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旅立ち
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『むかしむかしあるところに恐ろしい怪物がいました。
怪物はとても強大な力を持っており世界中に厄災を振りまきました。
怪物は様々な名で呼ばれましたがその中でも魔物達を率いる王、魔王という名が広く知れ渡っていました。
世界の半分以上を魔王に占拠された人類は下された神託に従い異世界から一人の勇者を召喚しました。
勇者は当初こそただの青年と変わりませんでしたが、旅を続けていく内にめきめきと力をつけていき、すぐに強大な魔物達と渡り合えるだけの実力を手に入れました。
勇者は長い長い旅の果てに不死身の魔王と相対し、仲間の助力もあって見事魔王を打ち倒しました。
こうして世界に平和が訪れたのでした。
勇者様は今も私達を見守ってくれているでしょう。』
この物語を最後に読んだのはいつだったか。
素晴らしい物語だ。
世界は救われた。人々の生活は守られた。
『勇者』とやらの最期が記されていればなおよかったのだが。
いや、違うな最期という言葉を適切ではない。
勇者に最期などありはしない。
物語の続きを話すとしよう。
『勇者は仲間達の助力もあって見事魔王を打ち倒しました。
崩れ去る魔王に安堵し、勇者一行は腰をおろします。
勇者一行はお互いに自分達の夢を語りました。悲しみを語り合いました。喜びを語り合いました。それらは魔王を討つまでの旅路という思い出に彩られた泥臭く、しかし美しいものでした。
彼らは日が沈んでも語り続けました。
やがて食料が尽き勇者一行は帰路につきました。
国、いえ、世界中は歓喜の渦に包まれました。
勇者一行もその様子を見て涙を流しました。
自分達の旅は報われたのだ、と。
勇者が違和感に気づいたのはその十数年後でした。
自分の顔が若いままなのです。
さらに十年後、やはり顔は変わりません
さらに十年後、顔が変わらない
さらに十年後、友が死んだ
十年後、顔は変わらない
十年後、妻が死んだ
十年後、死ねない
十年後、息子が死んだ
百年後、国が滅んだ
千年後、友が死んだ
一万年後、俺を知るものは誰もいなくなった。
いや、そもそも俺は誰だ?
俺は勇者で、魔王が妻が息子が友が国が世界が夢が過去が異世界が危険が顔がああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
あたしは冒険の物語が大好きだった。
だから家の中を探索していた時にこの古びた物語を見つけた時は心が踊ったものだ。
『むかしむかしあるところに恐ろしい怪物がいました。
怪物はとても強大な力を持っており世界中に厄災を振りまきました。
怪物は様々な名で呼ばれましたがその中でも魔物達を率いる王、魔王という名が広く知れ渡っていました。
世界の半分以上を魔王に占拠された人類は下された神託に従い異世界から一人の勇者を召喚しました。
勇者は当初こそただの青年と変わりませんでしたが、旅を続けていく内にめきめきと力をつけていき、すぐに強大な魔物達と渡り合えるだけの実力を手に入れました。
勇者は長い長い旅の果てに不死身の魔王と相対し、仲間の助力もあって見事魔王を打ち倒しました。
こうして世界に平和が訪れたのでした。
勇者様は今も私達を見守ってくれているでしょう。』
何度も読み込んでボロボロになった本をバックの中に放り込む。
その本の余白には勇者の真実が記されていた。
つまり勇者はまだ生きてるってことだ。
あたしは親の反対を押し切って勇者を探す旅に出ることにした。
怪物はとても強大な力を持っており世界中に厄災を振りまきました。
怪物は様々な名で呼ばれましたがその中でも魔物達を率いる王、魔王という名が広く知れ渡っていました。
世界の半分以上を魔王に占拠された人類は下された神託に従い異世界から一人の勇者を召喚しました。
勇者は当初こそただの青年と変わりませんでしたが、旅を続けていく内にめきめきと力をつけていき、すぐに強大な魔物達と渡り合えるだけの実力を手に入れました。
勇者は長い長い旅の果てに不死身の魔王と相対し、仲間の助力もあって見事魔王を打ち倒しました。
こうして世界に平和が訪れたのでした。
勇者様は今も私達を見守ってくれているでしょう。』
この物語を最後に読んだのはいつだったか。
素晴らしい物語だ。
世界は救われた。人々の生活は守られた。
『勇者』とやらの最期が記されていればなおよかったのだが。
いや、違うな最期という言葉を適切ではない。
勇者に最期などありはしない。
物語の続きを話すとしよう。
『勇者は仲間達の助力もあって見事魔王を打ち倒しました。
崩れ去る魔王に安堵し、勇者一行は腰をおろします。
勇者一行はお互いに自分達の夢を語りました。悲しみを語り合いました。喜びを語り合いました。それらは魔王を討つまでの旅路という思い出に彩られた泥臭く、しかし美しいものでした。
彼らは日が沈んでも語り続けました。
やがて食料が尽き勇者一行は帰路につきました。
国、いえ、世界中は歓喜の渦に包まれました。
勇者一行もその様子を見て涙を流しました。
自分達の旅は報われたのだ、と。
勇者が違和感に気づいたのはその十数年後でした。
自分の顔が若いままなのです。
さらに十年後、やはり顔は変わりません
さらに十年後、顔が変わらない
さらに十年後、友が死んだ
十年後、顔は変わらない
十年後、妻が死んだ
十年後、死ねない
十年後、息子が死んだ
百年後、国が滅んだ
千年後、友が死んだ
一万年後、俺を知るものは誰もいなくなった。
いや、そもそも俺は誰だ?
俺は勇者で、魔王が妻が息子が友が国が世界が夢が過去が異世界が危険が顔がああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
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あたしは冒険の物語が大好きだった。
だから家の中を探索していた時にこの古びた物語を見つけた時は心が踊ったものだ。
『むかしむかしあるところに恐ろしい怪物がいました。
怪物はとても強大な力を持っており世界中に厄災を振りまきました。
怪物は様々な名で呼ばれましたがその中でも魔物達を率いる王、魔王という名が広く知れ渡っていました。
世界の半分以上を魔王に占拠された人類は下された神託に従い異世界から一人の勇者を召喚しました。
勇者は当初こそただの青年と変わりませんでしたが、旅を続けていく内にめきめきと力をつけていき、すぐに強大な魔物達と渡り合えるだけの実力を手に入れました。
勇者は長い長い旅の果てに不死身の魔王と相対し、仲間の助力もあって見事魔王を打ち倒しました。
こうして世界に平和が訪れたのでした。
勇者様は今も私達を見守ってくれているでしょう。』
何度も読み込んでボロボロになった本をバックの中に放り込む。
その本の余白には勇者の真実が記されていた。
つまり勇者はまだ生きてるってことだ。
あたしは親の反対を押し切って勇者を探す旅に出ることにした。
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