果に繋がらないってモチベ下がりますね」
「……逃げる?」
「どこに逃げたって黒ネンドは追ってきますよ。日本にもいたんだし、むしろ電波の飛び交う都会の方が怖いです。黒ネンドは電波と音波で人間の運動の電気信号を操作するから……」
「なるほど、スピーカーがある地域は危険ということですね」
「ゲルシート貼っていれば、とりあえず拉致だけは避けられます。ですが私たちの場合はちょっと……」
すずが上に繋がるハシゴに足を掛けた。
「危険、ね」
「ええ。拉致されるだけならまだしも、私たち、一度捕まって逃げた身ですからね」
「口封じされるわけにはいきません。それに、ジャーナリストとして徹底的に調べ尽くす使命もありますから。ふふふ」
弓子はジャケットの大きなポケットから古いレンジファインダーのカメラを取り出した。
レーザーポインターと同じく現地調達したものだが、なかなか良い写真が撮れる。フィルムの扱いに慣れている弓子だからこそ扱えるが、デジタルが主流になった今のユーザーにはハードルが高いだろう。
暗い室内から海へ向けて一枚、ファインダーを覗いてシャッターを切る。ガ、シャッという機械的な音と共にバネのような反動が来る。気持ちがいい。
モニタがないため確認できないが、時間と手間を楽しみながらフィルムを巻き上げた。フィルムカウンターが回る。もう一枚、ピントリングを回して調節し、奥の海へ調節して一枚撮影した。
「おばさま、ジョンが来ましたよ」
「今行きます」
アナログもいいものだ。巻き取り上げきる前の状態で開かない限り、誰かに写真をぐしゃぐしゃにされる心配はない。現像してしまえば、流石に時間経過には負けるが人の手で改ざんされる心配はない。
ペーパーメディアはまだまだ現役だ。弓子の仕事・横浜のローカル新聞も、印刷したものを投函して回って知名度を維持している。
「紙の新聞……そうよ、紙でなら」
個人宛の新聞は仰々しい。ならば手紙ならどうだろうか。弓子は目を輝かせた。外とネットでしか通信できないなどと思い込んでいたが、手紙でなんとか夫に連絡できないかと閃いた。中間で抜き取られて居場所を知られないように、例えば知り合った現地の人に別の投函窓口まで出向いてもらうなどはどうだろう。やりようならいくらでもある。
「そうよ、そうそう。動けるわ。ジョンもこれから忙しくなるでしょうし」
「おばさまー?」
「はいはい」
便箋はどんなものにしようか。ピンク色がいい。押し花を同封するのはどうだろう、と弓子は若いころを思い出しながらニコニコと一人で微笑んだ。大事なのは内容だが、それ以上に弓子は手紙を書くのが楽しみになっていた。
小舟は逃げ帰った。スタッフを一人置き去りにしたことには気付いていたが、それ以上に早く帰って報告を入れなければならないと判断した。
帰って来た男たちからの報告を受け、パンを待っていた「彼ら」は母艦を動かすことに決めた。
海底に這っている中継光通信線に繋がっていた違法バイパス線を取り外し、母艦を別の海域に動かすことになる。その間通信は使えない。それは、「被験体」を一旦ログアウトさせ、貴重な情報源を回収しなければならないことを意味している。
船長は悩んだ。受け取った前金ほど働いていない。これでは貰えるであろう後の金が貰えなくなる。被験体をログアウトさせてしまうとバレる仕組みだ。彼らは中の様子を見ている。彼らになんとかバレないよう、ログインに見せかけたまま海を移動できないだろうか。技術者と打ち合わせをし、金を払った受注元の人間にも聞きまわり、とうとう良い案を一つ完成させた。
アバターと実働ユーザーを分離させ、一旦AIに動かさせる。その間に被験体は完全ログオフを行ない、母艦はアラスカの海から安全かつ友軍の多いハワイ沖へと移動する。
艦長や船員たちは、それがいいと早速「本国」へAI開発の支援要請をした。弓子たちの目撃情報を受けて動き出した追手との攻防が始まるまでの間、彼らはひやひやしながら船で待ち続けることになったのだった。
「どうするのかね?」
「アラスカ、微妙に遠いじゃないのよ~! そもそも割く人手が無いわよぉ。カナダにもうちょっと欲しいくらいなのに。全く、イーライが死んで終わりかと思ったら。やっぱり他にも先導者がいたってワケね」
「金額が膨大だからではないかね?」
「国家予算が子どものおこずかいに見えるレベルよ! 確かにイーライ一人で反旗を翻すわけないわ。まぁ、ああやって派手に逝ってくれたお陰でワルモノでした感出たけど!」
「イーライが悪い、という流れになったということかね?」
「そうよぉ。ヒトの心情なんて空気に流されるのが常。いくらイーライが反論してたとしても、証拠を提示したとしても、あの島で殺意を振りかざして殺害命令出したらアッチがワルモノに見えるもの」
「実際には先手を打ったのは我々で、彼は報復に動いたというだけなのだがね」
「事実ベースはそう。でも人間は『不満・不快にさせた側が悪い』って意見も根強いの。その辺が分からないと理解出来ないような、不思議で奇天烈な判断をする……アタシもそう」
「その感情による意思決定をパターンで学べる範囲で習得したのだがね、それでもキミやみずきは習得したことが不要になるような、なんとも特殊なロジックを展開するのでね。困るのだがね」
「その『困る』っていうのも、エラー回数と結果のパターンを感情の枠に入れて出てくる日本語表現だとしか思ってないんでしょう? 困ってる人間は嬉しそうな声しないもの」
「嬉しそうに困ったと言う、というパターンも学習しているのでね」
「ああいえばこういうって言うのよ、それ」
「フム……このタイミングで使うのが最善な言葉だとも理解しているつもりだがね。さて、我らがオーナー。だからこそボクは判断をキミに委ねているのでね。これはボクからの提案なのだがね」
「アハア、同じ事考えてると思うわ!」
「奇遇だね。せっかく浮いているのでね、アラスカ沖の船、もういっそ表側にリークしてしまえと思うのだがね」
「それでドイツの一件も上手くいったわけだしネッ! カナダの片田舎の湖と違って、通信を切ったりする必要は無いわ。バイパスする線を長く長く伸ばせばいいだけだもの。陸地で別回線切り替え後にどうにかすればいい」
「手間が多いがね。ああ、ただ行程が多いという事実と、沢山の人間が『手間だ』と言っているのだと知っているだけだがね」
「言わなくても分かってるわよ。とにかく他に代替案は無いわ。適応中の通信切断は脳に負担よ」
「適応が済んだ二人が特別で貴重なのではないのかね?」
「そうよぉ。正直そのフロリダの……名前なんだったかかしら?」
「三橋かね?」
「そうそう三橋くん! 彼は数値に変化ないんでしょう?なら正直もういっそログアウトさせてあげた方がいいわ」
「そこは同意だがね、船内への影響はどうかね? あの子がどう思うか」
「フォローはしてあげたいけど、その三橋くんのログアウト後の健康面まで面倒みきれないもの。麻痺残らないといいんだけど」
「あの子はきっと気に病むのでね。いっそのこと忘れさせてあげたいと思うボクのこの考えは……」
「とても人間的だわぁ!」
「フフン、勉強の甲斐あってだがね」
「『忘れてしまった方が有益・効率的』って言わなかったの、エライわよ!」
「その言葉の使い方はNGと判断したのでね……海馬まで電極を伸ばすのは来年だったかね?」
「そうね。段階を踏んで、もうちょっと先にしてもいいわ」
「ふむ……これでようやく夢への第一歩といったところだがね」
「アタシだけじゃない、人類の、地球に住むみんなの願いよ。身体から脳の活動だけを取り外すことが、昔から人類の夢だったの」
「……」
「肉体の死と精神の死を分けたかったのね。心は元気なのだから、百年で止まる心臓より長く生きていたいって思うのは普通のことよォ」
「なるほど」
「でもね、いくら発達した脳科学と機械工学をもってしても、人間の不快感や生理的嫌悪をどうにかするのは無理だったの。身体と剥がれた精神は狂う。脳だけアップロードしたところで、それはただの信号でしかなくて。魂はコピーもダウンロードも出来ない。ゴーストのダビングなんてSFの中だけの話だった……」
「フム」
「みんな絶望したわ。あと百年はかかるだろう、生きてる間には無理だろうって……でも、若い子達は少しずつ技術に適応して来てたわ。脳と肉体の分離より先に、アバターを身体と思うほうが早かった。生まれ持った生身の身体とは別のアバターをしっかり自分の肉体だと認識できるようになってきたの」
「キミも出来ていると思うがね」
「アタシ? 微妙ね。すごく微妙。あのアバターは確かに私だったけど、この身体を捨ててアバターだけが自分だと思えだなんて……正直、ストレスよ。違う、戦わなくて済む身体は欲しいけど……今までの生きた証なのよ。この、男でも女でもある混ぜ物みたいな身体。捨てたらきっと、アタシに似た何かに変わっちゃうと思うの」
「何か、とは?」
「アバターに合わせて理想を演じる無理しがちなアタシ、って言えばいいかしら? あの二人が凄いところはね、彼らは今、肉体を忘れつつあるの。ストレスなく、スムーズに」
「その様子は見て取れるが、それほど凄い事かね?」
「もう二度と生身の身体で歩けないと言われても、こっちがあるから気にしないよ~……なんて、本気で、心底、そう信じてるの。馬鹿でしょう? 他のメンバーには無いスピードで適応しているわ。人類がそのステージに立てる方が先か、それこそ本当に、脳と肉体の分離に関する革命的な技術開発が先か。それかノイマン型に変わる全く新しいコンピューターの開発が先か……競争ね!」
「ボクの予想ではノイマン型からの刷新が一位。しかし、それで本来の理想だった『身体の制約からニンゲンを解き放つ』を達成することは不可能なのではないのかね?今の代替で行う計画にしては、なんとも制約と理不尽が多すぎると思うのでね」
「ね。何考えてんのかしらねェン」
「……まぁ、仕事だがね」
「くっ」
走りやすいトレッキング用のシューズだが、運動靴より重く地面も草と苔で滑りやすい。弓子は全速力より少し遅いペースで走り出す。反対側では姪のすずも走り出しており、アイコンタクトも出来ない混乱の中でもタイミングを揃えて出発出来た。流石妹の子ども、と弓子は信頼を寄せる。
煙で相手からは見えていないのだろう。先ほどまでいた木から銃弾が当たる音だけ聞こえた。発射している建物側からは乾いた音しか聞こえない。弓子の知識には無いが、サプレッサーと呼ばれる消音装置特有の音だ。
一人だけだということには気付いていた弓子が、走りながら建物に目を凝らす。パンを買っていた男は見えないが、初めて見る男が最低二人いることは分かった。もう一人は慌てた様子で動いているが、窓枠に見切れていて何をしているかは分からない。
「えーい!」
少し遠くなった隣側から、すずの元気な掛け声が聞こえた。大きな声だ。何をしているかまでは分からない。気を逸らそうとしているらしいが、弓子は叔母としての保護者的責任感で同じことをしようとした。
何の訓練も受けていない弓子には、銃弾を避けるようなスキルはない。傍から見ればカッコ悪かろうが、必死に腰をかがめて両手で頭を庇いながら走った。
木々が無くなり、建物の壁にぴったり背を付け小銃を撃つ男が見えてくる。顔が目視できる距離まで近づくと、弓子はもう一つ用意して来ていた武器を取り出した。
とても小ぶりな、銀色の小さなペンシル型キーホルダーだ。錆はないが年代もので、港町の商店で箱に入ったままホコリを被っていた不良在庫らしい。今は市販されていない。スポーツの大会で妨害に使われ、やがて販売禁止になったものだ。
「えい」
指で側面のスイッチを押す。
走りながらだと当たりにくいが、少しでも目に当たれば良いとすずが言っていた。
緑色の光が銃口を向ける男の目に数回、ちらちらと入り込んだ。途端に男が目を押さえながら悶え始める。失明するかも、と姪は言っていた。どうやら市販品をさらに改造してパワーアップさせているらしい。
「ごめんなさいねっ!」
うめいている男に駆け寄り、弓子はとにかく銃を奪った。
使い方は分からないが、とりあえず持っておく。横からすぐにすずがやってきて、手早くこめかみにゲル状のシールを貼った。
「縛り上げるべきでしょうか?」
「道具はないですよ」
「じゃあ、そのままでいいかしら」
「念のため、上着ひっくり返して結んじゃいましょう!」
てきぱきとすずが男の上着を脱がせ、ひっくり返して後ろ前で着せた。腕は袖には通さず前でまとめ、背中側で妙な結び方をして固定している。
「……どこで覚えたんですか、それ」
「は、母には言わないでくださいよ? ちょっと古い任侠映画に……」
「あら、あらあら。ヤクザの映画ね? そう……」
すずの意外な趣味を聞きながら、弓子は建物内に居るもう一人を目で探す。窓へ慎重に近づき、少しだけ頭を出した。
「友達の影響なんです! でも母が知ったら交友関係に口を出してきそうで……」
「そりゃあ親ですもの、そういうものです」
「嫌ですよ。もういい年なのに」
「いくつになっても娘は可愛いものですよ。みずきが任侠映画なんて想像つきませんけど」
古びた漁村の小屋を覗く。中はすすとホコリで汚れ、古い瓶や古新聞が荒らされた後のように積まれている。完全な廃墟だ。ただ一か所、ぽっかりと床に開いた穴の近くは足跡だらけになっていた。
「あ、地下に逃げた!」
「行きましょう」
すずが両腕と両足を袖と靴紐で縛り、男の背中をドンと蹴った。顔から地面にぶつかった男は転がったままモゴモゴとうめいているが、声が小さい。よく見ると口元に何か黒っぽいものが詰められている。
「……映画の見過ぎですよ、すずさん」
「えっ!? あ、あはは……」
男は右足だけが素足になっていた。
「おばさま、これって」
「今どきあまり見ませんけどね。舟屋というもので、日本にもありますよ」
「ガレージみたいな感じですね」
穴にかけられていたハシゴを降りると、地下には海側に面した壁が全くなかった。岸ギリギリに建てられていたとは思っていたが、弓子は想像もしていなかった光景だ。家の中に海水が入り込んでいる。
スロープのように海へと下っていく床は、船を家の中に係留させておくためのものだ。船を引き上げておけば劣化や虫害を防げるのだろう。昔の人の知恵は全世界で同時多発的に編み出され、文明が発展した今は地域の古き良き習慣として残っている。
「ここに船をつけていたんでしょうね」
せいぜい小舟だろうが、おそらく犯人たちはここを係留所にしていたのだろう。海を見る。遠くに黒い点のようなものが見える。
「……さすがに追いかけられませんか」
「一人捕まえたわ。あとはジョンに任せましょう」
「彼ら、パンを買いにわざわざここまで?」
「馬鹿ね。小麦とイースト菌があれば作れるって知らないんでしょう?」
「知っていてもスキルと設備がなければ作れませんよ、おばさま。少なくとも私はレシピ見ても無理です」
「……そうね」
弓子もすずも料理が下手だ。すずの母親——弓子の実の妹も下手だ。その割にグルメで、食に妥協したくはない。
「もし海の上なんかに長期で缶詰になったりしたら、美味しくパンを焼ける人と一緒じゃなきゃダメですね」
「ええ。私たちはお米と水さえあればいいですけど」
「炊飯器が無くてもまぁ……鍋があれば出来なくはない、かな? ふふっ」
ジョンにレシーバーで現在地を伝え、男の回収と逃げ去った船の追跡を頼む。建物自体に証拠品のようなものは何もない。手持ち無沙汰で地下の船場から海を眺め、地図で船の行先を想像するくらいだ。
想像される今後の仕事に、弓子とすずの出番はない。
「この後どうしましょう。ホテルに缶詰めですか?」
「街からは出られませんし、ネットは繋がらないですし。ジョンの事務仕事を手伝うくらいかしら」
「結果に繋がらないってモチベ下がりますね」
「……逃げる?」
「どこに逃げたって黒ネンドは追ってきますよ。日本にもいたんだし、むしろ電波の飛び交う都会の方が怖いです。黒ネンドは電波と音波で人間の運動の電気信号を操作するから……」
「なるほど、スピーカーがある地域は危険ということですね」
「ゲルシート貼っていれば、とりあえず拉致だけは避けられます。ですが私たちの場合はちょっと……」
すずが上に繋がるハシゴに足を掛けた。
「危険、ね」
「ええ。拉致されるだけならまだしも、私たち、一度捕まって逃げた身ですからね」
「口封じされるわけにはいきません。それに、ジャーナリストとして徹底的に調べ尽くす使命もありますから。ふふふ」
弓子はジャケットの大きなポケットから古いレンジファインダーのカメラを取り出した。
レーザーポインターと同じく現地調達したものだが、なかなか良い写真が撮れる。フィルムの扱いに慣れている弓子だからこそ扱えるが、デジタルが主流になった今のユーザーにはハードルが高いだろう。
暗い室内から海へ向けて一枚、ファインダーを覗いてシャッターを切る。ガ、シャッという機械的な音と共にバネのような反動が来る。気持ちがいい。
モニタがないため確認できないが、時間と手間を楽しみながらフィルムを巻き上げた。フィルムカウンターが回る。もう一枚、ピントリングを回して調節し、奥の海へ調節して一枚撮影した。
「おばさま、ジョンが来ましたよ」
「今行きます」
アナログもいいものだ。巻き取り上げきる前の状態で開かない限り、誰かに写真をぐしゃぐしゃにされる心配はない。現像してしまえば、流石に時間経過には負けるが人の手で改ざんされる心配はない。
ペーパーメディアはまだまだ現役だ。弓子の仕事・横浜のローカル新聞も、印刷したものを投函して回って知名度を維持している。
「紙の新聞……そうよ、紙でなら」
個人宛の新聞は仰々しい。ならば手紙ならどうだろうか。弓子は目を輝かせた。外とネットでしか通信できないなどと思い込んでいたが、手紙でなんとか夫に連絡できないかと閃いた。中間で抜き取られて居場所を知られないように、例えば知り合った現地の人に別の投函窓口まで出向いてもらうなどはどうだろう。やりようならいくらでもある。
「そうよ、そうそう。動けるわ。ジョンもこれから忙しくなるでしょうし」
「おばさまー?」
「はいはい」
便箋はどんなものにしようか。ピンク色がいい。押し花を同封するのはどうだろう、と弓子は若いころを思い出しながらニコニコと一人で微笑んだ。大事なのは内容だが、それ以上に弓子は手紙を書くのが楽しみになっていた。
小舟は逃げ帰った。スタッフを一人置き去りにしたことには気付いていたが、それ以上に早く帰って報告を入れなければならないと判断した。
帰って来た男たちからの報告を受け、パンを待っていた「彼ら」は母艦を動かすことに決めた。
海底に這っている中継光通信線に繋がっていた違法バイパス線を取り外し、母艦を別の海域に動かすことになる。その間通信は使えない。それは、「被験体」を一旦ログアウトさせ、貴重な情報源を回収しなければならないことを意味している。
船長は悩んだ。受け取った前金ほど働いていない。これでは貰えるであろう後の金が貰えなくなる。被験体をログアウトさせてしまうとバレる仕組みだ。彼らは中の様子を見ている。彼らになんとかバレないよう、ログインに見せかけたまま海を移動できないだろうか。技術者と打ち合わせをし、金を払った受注元の人間にも聞きまわり、とうとう良い案を一つ完成させた。
アバターと実働ユーザーを分離させ、一旦AIに動かさせる。その間に被験体は完全ログオフを行ない、母艦はアラスカの海から安全かつ友軍の多いハワイ沖へと移動する。
艦長や船員たちは、それがいいと早速「本国」へAI開発の支援要請をした。弓子たちの目撃情報を受けて動き出した追手との攻防が始まるまでの間、彼らはひやひやしながら船で待ち続けることになったのだった。
「どうするのかね?」
「アラスカ、微妙に遠いじゃないのよ~! そもそも割く人手が無いわよぉ。カナダにもうちょっと欲しいくらいなのに。全く、イーライが死んで終わりかと思ったら。やっぱり他にも先導者がいたってワケね」
「金額が膨大だからではないかね?」
「国家予算が子どものおこずかいに見えるレベルよ! 確かにイーライ一人で反旗を翻すわけないわ。まぁ、ああやって派手に逝ってくれたお陰でワルモノでした感出たけど!」
「イーライが悪い、という流れになったということかね?」
「そうよぉ。ヒトの心情なんて空気に流されるのが常。いくらイーライが反論してたとしても、証拠を提示したとしても、あの島で殺意を振りかざして殺害命令出したらアッチがワルモノに見えるもの」
「実際には先手を打ったのは我々で、彼は報復に動いたというだけなのだがね」
「事実ベースはそう。でも人間は『不満・不快にさせた側が悪い』って意見も根強いの。その辺が分からないと理解出来ないような、不思議で奇天烈な判断をする……アタシもそう」
「その感情による意思決定をパターンで学べる範囲で習得したのだがね、それでもキミやみずきは習得したことが不要になるような、なんとも特殊なロジックを展開するのでね。困るのだがね」
「その『困る』っていうのも、エラー回数と結果のパターンを感情の枠に入れて出てくる日本語表現だとしか思ってないんでしょう? 困ってる人間は嬉しそうな声しないもの」
「嬉しそうに困ったと言う、というパターンも学習しているのでね」
「ああいえばこういうって言うのよ、それ」
「フム……このタイミングで使うのが最善な言葉だとも理解しているつもりだがね。さて、我らがオーナー。だからこそボクは判断をキミに委ねているのでね。これはボクからの提案なのだがね」
「アハア、同じ事考えてると思うわ!」
「奇遇だね。せっかく浮いているのでね、アラスカ沖の船、もういっそ表側にリークしてしまえと思うのだがね」
「それでドイツの一件も上手くいったわけだしネッ! カナダの片田舎の湖と違って、通信を切ったりする必要は無いわ。バイパスする線を長く長く伸ばせばいいだけだもの。陸地で別回線切り替え後にどうにかすればいい」
「手間が多いがね。ああ、ただ行程が多いという事実と、沢山の人間が『手間だ』と言っているのだと知っているだけだがね」
「言わなくても分かってるわよ。とにかく他に代替案は無いわ。適応中の通信切断は脳に負担よ」
「適応が済んだ二人が特別で貴重なのではないのかね?」
「そうよぉ。正直そのフロリダの……名前なんだったかかしら?」
「三橋かね?」
「そうそう三橋くん! 彼は数値に変化ないんでしょう?なら正直もういっそログアウトさせてあげた方がいいわ」
「そこは同意だがね、船内への影響はどうかね? あの子がどう思うか」
「フォローはしてあげたいけど、その三橋くんのログアウト後の健康面まで面倒みきれないもの。麻痺残らないといいんだけど」
「あの子はきっと気に病むのでね。いっそのこと忘れさせてあげたいと思うボクのこの考えは……」
「とても人間的だわぁ!」
「フフン、勉強の甲斐あってだがね」
「『忘れてしまった方が有益・効率的』って言わなかったの、エライわよ!」
「その言葉の使い方はNGと判断したのでね……海馬まで電極を伸ばすのは来年だったかね?」
「そうね。段階を踏んで、もうちょっと先にしてもいいわ」
「ふむ……これでようやく夢への第一歩といったところだがね」
「アタシだけじゃない、人類の、地球に住むみんなの願いよ。身体から脳の活動だけを取り外すことが、昔から人類の夢だったの」
「……」
「肉体の死と精神の死を分けたかったのね。心は元気なのだから、百年で止まる心臓より長く生きていたいって思うのは普通のことよォ」
「なるほど」
「でもね、いくら発達した脳科学と機械工学をもってしても、人間の不快感や生理的嫌悪をどうにかするのは無理だったの。身体と剥がれた精神は狂う。脳だけアップロードしたところで、それはただの信号でしかなくて。魂はコピーもダウンロードも出来ない。ゴーストのダビングなんてSFの中だけの話だった……」
「フム」
「みんな絶望したわ。あと百年はかかるだろう、生きてる間には無理だろうって……でも、若い子達は少しずつ技術に適応して来てたわ。脳と肉体の分離より先に、アバターを身体と思うほうが早かった。生まれ持った生身の身体とは別のアバターをしっかり自分の肉体だと認識できるようになってきたの」
「キミも出来ていると思うがね」
「アタシ? 微妙ね。すごく微妙。あのアバターは確かに私だったけど、この身体を捨ててアバターだけが自分だと思えだなんて……正直、ストレスよ。違う、戦わなくて済む身体は欲しいけど……今までの生きた証なのよ。この、男でも女でもある混ぜ物みたいな身体。捨てたらきっと、アタシに似た何かに変わっちゃうと思うの」
「何か、とは?」
「アバターに合わせて理想を演じる無理しがちなアタシ、って言えばいいかしら? あの二人が凄いところはね、彼らは今、肉体を忘れつつあるの。ストレスなく、スムーズに」
「その様子は見て取れるが、それほど凄い事かね?」
「もう二度と生身の身体で歩けないと言われても、こっちがあるから気にしないよ~……なんて、本気で、心底、そう信じてるの。馬鹿でしょう? 他のメンバーには無いスピードで適応しているわ。人類がそのステージに立てる方が先か、それこそ本当に、脳と肉体の分離に関する革命的な技術開発が先か。それかノイマン型に変わる全く新しいコンピューターの開発が先か……競争ね!」
「ボクの予想ではノイマン型からの刷新が一位。しかし、それで本来の理想だった『身体の制約からニンゲンを解き放つ』を達成することは不可能なのではないのかね?今の代替で行う計画にしては、なんとも制約と理不尽が多すぎると思うのでね」
「ね。何考えてんのかしらねェン」
「……まぁ、仕事だがね」
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だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
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自筆です。
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「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
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自筆です。
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1話約1000文字です
01章――バトル無し・下準備回
02章――冒険の始まり・死に続ける
03章――『超越者』・騎士の国へ
04章――森の守護獣・イベント参加
05章――ダンジョン・未知との遭遇
06章──仙人の街・帝国の進撃
07章──強さを求めて・錬金の王
08章──魔族の侵略・魔王との邂逅
09章──匠天の証明・眠る機械龍
10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女
11章──アンヤク・封じられし人形
12章──獣人の都・蔓延る闘争
13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者
14章──天の集い・北の果て
15章──刀の王様・眠れる妖精
16章──腕輪祭り・悪鬼騒動
17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕
18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王
19章──剋服の試練・ギルド問題
20章──五州騒動・迷宮イベント
21章──VS戦乙女・就職活動
22章──休日開放・家族冒険
23章──千■万■・■■の主(予定)
タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。
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最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
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