ハツコイ

アメ

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遅刻

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「あ~、やっべ」
いつもは、こんなことないのになぁ。俺は、通学路から道を外し、秘密の近道を走った。
本当なら危険な道も、遅刻の時はしょうがない。そして、門が閉まるぎりぎりに学校に着いた。
「こら!廊下を走るな!」
「すみませーん」
教室まで全力で走り、自分の席に座る。ほっと一息吐いていると後ろから声を掛けられた。
「おはよう、凌空。珍しく、遅刻だったね。女子から聞いたよ」
「はよ。疲れた」
そう、俺は、天海凌空(りく) 奏中学校に通っている、中2。そして、奏中学校の女子全員にモテている。
「いいよなー、凌空って。女子にきゃあきゃあ言われてさ」
こいつは、俺の親友。今井拓真(たくま)
「そうでもないよ?別に俺は、他に好きな子いるし」
最後の方は、ぼそっと言ったつもりだったけど、拓真には聞こえていたらしい。
「えぇぇ!!お前って好きな、うぐっ」
急に大声を出す拓真の口を凌空が押さえた。ぐいっと顔を近づけて、凌空は拓真にしか聞こえない声で言った。
「静かにしろ。あいつらに聞こえる」
口を押さえられて拓真は、頷くことしか出来なかった。
(うわぁ、男子の僕でもドキドキするよ・・・)
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