私はゴミ箱の中に住んでいる

幸せ

ミケと出会い私の生活は、少しずつ変わっていった。
無表情だった顔には、いつも笑顔が。
生きることが退屈だった私には、大切な遊び相手・・・ううん。家族だった。
毎日が楽しかった。

ある晴れた日、私とミケは外に出て遊んでいた。
すると、あるポスターに目が行った。
それは、迷子の猫を探しているというポスターだった。
三毛猫で鈴を付けているらしい。そこまで読むとほっとした。
ミケは、三毛猫でも鈴は付けていないからだった。
と、チリンと鈴の音が。後ろを振り向くと、ミケの首には鈴が・・・。
ちがう。ミケは、迷子なんかじゃない・・・。
そう思いたくなくても、目の前のポスターが言っている。ミケは、迷子の猫だと。
認めたくないけど、口から言葉が零れ落ちる。
「そっか・・・。ミケは・・・」
ミケは、迷子の猫だったんだ。そう思うと、胸がチクリと痛んだ。
ミケは、今日も幸せそうに喉を鳴らしている。
この、日常が無くなると思うと辛い。だけど、ミケにとっては、本当の家に
いた方が幸せではないのか。そんな考えが、頭からずっと離れなかった。