ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。

光子

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95話 新婚旅行④

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「私…も…そ、そのっ……メトが、好き……に、なって……いました!私、メトが好きです…!」

 なんとか声を絞り出して告白する。
 よし、言えた!凄いギリギリだけど、私の気持ちは、ちゃんと伝えました。
 これ以上は恥ずかしくて視線を合わせられなくて、目を背ける。


 私は、今日はこれで満足だった。

 自分の気持ちを、ちゃんとメトに伝えられたし、お互いの気持ちが通じ合った。それだけで、満足。
 メトだって、今日は私を取って食うつもりは無いって言ってた。
 言ってたのにーーー




「嘘つき!」

 ーー次の日、私はベッドの上、布団に包まりながら、メトに向かって怒鳴った。

「五月蝿い。終わったことでいちいち目くじらを立てるな」

 ベッドから降りたメトは、服を着ながら、私に向かって冷たく言い放った。

 翌朝ーーーと言っても、昼過ぎーーー。
 私にとっては、初めて、こんなに遅い起床。それもこれも、全部、メトの所為!

「何もしないって言ったのに!」

「あのねぇ、あの状態で何もしないなんてあると思う?手を出すに決まってるでしょ。夫婦なんだし、別に問題無い」

「うっ…」

 そう言われると何も言い返せない……!
 でも、私、まだ覚悟決まって無かったのにー!そのまま流されて、最後までしてしまった!

「君の覚悟を待っていたら、あと、半年くらいかかる」
「そんっっっーーな、ことはーー」

 無い。とは……言いきれないのが自分でも怖い。

「大体、君だって昨日はあんなにーー」
「止めて!分かりました!もういいですから!」

 昨日の情事の内容なんて話されでもしたら、恥ずかし過ぎて本当に死んでしまう!本当に止めて!!

「そう言えば、あの馬鹿夫婦の結婚式、もう終わった頃だね」

「え?あーーそう、ですね」

 確か招待状には、今日の午前中って記されていたから、もう、終わってるんだ……あの二人の結婚式なのに、全く、気にならなかった……てか、気にする余裕が無かった……。

 メトは私の隣に座り、手を取ると、その手の甲に口付けた。

「これで君は俺のモノだね」
「ーーーっ!」

 こいつーー!!私がいっぱいいっぱいなのを分かってて、楽しんでしてる!!

「……メトは意地悪ですね」
「そんな男を旦那に選んだのは君だけどね」

 言ったら言い返される。メトに口喧嘩で勝てそうもありません。

「甘い言葉だけを言って欲しい?ああ、ルエルは口先だけの男が好きなんだっけ?」

 意地悪そうに尋ねるメト。

 口先だけーーそうね、カインは、元・旦那は、口では愛してると言葉を吐くけど、実際は私を愛してなんかいなかった。
 どれだけ仕事や家事をして、体を壊しかけても、『大丈夫?』と心配する言葉はかけてくれるけど、助けてはくれなかった。
 どれだけ元・お義母様やお義父様に暴言を吐かれても、『ルエルの為を思って言ってくれてるんだよ、大丈夫。直ぐに仲良くなれるよ』と前向きな言葉を吐くけど、義両親との仲を取り持ってはくれなかった。
 エレノアと再婚すると私に告げた時も、『ルエルを愛してる』と愛の言葉を吐いたけど、私を捨てて、他の男の元に嫁がせようとした。

「……メトがそんな男なら、好きになっていません。ダメ男との恋愛は、もう懲り懲りですから」

 私がそう言うと、メトは『学習したね』とだけ言って、笑った。

「で?今日はどこに行きたい?折角だから、ルエルの好きな場所に連れて行ってあげるよ」
「……お腹空きました」
「クラウドが美味しい海の幸が食べれる店の予約を取ってくれてるらしいよ」
「……クラウド様……気を配り過ぎじゃないですか……でも、海の幸はいいですね、美味しそうです」
「じゃあ、そこに行こう」

 ベッドから降りると、私は慌てて身支度を整えた。


 愛する人と一夜を過ごして、ゆっくりと昼過ぎに起きて、遅めの昼食を頂き、手を繋いでデートする……考えてみれば、私はカインと、こんな風にデートしたことも無かった。
 家族に大切にされた記憶は無い。元・義実家で大切にされた覚えも無い。元・旦那にーーーカインに、大切にされた思い出も無い。


「メト、私……今、とても幸せです」

 これが幸せなんだと、実感する。

 カインと結婚していた時、私は、カインと一緒にいることが、カインの為に生きることが幸せだと思っていた。私は、あんなろくでもない家にいることが幸せだと、本気で思っていた。例えどれだけ搾取されても、罵られても、汚名をかぶせられてもーーー。

「良かったね」

 メトと結婚して、私の全てが変わった。
 私を大切に思ってくれる人が出来た。私の幸せを喜んでくれる人が出来た。私を幸せにしてくれる人が出来た。


 契約結婚から始まった幸せだけどーーー私はこれからもこの幸せをーーー今度こそは、大切にしていく。
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