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4章

恐怖

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「なんだ。死んでなかったのか」
 えいまの冷酷な言葉に、乃愛と風真は震えあがった。
 でも・・・、と二人は心の中でひそかに思う。
 えいまは今、なにも持っていないっ!
 __まだ、私達にも
 __まだ、俺達にも

 舞花を助けて、逃げ切ることはできる!!
 
「風真、えいまをお願い。私は、舞花を助ける」
「わかった」
 短い会話を終えた、二人の目と鼻の先に、笑みを浮かべた顔が。
「ひっ・・・」
「うわっ・・・」
 思わず、後ずさりした。その笑みとこちらを見ている目が、逃げ出したく
 なるほど怖かった。それでも、逃げなかったのは、舞花がいるからだろう。
 それにしてもいつの間に、えいまは目の前に来たのか。  
 考えてもわからず、二人は思考をやめ、舞花を見た。目を開けていない舞花は、
 今、この状況でなにが起こっているのか、思いもよらないだろう。
「さ、舞花は起きないことだし、遊ばないか?」
 そう言う、えいまに風真は震える口で、静かに言った。
「でも、お前は武器を持っていない。数だと俺達のほうが、有利だぜ?」
 ひとつ、ため息を吐いたえいまは、わかってないなと言う風に口を開いた。
 だけど、開けた口を一回閉じ、にこりと笑った。その笑顔に、二人は固まる。
 なにか起こるのだろうか?と考えながら。それから、少し時間がたった。
「これも・・・、武器になるんじゃないかな?」
 そうやって、えいまが取り出したものに、二人は唖然となった。
 呆然と立っていただけだった二人にの足元に、えいまは蹴りをいれた。
 途端に、二人の目線が低くなる。
「えっ・・・?」
 驚いている間に、動く足しか見えなった。
 そして、すぐに身動きができなくなって__。
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