不死身の勇者を殺すまで

響世燐光

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不老不死

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女のやかましい声が聞こえてきたことで長い眠りから目が覚めた。


頭がぼんやりとする。

何を言っているのかわからない。


とりあえず逃げようか。



「私を弟子にしてください!私を!弟子に!してください!って、あーーーーー!!!何今の!凄い!人が鳥になった!」


「な、なんたることじゃ……!守護神様がこの地を去られてしまわれた。この村は……この村は終わりじゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」


「ご、ごめんなさーい!」



峡谷を超えて湖のほとりにたどり着いた。

人の姿に戻り座り込む。

また眠るだけだ。



……………………煩い。

今度は何だ。

またあの小娘か。


でし?でしとはあの弟子の事か?

何故俺の……いや、そもそも俺が誰だか分かっているのか?そんな人間何万年ぶりだろうか。

興味が湧いた。




「小娘」

「しゃ、喋った!?」

「……………………俺が誰だか知っているのか?」

「ゆ、勇者様?」

「勇者…………あぁ、そういえば昔そんな風に呼ばれていたな。礼を言うよ。久しぶりに記憶が蘇った。ではな」

「ちょ、待って!眠らないで!おーーーーい!!!くそう、ワーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」


鼓膜が破れたのを感じる。

まぁどうでもいいのだが。煩いのは良くない。


「何だ?」

「あたしの名前はベル!あたしを弟子にして下さい!」

「弟子……あぁそういえばそんな話をしていたな」


目の前の少女の瞳が輝く。眩しい


「断る。ではな」


「うぅ……まぁいいや!弟子にしてくれるまでずっと張り付きますから!」


「……………………」



それから少女は不老不死の前で修行を始めました。

寝て起きたら正拳突きなどの練習、型、寄ってくる魔獣相手の実践訓練。そして一時間に渡る不老不死の横での発声練習…………


「弟子にしてください!弟子にしてください!弟子にしてください!弟子にしてください!弟子にしてください!」


「………………」



一ヶ月ほど経った頃不老不死は寝るのをやめました。

一切手を抜くこと無く修行を続ける少女に興味が湧いてきたのです。

少女の姿がかつての仲間に酷似していたのも、また、不老不死の心を動かしたのでした。

見ているとその姿があまりに楽しそうだったので不老不死は久しぶりに体を動かしたくなりました。



「小娘」

「!?喋った!?!?」

「…………………………相手をしてやる。来い」


不老不死の言葉に少女は驚愕の表情を浮かべますが、すぐに笑みを浮かべ不老不死に飛びかかりました。


「てやあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!ぶべらっ!?」


突き出された拳を不老不死が上からそっと抑えると、少女は空中を見事に回転しながら飛んでいきました。

凄まじい勢いの少女は木々をなぎ倒しずっと遠くまで飛んでいきました。


「………………」


不老不死はまた目を伏せました。

これまで数え切れないほどの別れに立ち会ってきたとはいえ、年端も行かぬ少女を自身の手にかけるのは気分の良いことではありません。


「せめて安らかに…………」

「死んでなーーい!!!」


不老不死が再び眠りにつこうとした時遠くから叫び声が聞こえてきました。

どうやら少女は生きていたようです。


少女は凄まじい勢いで戻ってきました。


「合格ですか?!」

「…………?」

「弟子にしてもらえるんですか?!」

「俺は弟子を取らない」


不老不死がそういうと少女は目に見えて落ち込みました。

その姿はまるでかつての仲間の生き写しで、不老不死は何か自分がとんでもなく悪い事をしてしまったような罪悪感に襲われました。



「この感覚も久しぶりだな…………」

「え?」

「俺は弟子を取らない…………。だが目の前で下手な動きをされると気が散る。正しい動きを教えてやる。後は好きにするといい。」


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