ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。

光子

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89話 無能な皆さん、さようなら

 

 自分は人格者で、皆から愛されていると信じて疑っていない。だから、自分を差し置いて、ヴェルデとサンスが私達を選んだ事が信じられない。

「マルクス伯爵令息ーーカイン。君が、彼等を自ら捨てたハズだけど?」

「ル、ルーフェス様……でもそれは、彼等があの時はまだ、役に立つ人間だとは知らなかったからですーー知っていたら、傍に置いていました!彼等は、僕の!マルクス領の民です!彼等を僕に返して下さい!僕には、彼等が必要なんです!」

 役に立たない人間をいとも簡単に切り捨てる貴方が嫌い。自分の役に立つようになったからって、手の平を返して呼び戻そうとする貴方が、心底嫌い。

「誤解しないで欲しいけど、あのまま君の所にいても、二人は君の言う、役立たずのままだったよ」

「僕の所にいたら、役立たずの……まま?そんなワケ無いじゃないですか!だって、彼等はこんなに強くなったんですよ?!僕の元にいても、きっとーー」

「君みたいな無能な主のもとにいて、成長出来ると思う?」
「無…能?僕が?」

「君は二人の才能を見抜けず、育てることも出来なかった。君はただの無能な主だ。アレらをあそこまで育て上げたのは、俺だよーー絶対に返さない。アレらは、もう俺のモノだ」

「そんーーな、僕はーー」

 ハッキリと言うメトの言葉に、何も言い返せず、戸惑いからか、視線が泳ぐカイン。

 その後ろで、歓喜の声を上げて喜んでいるヴェルデとサンス。
 親愛するメトに必要とされて良かったですね……アレ呼びとかされてますけど、貴方達が気にならないなら、もうそれでいいですよね……。


 カインも、元・お義父様、ファンファンクラン様も、自分が出来る男だと勘違いして、暴走する男達の、なんて無能なこと……さっさと自らの無能さを思い知り、引退されるのがよろしいかと思いますよ。

「ああ、そうだ、マルクス伯爵。貴方が口先だけ心配していたマルクス領民だが、ファンファンクラン子爵の依頼により、既に避難している。この街以外の魔物も、全て退治済みだ」

 クラウド様のお父様は、自身の子爵の爵位を息子に譲ると宣言し、ファンファンクラン子爵夫人との離婚を了承した。これで、新たなファンファンクラン子爵は、クラウド様になる。

「なーーんだと?!じゃあ、最初からこうなるつもりで計画していたんですかーー?!」

「どうかな?正直、お前達が死んでいたなら死んでいたで構わなかったし、最後まで身の程を弁えず傍若無人な態度を貫いて貰っても構わなかったし、どう転んでも良かったよ」

 死んでいても、助けなくても、要求を呑もうと、謝罪しようと、メトにはどうでも良かった。最終的にこちらの望む方向に持って行くだけの力を、メトは持ってる。ただ、ルーフェス公爵家に逆らったとして、お灸を据えただけ。地獄を見せただけーーー。


 自分達の命はどうでも良かったとハッキリ言われ、元・お義父様は、メトの冷酷さを目の当たりにし、震え上がった。

「今回のマルクス伯爵と元・ファンファンクラン子爵の行動は、俺から皇帝陛下にこと細かく報告しておく」

「はーーはい。かしこまり、ました」

 すっかり毒牙を抜かれた元・お義父様の従順なこと。きっと皇帝陛下は、悪戯に自身の領土を脅かしたマルクス伯爵に、重い罪を与えるでしょう。元・ファンファンクラン子爵のように、爵位を取り上げられないよう、精々祈りを捧げることですね。






「なんてことだ……ワシの家が……」

 ルーフェス公爵家が去り、残されたマルクス伯爵家は、呆然と、瓦礫と化したマルクス伯爵邸前に佇んでいた。

「……ガレギアンに別宅があるから、そこに行くしかないわ……」

 同じく、牙を抜かれたマルクス伯爵夫人は、小さな声で夫に伝えた。

「ガレギアンってーーすっごい田舎の町じゃないですか!そんな所に行くなんて嫌です!」

 魔物がいなくなり、いつもの調子を取り戻してきたエレノアは、マルクス領内でも田舎に分類されるガレギアンに行くのを嫌がった。

「五月蠅い!そこしか行く場所が無いのだから仕方無いだろう!嫌なら、クリプト伯爵邸にでも帰っていろ!」
「なっーー」
「父様!少し落ち着いて!」

 興奮し、エレノアを怒鳴るマルクス伯爵を、カインが宥めた。

「そうですよ、あなた!エレノアさんはクリプト伯爵様の大切な娘さんで、私達の孫を産んでくれた方なんだから!」

 マルクス伯爵夫人も、カインに続いて夫を宥めた。

「--っ!そうかーーそうだな。すまなかったエレノア」
「いえ……別に……」
「ねぇエレノア。今から行くガレギアンの家は、新しい家が見つかるまでの仮住まいだと思ってよ。今度の家はどんな素敵な家になるか、想像するだけで楽しくないかい?」

「カイン様……うん!そうね!その通りだわ!」

 カインの言葉に機嫌を良くしたエレノアは、ギュッとカインの首に腕を回し、抱き着いた。

「今度は螺旋階段があって、光が差し込む大きな窓があるお家がいいなぁ。あ、あと!夫婦のお部屋とは別に、私専用のお部屋も欲しいー!衣装部屋も、前より大きい部屋がいいなぁ」
「とても素敵だね。そうしよう!全て、エレノアの望む通りにしようよ」

 新居について、和気あいあいと夢を膨らませる2人。


(エレノアはルエルと違い、クリプト伯爵家に大切にされてる娘だから、マルクス伯爵家に援助をしてくれるはずだ。そのお金で、新しく家を買おう)


(マルクス伯爵家はお金持ちだもの!カイン様におねだりすれば、私の要望を全部叶えた家を用意してくれるはずだわ!)



 ーーーお互いが、お互いのお金を期待しているとは知らずにーーー

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