気弱な伯爵夫人に転生したアラフォー独身社畜女は、夫を退けて女伯爵になります

光子

文字の大きさ
7 / 46

7話 お前が出ていけ

しおりを挟む
 

「俺はお前に離婚を言い渡す! そして、本当に愛するキャサリンと結婚すると、ここに宣言する!」

「ローレイ様、嬉しい!」

 ローレイの発言に感動し、満面の笑みを浮かべるキャサリン。

「ご結婚おめでとうございますローレイ様! キャサリン様!」
「よく言いました! お幸せに!」
「あんな根暗女とは早く離婚するべき! 素晴らしい決断ですローレイ様! お二人に幸あれ!」

 そしてその発言を聞いていた他の使用人達からの、溢れる拍手と喜びの言葉。

 何だこの異質な空間。よくもまぁ不貞を働いた夫とその浮気女を祝福する声が上がるもんだ。使用人総とっかえでローレイ達の手の者にされたから、当然と言えば当然だけど。
 会社だけでなく家までこいつ等の好きにさせてしまったことは、後悔するばかりだわ。

 白けているのはこの空間で私とジェームズだけ。

「ふん、言っておくが、今更泣いて後悔しても遅いぞ!」

 私が何も言わずに突っ立っているのを、悲しんいるとでも勘違いしました? 違いますよ、呆れて言葉が出なかっただけです。
 こんな馬鹿な男と結婚生活を続けるくらいなら、ひとみの時のように独身で結構。

「お前は俺に惨めに捨てられ、これから路頭に迷う羽目になるんだ! はっはっ! 残念だったな!」

「ありがとうございます! まさかそちらから離婚を提案してくれるとは思いませんでした! 流石、考えなしの旦那様! 最高です!」

「……は?」
「……へ?」

 キャサリンに負けないような満面の笑顔でお返事すれば、お二人の予想に反していたのか、呆気にとられたような間抜けな声が二人から出た。
 泣いて私が縋るとでも思っていました? ご期待に沿えず残念ね。

「離婚了承しました、これでやっと解放されると思ったら、お互い幸せですね」

「き、気でも狂ったのか!? 分かっているのか!? この俺と離婚だぞ!?」

「分かっていますよ。ああ、今まで少しもお世話になった覚えは無いけど、一応、ありがとうございましたと形だけ伝えておきますね」

「……」

 以前までの私と百八十度違う態度に、大きく口を開けてポカンとしているローレイ。その間抜け面、笑えるわ。

「これで本当に愛する人と結婚出来るわねローレイ! 何でしたっけ? 真実の愛(笑)でした? どうぞどうぞ、二人でその真実の愛とやらを貫いて下さい! 私は陰ながら応援? しないけど!」

「っ、もういい! いいか!? 助けを求めて来ても絶対に助けてやらないからな! 二度と顔を見せるな! さっさとここから出て行け!」

「はぁ? 何言ってるんですか? 出ていくのはそちらの方です、お忘れですか? ここは、私の実家ですよ」

「――は?」

「だから、ここは私の実家です、名義も私。何で家の持ち主が出て行かなきゃならないんです?」

 この家の維持費も、父が私に残してくれた財産で賄っていたようですし、名実ともに完全に私の家なんです。

「そう言えば、父が私に残した財産も勝手に使っていたみたいですね。後で返却を要求するから、きちんと返してね」

「ま、待て待て! おかしいだろ! 何でそうなる!」

「何がおかしいのでしょう?」

「結婚したら、嫁の物は夫である俺の物になるのが当然だろ! だから、家も財産も全て、俺の物だ!」

「……貴方って本当に馬鹿なのね」

「何だと!?」

「んなワケないでしょ、結婚したら全部夫の物になるって、どんな暴君よ。嫁の物は嫁の物よ」

「う、嘘だ! そんなはずは無い!」

 嘘だって叫びたいのはこっちよ。何でこんなに馬鹿なの? ちゃんと教育受けた? 確か貴方も一応貴族令息でしょう?

「父様や母様が、フィオナと結婚すれば、全て俺の物になるって言ったんだ! 怒鳴って離婚を盾にすれば、一人で生きていけないフィオナは、何でも言うことを聞くはずだって!」

 ……それって、私みたいな気弱な女と結婚すれば、怒鳴り散らして無理矢理いうこと聞かせられるから、全部自分の物同然に使える。みたいな意味では? いや、親も最低だな。

「阿呆か」

「なんだと!?」

 全部自分の物になったと勘違いして、あんな偉そうな態度を取っていたわけね。
 ――離婚して困るのはローレイの方なのに。

「そういうわけですので、さっさと出て行ってくれます?」

 今度は私が、ローレイとキャサリンに向かって、出て行けと告げる。
 自分達がこの家を出ていかなければならないなんて思ってもみなかった二人は、明らかに顔色が真っ青に染まった。

「いや、まだだ! 俺が出て行けば、カルディアリアム伯爵家の当主がいなくなるんだぞ! いいのか!? 当主がいなくなって困るなら、今すぐこの家を俺に渡せ!」

 往生際が悪いな、うっざい。

 目配せすると、ジェームズは直ぐに書類を取り出し、私に手渡した。
 うんうん、ちゃんと手配してくれたみたいね。

「この俺が家の主、カルディアリアム伯爵なんだ! 俺がこの家で一番偉い存在なんだ!」

「はい、私が貴方に代わって、カルディアリアム伯爵に任命された、皇室から送られた正式な公文書です」

「――は?」

 ローレイはさっきから驚きの連続ですけど、大丈夫? ついていけてる? あんぐりし過ぎて、顎外れてない?
 でもこれは紛れも無い事実なので、しっかりと受け止めてね。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?

との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」 結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。 夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、 えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。 どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに? ーーーーーー 完結、予約投稿済みです。 R15は、今回も念の為

【完結】結婚しておりませんけど?

との
恋愛
「アリーシャ⋯⋯愛してる」 「私も愛してるわ、イーサン」 真実の愛復活で盛り上がる2人ですが、イーサン・ボクスと私サラ・モーガンは今日婚約したばかりなんですけどね。 しかもこの2人、結婚式やら愛の巣やらの準備をはじめた上に私にその費用を負担させようとしはじめました。頭大丈夫ですかね〜。 盛大なるざまぁ⋯⋯いえ、バリエーション豊かなざまぁを楽しんでいただきます。 だって、私の友達が張り切っていまして⋯⋯。どうせならみんなで盛り上がろうと、これはもう『ざまぁパーティー』ですかね。 「俺の苺ちゃんがあ〜」 「早い者勝ち」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結しました。HOT2位感謝です\(//∇//)\ R15は念の為・・

【完結】離縁したいのなら、もっと穏便な方法もありましたのに。では、徹底的にやらせて頂きますね

との
恋愛
離婚したいのですか?  喜んでお受けします。 でも、本当に大丈夫なんでしょうか? 伯爵様・・自滅の道を行ってません? まあ、徹底的にやらせて頂くだけですが。 収納スキル持ちの主人公と、錬金術師と異名をとる父親が爆走します。 (父さんの今の顔を見たらフリーカンパニーの団長も怯えるわ。ちっちゃい頃の私だったら確実に泣いてる) ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 32話、完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

【完結】結婚して12年一度も会った事ありませんけど? それでも旦那様は全てが欲しいそうです

との
恋愛
結婚して12年目のシエナは白い結婚継続中。 白い結婚を理由に離婚したら、全てを失うシエナは漸く離婚に向けて動けるチャンスを見つけ・・  沈黙を続けていたルカが、 「新しく商会を作って、その先は?」 ーーーーーー 題名 少し改変しました

【完】ある日、俺様公爵令息からの婚約破棄を受け入れたら、私にだけ冷たかった皇太子殿下が激甘に!?  今更復縁要請&好きだと言ってももう遅い!

黒塔真実
恋愛
【2月18日(夕方から)〜なろうに転載する間(「なろう版」一部違い有り)5話以降をいったん公開中止にします。転載完了後、また再公開いたします】伯爵令嬢エリスは憂鬱な日々を過ごしていた。いつも「婚約破棄」を盾に自分の言うことを聞かせようとする婚約者の俺様公爵令息。その親友のなぜか彼女にだけ異様に冷たい態度の皇太子殿下。二人の男性の存在に悩まされていたのだ。 そうして帝立学院で最終学年を迎え、卒業&結婚を意識してきた秋のある日。エリスはとうとう我慢の限界を迎え、婚約者に反抗。勢いで婚約破棄を受け入れてしまう。すると、皇太子殿下が言葉だけでは駄目だと正式な手続きを進めだす。そして無事に婚約破棄が成立したあと、急に手の平返ししてエリスに接近してきて……。※完結後に感想欄を解放しました。※

【短編】婚約解消を望もうとも、婚約者から言葉を聞かない限りは応じませんわ

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
 伯爵令嬢のディアナ・アルヴィエは実家と絶縁し、婚約者であるアーレントの実家である辺境領の屋敷で暮らしていた。魔物討伐や結界の管理などを担う即戦力としていたディアナは、アーレンが成人したら結婚する。  はずだった。  王都に突如現れた黒竜討伐へと赴いた婚約者アーレンと様の部下だと名乗る使いから婚約解消の知らせが届く。それと同時に辺境地の結界に亀裂が入り、答え合わせは後回しとなるのだが、同時にカルト集団の奇襲を受けてしまい──!?  両親に愛されなかった令嬢が幸せを受け入れるまでのお話。  年下情緒不安定ヤンデレ騎士×自尊心の低い年上大魔法使いのお話。

【完結】やり直しですか? 王子はいらないんで爆走します。忙しすぎて辛い(泣)

との
恋愛
目覚めたら7歳に戻ってる。 今度こそ幸せになるぞ! と、生活改善してて気付きました。 ヤバいです。肝心な事を忘れて、  「林檎一切れゲットー」 なんて喜んでたなんて。 本気で頑張ります。ぐっ、負けないもん ぶっ飛んだ行動力で突っ走る主人公。 「わしはメイドじゃねえですが」 「そうね、メイドには見えないわね」  ふふっと笑ったロクサーナは上機嫌で、庭師の心配などどこ吹く風。 ーーーーーー タイトル改変しました。 ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 32話、完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

処理中です...