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4章

怖い目

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「・・・俺から、殺してくれ」
 神妙な面もちで、風真が言った。
 一瞬、張り詰めた空気だったが、それをある言葉が壊した。
「わかった。じゃあ、君は見ないほうが、いいんじゃない?」
「え・・・」
 話を急に振られ、乃愛は困惑した。
 本気で、殺す気なんだ__。
 そう、実感した。どうして、見ないほうがいいのかは、乃愛でもわかった。
「それじゃ、どこからいこうかな~」
 えいまの楽し気な声を聞き、乃愛はふと思った。
 どうして、私達を捕まえないの・・・?
 
!!!
「・・・俺から、殺してくれ」
 神妙な面もちで、風真が言った。
『え・・・!?ちょ、ちょっと、風真!!』
 舞花は、風真の言葉を聞き、叫んだ。風真が殺されるなんて__。
 でも、風真の声が聞こえるということは、ここは夢の中?
 だったら、私は寝てるの?それとも、気絶してるの?
 舞花は、頭の中で考えるが特に、良い意見は出てこない。
 どうすればいいの・・・。そう思っていた時。
『俺が君を、怖い目にあわせたら実体が、起きるんじゃないかな?』
 どういうこと・・・。と思った、舞花の頭にその意味が、よぎった。
 ”怖いということから、逃げようとして目が覚める”  
『わ、わかりました。お願いします』
 次の瞬間、舞花が見たものは、えいまに似た顔が、視界いっぱいに。
 男の人の目は鋭く、血走っている。そして、口の端が少しずつ上がって__。
 目を逸らしたいのに、逸らせない。最終的に、にたりと笑った顔になった。
 その顔が、頭の中で何度もフラッシュバックする。
『い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
 舞花は、大声で叫んだ。
  
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