46 / 54
連載
105話 里帰り後
優しくされた覚えなんて一度も無いのに、大好きだったお母様。もしこれが呪いだと言われても、納得出来る。
あれだけ冷たくされたのに、私を愛してくれなかったのに、幼かった私は、お母様を愛していたんですよ?愛して欲しいとーーー願っていたんですよ?
お母様に何も期待しなくなるようになるまで、私がどれだけ傷付いたか、お母様には分からないでしょうね。
「どうぞ、邪魔者の私は初めからいなかったものとして、これから先の人生をお過ごし下さい。良かったですね、これで、お母様のお望み通り、お母様の娘は、エレノアだけですよ」
「違っ、ルエルも、私の大切な娘よーー!」
「止めて下さい。虫唾が走ります」
お母様が、幼い私を捨てたのよ。
それなのに、今更ーーーエレノアの為に、私を娘と認める?馬鹿にするのも大概にしてよね。
「私にはもう、素敵な家族がいますので、お母様達は必要ありません。さようなら、娘の愛し方と、育て方を間違えた、哀れなお母様ーー」
「そんなーーっ!ルエル!待って頂戴!ルエル!私の可愛い娘ーー!」
お母様の呼びかけを無視し、一度も振り向かずに、今度こそクリプト伯爵邸を出るために、足を進めた。
今度は私が、お母様を捨ててあげますね。これが、私の最後の里帰りーーー。
「ルエル、大丈夫?」
クリプト伯爵邸を出て、馬車に乗り込もうと足を伸ばしたところで、猛烈な目眩に襲われて、体勢を崩した。メトが私の体を支えてくれなかったら、そのまま倒れてしまっていたかもしれない。
「大丈夫……です。ありがとう、ござい…ます…」
緊張の糸が切れたのかしら……なんだか……凄く、気分が悪い……。
「ルエル!」
心配そうな顔……私は、大丈夫ですよ、メト……ああ、でも、なんだか、凄く瞼が重い……ような……。
私はそのまま、メトの腕の中で、意識を失った。
*****
里帰りから3日後ーーー。
意識を失った私を連れたメトは、急いでルーフェス公爵邸に戻り、お医者様の診断を受けさせた。
ーーー結果は、貧血。
「ルエル様、大丈夫ですか?こちら、貧血に良い食べ物を持ってきましたわ」
「ありがとうございます、ベール様」
ベール様が持って来て下さった大量のお見舞い品が、ゼスティリア侯爵家の執事であるワークスさんの指示のもと、次から次へと運び込まれる。
……ちょっと多過ぎませんか?
「フィーリン様とシャインもお見舞いにいらして下さったのですね」
部屋に飾ってある鶴の折り紙に視線を向けるベール様。
「はい、昨日、いらっしゃいました」
私の体調が早く良くなりますよーに。と願いを込めて折られた、シャイン特製の鶴の折り紙……!可愛過ぎます!ご利益倍増!家宝にします!
「皆さんにご心配をお掛けしてしまって、申し訳無いです……私はもう、大丈夫なのですけど……」
メトは『大丈夫』と、言う私の意見を無視して、私に絶対安静を言い渡した。お陰様で、仕事も出来なくて、暇で暇で仕方ありません。
「ルエル様は普段、働き過ぎなのですから、少しくらいお休みを頂いてもバチは当たりませんわ。それに、ご実家の件で心労もあったでしょうし……無理は禁物ですわ」
クリプト伯爵邸での出来事は、ベール様にも共有されているのですね……。
「いえ……ごめんなさい、エレノアを逃がしてしまって……」
結局、エレノアはあれから、ターコイズ男爵よりもカインの方がマシだと判断したのか、マルクス伯爵家に戻った。
マルクス伯爵家は、エレノアの出戻りを当初、拒否していたそうだが、最終的に、子供を盾にしたエレノアに負けて、マルクス伯爵家はエレノアを受け入れたらしい。離婚すれば、母親の方に子供の親権がいく可能性が高い……マルクス伯爵夫妻は、何よりも跡継ぎである孫を欲しているから、それならば、と、エレノアを受け入れざる得なかったのでしょうね。
体調不良もあって、きちんと、エレノアを地獄に落とせなかったのが、情けない……。
「ルエル様が気にする必要ありませんわーーーご命令があれば、直ぐに私が始末致しますし」
「何かおっしゃいましたか?ベール様」
「いいえ、何も言っていませんわ」
聞こえませんでしたけど、ベール様、時折、とても過激な発言をされるんですよね…。
「ーーっぅ!ゲホッ!ゴホッゴホッ!」
「!ルエル様?!」
……気分、悪……。何、これ……。
心配したベール様が駆け寄り、執事のワークスさんは、光の速さで部屋を出た。多分、お医者様を呼びに行ったのね……。
「大丈夫ですか?!ルエル様!」
「大丈夫…です。ごめんなさい……吐いてしまえば、少しは楽になるのでーー」
「……吐き気が、続いているのですか?」
実は、続いてる。心配かけたくなくて、大丈夫。なんて強がってみたけど、この調子じゃ、駄目ですね……何でだろう、日に日に、酷くなっている気がする。
もしかして私、本当に何か重い病気なのーー?
「……ルエル様、つかぬ事をお伺いしますが、最後に月のものが来たのはいつですか?」
「え?えーーーとーー」
そう言えば、暫く、来ていないーー気がする。
「ルエル様、もしかして、ご懐妊されたのではありませんか?」
「ーーーえーーー」
「絶対にそうですわ!私の友人に、先月出産された方がいるのですが、今のルエル様と同じような症状に悩まされていましたもの!確か、悪阻とかーー」
ーーー妊、娠ーーー?私が?
あなたにおすすめの小説
あなたと別れて、この子を生みました
キムラましゅろう
恋愛
約二年前、ジュリアは恋人だったクリスと別れた後、たった一人で息子のリューイを生んで育てていた。
クリスとは二度と会わないように生まれ育った王都を捨て地方でドリア屋を営んでいたジュリアだが、偶然にも最愛の息子リューイの父親であるクリスと再会してしまう。
自分にそっくりのリューイを見て、自分の息子ではないかというクリスにジュリアは言い放つ。
この子は私一人で生んだ私一人の子だと。
ジュリアとクリスの過去に何があったのか。
子は鎹となり得るのか。
完全ご都合主義、ノーリアリティなお話です。
⚠️ご注意⚠️
作者は元サヤハピエン主義です。
え?コイツと元サヤ……?と思われた方は回れ右をよろしくお願い申し上げます。
誤字脱字、最初に謝っておきます。
申し訳ございませぬ< (_"_) >ペコリ
小説家になろうさんにも時差投稿します。
愛人を連れて帰ってきた翌朝、名前すら呼ばれなかった私のもとに王太子殿下が迎えに来ました 〜三年間冷遇された妻、今は毎日名前を呼ばれています〜
まさき
恋愛
侯爵家に嫁いで三年。
夫に名前を呼ばれたことは、一度もなかった。
社交の場ではただ隣に立つだけ。
屋敷では「妻」としてすら扱われない。
それでも、いつかは振り向いてもらえると信じていた。
――けれど、その期待はあっさりと壊れる。
夫が愛人を伴って帰宅した、その翌朝。
私は離縁状を残し、静かに屋敷を出た。
引き止める者は、誰もいない。
これで、すべて終わったはずだった――
けれどその日、私のもとに現れたのは王太子殿下。
「やっと手放してくれたか。三年も待たされました」
幼い頃から、ただ一人。
私の名前を呼び続けてくれた人。
「――アリシア」
その一言で、凍りついていた心がほどけていく。
一方、私を軽んじ続けた元夫は、
“失ってはいけないもの”を手放したことに、まだ気づいていない。
これは、三年間名前を呼ばれなかった私――アリシアが、
本当の居場所と愛を取り戻す物語。
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。
「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」
私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。
そんなに嫌いなら、私は消えることを選びます。
秋月一花
恋愛
「お前はいつものろまで、クズで、私の引き立て役なのよ、お姉様」
私を蔑む視線を向けて、双子の妹がそう言った。
「本当、お前と違ってジュリーは賢くて、裁縫も刺繍も天才的だよ」
愛しそうな表情を浮かべて、妹を抱きしめるお父様。
「――あなたは、この家に要らないのよ」
扇子で私の頬を叩くお母様。
……そんなに私のことが嫌いなら、消えることを選びます。
消えた先で、私は『愛』を知ることが出来た。
文句を言わない婚約者は、俺の愛する幼馴染みを許していなかった【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
幼馴染を優先しても、婚約者アウローラは何も言わない。だから、これからも幼馴染みとイチャイチャできる──
侯爵令息トリスタンは、そんな甘い幻想を信じていた。
だが婿入りした瞬間、彼の“軽んじた態度”はすべて清算される。
アウローラは冷徹に、トリスタンの傲慢と欲望を1つずつ暴き、労働と屈辱を与える。
そして最後に残ったのは、誰にも必要とされない現実だけ。
「どうして……俺は、こんなにも愚かだったんだ」
これは愛を勘違いし、身分を過信し、自分の価値を見誤った男の終焉を描くダークドラマ。
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。過激ざまぁタグあります。
4/1「エステルに対する殺意」の内容を一部変更しました。