ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。

光子

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96話 エレノアとカインの結婚式

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 *****


 エレノアとカインの結婚式ーーー。


「何なのよ……!何なのよ……!どうして、誰も来ないのよ?!」

 純白のドレスに身を包んだ花嫁エレノアは、持っていたウェディングブーケを、地面に投げ捨てた。

 予想外の慰謝料請求で、ルエルお姉様の結婚式場より、少しランクは下がってしまったけど、それでも、充分大きな式場を用意することは出来た。
 私は今日、素敵なカイン旦那さまと寄り添って、大勢のお友達に祝福されて、素敵なウェディングドレスを着て、ルエルお姉様よりも可愛くて幸せな花嫁になるの!なるはずだったの!
 それなのにーーー!!!

「ルエルお姉様もっっ!友達も!!皆、来ないなんてーー!」

 蓋を開けてみれば、広い式場に似つかわしくない、数人の参列者がポツポツいるだけの、寂しい結婚式になった。

「何が何でも来いって言っておいたのにー!」

 結婚式の招待状は、殆どが欠席で返ってきたから、私は丁寧に、『私の結婚式に来ないなんて、信じられない!友達なら、何が何でも来て!来ないなら、友達止めるから!』と、送り返した。
 私は、皆にとって、可愛い自慢の友達なのよ!?
 私と友達なだけで、『あんなに可愛い子が友達なの?俺に紹介してよ』って、男達から声をかけて貰えるんだから!特別可愛くもない皆が、男達に声をかけて貰えるのは、全部、私のお陰なんだから!
 そんな可愛い私の友達でいさせてあげてるのに、誰も私の結婚式に来ないなんてーー!!!

「お父様まで来ないー!ルエルお姉様の結婚式には参列したくせに!」

 お父様は仕事を理由に、出席を断った。
 お父様は昔から仕事人間だから、別に来なくても不思議じゃない。でも、ブスなルエルお姉様の結婚式には参列して、可愛い私の結婚式に参列しないのはあり得ない!

「何なのよーーそれもこれも、全部、ルエルお姉様の所為よ!」

 あのまま、ルエルお姉様が私にカイン様を奪われた時に、大人しくターコイズ男爵と結婚していれば、こんな事にはならなかった!
 今頃、私は、惨めで可哀想なルエルお姉様に、ルエルお姉様が大好きだったカイン様を花婿にして、お母様やお父様、お義母様、お義父様ーー沢山の友人に祝福されて、幸せの絶頂にいる私を、見せ付けていたのに!

 よりにもよって、ルーフェス様がルエルお姉様を選ぶなんてーー!!

 ルーフェス様に目をつけられたおかげで、魔物が襲撃した時も中々助けてくれなくて、死ぬ程怖い思いをした!元はと言えば、お義父様があんな役に立たないファンファンクラン様に、魔物退治の依頼なんてするからーー!

 勝手に優秀なルーフェス様に嫉妬して、敵視していたファンファンクラン様。
 子爵位で、おじさんで、普段なら見向きもしないけど、ルーフェス様へのくだらない劣等感は、上手く利用出来るかもしれないと思った。
 男なんて皆、単純。
 可愛い私がちょっと声を掛けたら、すぐに誘いに乗ってきて、私の話を聞いてくれるの。

『ルーフェス様は、ルエルお姉様を愛していない。ただ、子供が産めない体だから、ルエルお姉様を妻に選んだの。ルーフェス様は、自分の跡継ぎに、甥であるシャイン様を望んでる。大好きなお兄様の忘れ形見であるシャイン様を、とても大切にしてる』

 ベッドの上、甘い一夜を過ごしてあげた後に、ルーフェス様が何より大切にしているシャイン様について、耳打ちするーーー私が、ルエルお姉様にされている酷い仕打ちについても、一緒に。
『シャイン様がいなくなれば、ルエルお姉様は捨てられる。そうしたら、ルーフェス様の力を盾に好き勝手しているルエルお姉様に、私は虐められなくなる』と。泣きながら、助けて欲しいと懇願する。
 可愛い私が、貴方みたいなおじさんと一夜を過ごしてあげたんだから、感謝して、少しは私の役に立ってよね。

 いつかルーフェス様への恨みが爆発した時、ファンファンクラン様が間違えずに、シャイン様を殺しますようにーーー。

「せめて、ちゃんとシャイン様を始末していれば、まだ私の役に立ったのにー!子供一人ろくに始末出来ないなんて、本当に使えない!」

 結局、ファンファンクラン子爵はエレノアの思惑通りには動いたが、失敗した。

 跡継ぎがいなくなれば、ルーフェス様も自分の子供を欲しがるはず。そうしたら、子供の出来ないルエルお姉様は確実に捨てられるのに!

 何もかもが上手くいかない!
 全部おかしい。こんなはずじゃなかった。私は今日、世界で一番幸せな花嫁になるはずだったのにーー。
 脳裏には、思い出したくも無いのに、ルエルお姉様の結婚式が浮かぶ。
 ここよりも豪華な式場、大勢の招待者、お母様にお父様、カイン様よりも素敵な花婿ーーー世界で一番幸せそうな、姉の姿ーーー

「っ!許せないっ!」


 その場にいるべきは、ルエルお姉様じゃない!そこにいるべきなのは、私よーーー!!!


「……あ、そうか……そうよ!私が、ルエルお姉様にかわって、ルーフェス様の花嫁になればいいんだわ!」

 我ながら名案を思いついた!
 ルエルお姉様から奪ったカイン様に固執していたけど、よくよく考えたら、ルーフェス様の方が遥かに良い男なんだから、カイン様に固執する必要なんて無かったんだわ!

 そうよ。何でこんな簡単な事に気付かなかったんだろう!

 私が、いつまでもルーフェス様を旦那様として選ばなかったから、ルーフェス様は私に冷たかったのね!そうよね、私がいつまでもカイン様なんかの妻でいるから……嫉妬しちゃってたのね!私ったら、こんな簡単なことにも気付かないで、随分回り道しちゃった。
 ルーフェス様に寂しい思いをさせてごめんねって、謝らなきゃ。

「ふふ。また、私に好きな男を奪われた時の惨めなルエルお姉様の顔が見られるのね♡」

 ルエルお姉様には、不幸が似合う。

「ああ、早くルーフェス様の腕に抱かれたいな♡」

 可愛い可愛い私を好きにならない男なんて、この世にいないんだから。


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