ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。

光子

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連載

78話 心の準備期間中

 


 *****


 皆様、こんにちは。心の準備期間中のルエルです。

 心優しいメトのお心遣いにより、メトへの好意を自覚して戸惑う私に、心の準備期間が与えられました。逆に言えば、その時までには絶対に覚悟を決めろ。なんて副音声が聞こえたような気もしますが、有り難く受け取っています。
 一度結婚までした身で、何を準備期間がいるんだと思われてしまうかもしれませんが、もう恋愛したくない!からの、好きの自覚。そして、その相手とはもう結婚してる事実ーーー。
 お互いが好きなら、その先に進むのは夫婦だし、当然ーーーと、ここまで考えて終わり。

 せっかくメトに頂いた心の準備期間ですが、残念ながら、それどころでは無いんです。

 何故ならーーー


「ルエル様ー!ムレスナ様とテマエル様とウィナント様から宝石の注文が届いてますよー!何でも、娘や自分や孫の結婚式に使いたいそうッス!」

 バタバタとお客様がどのような宝石が欲しいのかを示した書類やデザイン画を持ってくるヴェルデとサンス。

「ありがとう!そこに置いておいて。あと、ッス。じゃなくて、です。よ!」
「あ、すんまーー申し訳ございません」

 ゲイン鉱山でルーフェス公爵家に仕えるようになったヴェルデとサンスの二人は、今は私の部下として、日々研鑽に励んでいる。相変わらず敬語の使い方は間違ってるけど、仕事は中々に上達して、とても助かってる。

「あとはお茶会の紹介状とパーティの紹介状と、あ!カイン様の結婚式の招待状も届いてますよ!」
「捨てて」
「了解ッス!」

 ーーーいや、流石に欠席で返信するべきか。

「待って。やっぱり置いておいて。嫌だけど」
「了解ッス!」

 どーゆー神経で不倫して捨てた元嫁を結婚式に誘えるのか、一度拝見してみたいわ。いや、私は自分の結婚式に招待しましたけどね?復讐のために。

「ルエルー明日の会議、今からに変更出来ねーかって先方から連絡があったぜー」
「今から?!」
「おー!ちゃんと引き受けといたぜ!」
「嘘でしょう?!何の用意もしてないけど?!」

 ラット……私の仕事を手伝いに来てくれたのは嬉しいけどーーー見るからに肉体派なので、頭脳系の仕事には向いていないのでしょうけどーーー貴方、ヴェルデとサンスよりも仕事が出来ない!

「あーマジッスかーどーしやす?急いで会議室の準備してきましょーか?」
「お願いします!」
「了解ッス!」

 成長が凄い!めっちゃ助かる!凄いよヴェルデ、サンス!もう変な敬語くらい許す気持ちになってる!公の場以外はもういいよ!許すよ!


 せっかくメトに頂いた心の準備期間が、それどころでは無い理由、それはーーーめっちゃめちゃ忙しいから!!!
 結婚式での宝石の大々的な宣伝効果が現れて、もうすっごい売れてる!売れ行きが凄い!業績が伸びに伸びてる!私の完全な名誉の回復もあって、エレノア達の所為で離れた顧客も戻って来たりと、通常の業務も忙しい!
 メトの事を考えてる余裕なんて無い!



 ***

「疲れた……」

 ーーールーフェス公爵邸。
 自室にて、ルエルは机に頭を伏せながら呟いた。

 結婚式が終わってからずっと忙しい……マルクス伯爵時代は休み無いのが普通だったんだけど、ルーフェス公爵家でお世話になって久しぶりに休みなく働いてる。

 心の準備期間は、新婚旅行までーーー。
 仕事がお互い落ち着いたタイミングで行くって言ってたけど……

 実は、もうすぐ、私の仕事は一旦、落ち着く。

 販売の数と、採取、生産が追い付かなくなったからだ。特に、宝石の採取は危険が伴うし、無理をさせたくないから、皆様には待って頂くしかない。

「……覚悟……」

 ちゃんと、自分の口から、好きって伝えなきゃ。

「ルエル」
「!は、はい!」

 部屋を繋ぐ扉の向こうから聞こえる声に、大袈裟に反応してしまう。きっとメトは気付いて笑いを堪えているでしょう。

「何もしないから中に入っても?」
「ど、どーぞ」

 鍵を開けて、中にメトを招き入れる。
 実はこうやってメトと顔を合わせるのは久しぶり。私もだけど、メトも相変わらず忙しい。今日は一日中書類関係の仕事をすると、屋敷にある執務室で閉じこもっていたと聞いた。


「ルエルはファンファンクラン子爵を知ってる?」

 中に入るなり、メトは本題を切り出した。

「えっとーーー聞いた事はあります」

 確か、魔物の被害が多発し、ルーフェス公爵家に救助を要請した地域……だったかな。いつぞやの新聞で読んだ気がする。
 ファンファンクラン領を治めるファンファンクラン子爵はルーフェス公爵家と折り合いが悪く、救助要請を出し渋っていたから、被害が拡大したとかなんとかーーー。

 メトの為にメイドに飲み物をお願いし、部屋の中央にあるテーブルにつく。

「そう。そのファンファンクラン子爵は、最近になって魔物退治に力を入れ始め、ルーフェス公爵家の力は借りないと躍起になり、魔物に領地が荒らされた無能な領主だ」

「……最低な領主ですね」

 その無能な領主の所為で、一体何人の領民が被害にあったかと思うと、やりきれない。

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