あの木の下で、僕は誓う

Takato

文字の大きさ
1 / 1

始まり -暖輝視点-

しおりを挟む
「へっくしゅ!」
(ヤバイ、やってしまった、、、)
ここ、私立彗徳学園は中等部と高等部からなる中高一貫校だ。一学年8クラスで、地元ではかなりのマンモス校だ。
そのマンモス校の生徒が殆ど集まっている一学期の始業式、今まで校歌をうたっていたが、香坂暖輝は花粉症によるくしゃみが堪えきれず、今しがた歌が終わり、伴奏に入ったところで、思いの外大きいくしゃみにより、全校生徒と言っても過言出ない程の視線を集めていた。
(花粉症の俺には辛いだけの春、、、
いやいや、今年こそは凛華に思いをぶつけるんだ!っていうか、今のくしゃみ絶対に凛華に笑われる、、、
はぁ、、、)でも、まあ、ね。
(凛華の笑顔が見れるならそれはそれでいっか、、、)
校歌斉唱が終わり、始業式自体が終わると、彗徳学園ではクラス分けが発表され、その後「遅咲きの桜」と呼ばれる桜の木の下で、写真を撮るのが毎年の恒例となっていた。
「え~では~、3年生から順に元2年生のクラスごとに、3学年専用校舎前の掲示板に貼られているクラス表を見て、その後各クラスに移動しHRを行ってください。」
3年主任の先生のこの言葉で、始業式はおわった。
「はぁ~つっかれた~」
「暖輝ぃ、さっきのくしゃみ大丈夫?笑」と、幼稚園から一緒の真宮秋葉(まみやあきは)が早速声をかけてきた。
「や~まじで今年の花粉はえぐいね。ちょ、花粉症の薬ちょーだい?」
と暖輝が調子に乗って答えると、
「高三にもなるんだから自分で買ってきなよ!あ、そいえばさ、クラス発表さ、その、、、」
(あれ?秋葉ってこんなんだったっけ?)
去年までとは明らかに何かがおかしい、、、
去年までの秋葉は、なんというか、こう、もっと、、、普通に話してなかったっけ??
「ん?クラス発表がどしたんだよ」
去年までとは明らかに違う秋葉の態度に不審を抱きつつ、暖輝は尋ねた。
「えっと、だから、その、、、」
「??」
「、、、、、、」
「????」
「・・・・・・・ぃ?」
「へ?」
顔を真っ赤に染めながらやっと出てきたと思った言葉は小さすぎて聞こえなかった。
「、、、っだから!クラス発表一緒に見に行かない?!」
「ちょ、秋葉!声がでかい!」
慌てて俺は、秋葉にしー!っとした。
「あ、ご、ごめん、、、」
秋葉は顔をまっかにしながらあやまった。
「それにしても、どうして今年だけ?」
「え?そ、そりゃ、、、さ、最後のクラス替えだからよ!うん。」
(あ~なるほど)
「あ~じゃあ、見に行くか」
「え、ほんと?嬉しい!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
3学年専用校舎前に貼ってあったクラス表を前に、暖輝は驚きと喜びを隠しきれなかった。
(いぃよっしゃぁぁぁぁぁあ!!!!)
大喜びする隣の秋葉も同じように喜んでいた。
(最後の年が、凛華と一緒でほんとに良かった!!)

出会いと別れの季節である春。暖輝にとっては、前者は凛華に一目惚れしてからずっと来なかったが、高校生活最後の年に、ようやく願いがかなったのであった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...