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連載
99話 口説くエレノア
私達が新婚旅行中に行われたエレノアとカインの結婚式は、私達が予想していた通り、散々なものだったらしい。
エレノアは私に対抗して大きな結婚式場を用意したみたいだけど、集まった招待客は、大きな式場に似つかわしくない、ほんの一握りの招待客。
クリプト伯爵であるお父様も、マルクス夫妻の結婚式には参列しなかった。
二人の友人達も、彼等の非常識な振る舞いに嫌気がさし、結婚式の招待状を欠席で返信したらしいーーーにも関わらず、エレノアは『結婚式に来なければ友達止める!』なんて馬鹿なことを言い出し、『それなら友達止めます』と、全員が綺麗にエレノアの元から離れたらしい。
アホ過ぎて言葉が出ないわ。
『ルエルお姉様の結婚式よりも皆に祝福されて、もっと素敵なものにする』って息巻いていたのに、残念ですね。誰にも祝福されない、寂しい結婚式。貴方達にお似合いよ。
朝食を食べ終え、いつものように仕事に向かう。
ファンファンクラン領に宝石の採取場が増え、宝石の流通も落ち着いたから、宝石関連の事業も再開している。おかげさまで変わらぬご好評を頂いているので、売り上げは上々。
仕事も順調。友人関係も良好、親戚関係も良好。夫婦仲も、とてもーー良好。
一年前と比べて、私は本物の幸せの中で、毎日を過ごしている。
***
何、この状況ーーー。
仕事途中、たまたま立ち寄った先で、同じく仕事途中であろうメトの姿を馬車から見付けた。今日、私が使用している馬車は、いつものルーフェス公爵の馬車では無く、会社のものだから、私がここにいるのを、メトは気付いていない。
丁度、私が乗っている馬車のすぐ近く、喋っている声も聞こえる距離で、私の旦那様であるメトと、今日の朝、話題に上がった、私の妹であるエレノアの姿があった。
「メト様ぁ、良かった!お会い出来ましたね♡」
猫撫で声満開!!!
カインと離婚しそうだからって、まさかまた、私の旦那様にちょっかいかけるなんてーーー!許可も無く愛称で呼んでるし!
また同じことを繰り返そうとする妹に、心底、嫌悪感が増す。私の旦那を奪ったことなんて、この妹は一切反省していない。
「エレノア様……マジでやばくないッスか?きもー」
「てか、俺等が止めに行ってきましょうか?」
同じく私と同じ馬車に乗車していたヴェルデとサンスが、小声で私に告げる。
「……んー」
馬車の窓から二人の様子を眺める私の心は、憤りはあるけど、何故か落ち着いていた。
ルーフェス様を私から奪う為に、ここぞとばかりに精一杯自分を着飾ってお洒落して来たんでしょうね……まるで今からパーティに参加するかのような、綺麗な恰好。
不思議。あの時はーーメトへの気持ちを認めるまではーー私は、また好きな人がエレノアに奪われるのが、心底怖くて、メトを好きになることを拒んでいた。
「メト様、私、カイン様と離婚して、メト様だけのモノになりに来たんです♡きゃっ、言っちゃった」
照れたように頬を赤らめるエレノア。
でも今は違う。今の私はーーーエレノアにメトを奪われるなんて、考えてもいない。
「ふざけるな、キモイ。二度と俺の前に姿を見せるな」
「ーーーえ」
絶対零度の冷たい目線と声色でハッキリと拒絶するメトに、エレノアは言葉を忘れて、固まった。
ほらね。メトがあんな外見しか取り柄のないような馬鹿な妹なんて相手にするワケがない。何で私、あの時、メトが妹なんかに盗られるなんて心配してたんだろ……。
メトの傍には、途中からメトに合流したであろうラットの姿もあって、こちらはエレノアの無謀な行動に笑いが堪え切れず、顔を逸らし、声をなんとか押し殺して笑っていた。
「はっ!ど、どうしてですかメト様?!まさか、ルエルお姉様を気遣っているんですか?!それなら、問題ありません!ルエルお姉様には、私がルーフェス様と離婚するよう話を通しておきますから!今、私とメト様の関係は、まるでロミオとジュリエットのよう……でも、お互いを思い合っている二人が結ばれないなんて悲劇、あってはならないんです!」
「こいつさ、前、メトに氷の牢に入れられたこと覚えてねーのかな?」
「知らん。学習能力が無いんだろ。猿の方がまだ賢い」
演劇のように自分とメトとの愛?を語り出すエレノアに、一通り笑い終えたラットが尋ねると、メトは冷たく吐き捨てた。
ロミオとジュリエットって何でしたっけ?演劇?でも確かあれって、お互いの家同士が対立しててって話で、全く関係ないのでは?あんまりよく知らないですけど……。
「ですから、メト様も自分の気持ちに正直になって下さい!私を好きなことを、諦めないで下さい!」
誰も聞いていない演劇の終盤、エレノアはメトに向かって、手を差し出した。
エレノアは可愛い。それは、私も認める。私なんかより遥かに可愛い。社交界でも、注目されるのは、いつもエレノアで、可愛い。は、エレノアの為の言葉だった。自分の容姿に絶対の自信があるエレノアは、メトが自分を選ぶと、疑ってもいない。当然のことのように、会話を続ける。
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