4/4ー俺の親が自重しなかった結果チートな身体を得た。

ギン

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1章

一章エピローグ

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 王は悩んでいた。最近の王を悩ませているのは2年前に自国の領地、ルース・ラルンド辺境伯の治める領地で起きた、獣人が行方不明になるという事件に端を発した問題だった。ラルンドの手紙によれば事件の概要はこうだ。

 まず獣人が行方不明になる。そこまでは魔物に逆に狩られたか、等と思われていた事件だった、それが何人か続き、獣人を囲っているという噂のカザール・カリュクス子爵が、関係しているのでは無いかと、彼を呼び出したが、彼では無かった事、そしてラルンド辺境伯と懇意にしているあのナデシコ・デュアリスの知り合いの獣人が巻き込まれた事で、彼女と彼女の弟が動き事件は解決した。カザール子爵も犯罪に被害者として巻き込まれたとの事だったが、事件は無事解決した。

 ここまでの話なら態々、王である自分まで書簡が届く事など無いのだ。問題と言うのは此処からだった。
 その後、その犯罪を犯した冒険者達が使っていた洗脳という魔石が厄介で簡単には解けない魔法がかかっていた事、そして、1度や2度、魔法をかけられた者は、生きた屍の様になるが。何度も魔石を使い完全に洗脳を受けた者は人格が変わった様になるか、一定の意識を植え付けられるという事だった。それは、犯罪者である冒険者の1人から聴取した結果わかった事らしい。

 そして、その冒険者パーティに魔石を持ち込んだであろう、カルミスと呼ばれていた男には逃げられ、尻尾が全く掴めない状況であるという事だった。

 王はあの手紙を読んだ時に深いため息を吐いたのを今でも覚えている。そして、城中、まずは部下達に、周りのもの達が怪しく無いか、お互いに確かめさせた。取り敢えず完全に洗脳される前には2週間程かかるとの事で、2週の間休んだり様子のおかしい者が居ないか等だ。その結果、城の中は大丈夫な様だったが、王都中に触れを出すかは迷ったのだ。いらぬ混乱と例え洗脳されている者が分かったとしてもあの当時はまだ何も出来なかった。
 触れを出す事でそのカルミスという男や、もしそのカルミスが組織などなら、それらに警戒される事を懸念したのだ。もし、城下や、王都内でそういった、急に人格が変わった者や、生きた屍の様になる者があればすぐに上に報告をあげる様に指示を出すに留めた。

 そして幸運な事にそれから1年そう言った者の報告は無かった。しかもラルンドから新しい書簡が届いた。解呪の魔石を作る方法が分かったと、そこには解呪の方法と魔術式の書かれた研究書類が同封されており、それを渡した時の魔法技術大臣と言ったら・・
 普段は真面目くさった顔をしたあの大臣が書類に目を通すと、驚愕に目を見開き、小躍りをしながら急ぎ部屋を出て言ったのだ。アレは愉快だった・・・

 こうして解決に見えた事件だったが、それから1年、城の騎士や王都の市民達に少しずつ洗脳の兆候が見え始める者が出始めた。解放の魔石がある今なら、それらを隔離して解呪してやれば済むのだが完全にイタチごっこだった。城の騎士や、貴族等は直ぐに把握出来るし、発見も容易いが、市民となるとそういう訳には行かなかった。

 洗脳をかけられて正気に戻った者達に聴取をした所、洗脳をかけた者達の様相は様々で、中には知り合いをみたのが意識の最後だった。と言うものも居た。そしてそれら犯人を捕まえる事にも成功したのだが。フードを被った男に貰った、と言う事しか解らなかったのだ・・・

 ただ、調書の中で魔石にある程度の弱点がある事が解った、洗脳をかけられた者は皆漏れず、意識を何かしらの形で奪われた、と言う事が共通して居た。
 それは意識がない状態じゃ無いと洗脳をかける事が出来ないのでは無いか、と言う可能性だった。そして、手に入った洗脳の魔石を死刑を待つ罪人に使ってみた所、やはり意識がある状態ではかける事が出来ないとの結果になった。一度掛けてしまった後は1日に一度、重ねがけをしていくという物で、日に何度もかけると精神崩壊し暴れる様になってしまうという事が解った。


 王は、大臣達と解決に向けて何度も話し合ったが良い考えが浮かぶことは無かった。
その結果、この王国にある学園の学長であり、学園の創始者、賢者と呼ばれる彼女に手紙を書き意見を問う事にしたのだ。だが彼女は学園の維持にしか興味がない。そして国は学園の運営等に口を出す事は出来ない、との約束事が成されている。
 
今まで彼女に、国の政治などに関わる助言を個人的に頼む手紙を、何度か出したこともあるが、それに色好い返事が来る事はほとんど無かった。なので期待はして居ないのだが、今の所、其れくらいしか思いつく事も無かった。



 そんな彼女が果たして協力してくれるのだろうかーーとなかば諦めにも似た感情を抱きながら、王は筆を進めたのだった。









 学園の一室、座り心地の良い椅子に彼女は腰を深くおろし、側に立つエルフの女性に渡された手紙を読むと、パサリと、机の上に置いた。

「えーとつまりは、最近、起きてる例の魔石の、洗脳による事件の解決を図りたいから協力して欲しいって事よね?」

「そういう事だと思います。」

「うーん、王様の周りにいる頭でっかち達が幾ら考えても解らないのに、私がわかる訳はないんだけどなあ・・・それに、の事なら、もう私の仕事はある程度果たしたしね」

 眩しく輝く様な薄いブロンドの髪を掻き上げると、メンドくさそうに彼女は呟いた。

「賢者と呼ばれる貴女だからこそ、なんとかしてくれるとお思いなのでは?」

「買い被り過ぎだなあ・・・」

 彼女は手紙の半分にも目を通す事なく、机へと突っ伏した。

「そういう王国の危機的なやつは、王国で解決をして欲しいもんだよまったく。それに私は呪いは専門外でまーったく解らないわ。それに私はこれから忙しくなると思うし、今の内に休んでおかないとねー」

 そう言うと校長室の床に魔法陣が現れる。

「私はちょっとダンジョンの私室で仮眠でも取ってくるね。じゃあおやすみー」

 そう言うと、魔法陣の上に乗り、身体はすうっと消えていく。もう1人のエルフの女性は消えていく女性に軽くお辞儀をすると、誰も居ない部屋から出て行った。
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